11月に会社から3枚の紙が回ってくる。毎年、去年の控えを見ながら同じように書いているが、何のための紙なのか、どこを埋めれば税が戻るのかを分かっていない。

3枚は、扶養・基礎控除・保険料の紙だ。3枚の紙は、扶養・基礎控除・保険料。埋めた分だけ税が戻る。1枚ずつの中身と、書き忘れやすい5つと、転職・育休・副業の年の書き方を書く。

先に一文で。年末調整の3枚は、①扶養控除等申告書(翌年の源泉徴収の税額を決める)、②基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除の申告書(2025年分から特定親族の欄が加わった)、③保険料控除申告書(生命保険・地震保険・家族の国民年金と国保・iDeCo)で、書き忘れは家族の国民年金と国保・iDeCo・地震保険・前職の源泉徴収票、漏れは5年間は確定申告で取り戻せる。

この記事の要点

  • 1枚目|扶養控除等申告書。扶養する家族と、寡婦・ひとり親・障害者
  • 2枚目|基礎控除+配偶者+特定親族特別控除+所得金額調整控除
  • 3枚目|保険料控除。生命保険・地震保険・家族の国民年金と国保・iDeCo
  • 書き忘れは5年間、確定申告で取り戻せる

3枚それぞれの中身

何を決める紙か書くこと
①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書翌年分の源泉徴収の税額16歳以上の扶養親族(氏名・続柄・生年月日・所得の見込み)、16歳未満の子(住民税の判定用)、寡婦・ひとり親・勤労学生・障害者
②基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書その年の控除自分の給与収入の見込み→基礎控除、配偶者の所得→配偶者(特別)控除、19〜22歳の親族の収入→特定親族特別控除、年収850万超で子育て・介護→所得金額調整控除
③給与所得者の保険料控除申告書その年の控除生命保険料(一般・介護医療・個人年金)、地震保険料、社会保険料(家族の国民年金・国保)、小規模企業共済等掛金(iDeCo)
(④住宅借入金等特別控除申告書)2年目以降の住宅ローン控除年末残高証明書と税務署から届く控除申告書

②は2025年分から様式が変わり、特定親族特別控除の欄が加わった(19〜22歳の子の給与収入が123万円を超えても188万円まで段階的に控除が残る制度。扶養控除と特定親族特別控除の記事)。

書き忘れやすい5つ

  1. 子や配偶者の国民年金保険料を自分が払った分|学生の子の分を親が払っているケース。控除証明書が要る。年20万円強の控除になる
  2. 家族の国民健康保険料を自分が払った分|証明書は不要。払った額を書く
  3. iDeCoの掛金|小規模企業共済等掛金控除。10〜11月に届く払込証明書(iDeCoの上限引上げと節税額の記事
  4. 地震保険料|火災保険とセットの契約で、地震保険の部分だけが対象
  5. 前職の源泉徴収票|年の途中で入社した人(転職した年の年末調整の記事

1と2は、家族の分を自分が払っていれば全額が控除になる。年20〜40万円の控除を書き忘れる人が多い。

年ごとの書き方

書き方
転職した年前職の源泉徴収票を出す。間に合わなければ自分で確定申告(年末調整前に退職した時の記事
育休を取った年育休給付は非課税で所得が下がるので、配偶者控除・配偶者特別控除の対象になることがある。配偶者の年末調整で申告する(育休の手当はいくらもらえるかの記事
副業がある年副業の所得は年末調整では処理されない。確定申告が要り、住民税を自分で納付にすれば会社に通知されない(副業の確定申告はいくらからかの記事
住宅ローンを組んだ年初年度は確定申告、2年目以降は年末調整
医療費が10万円を超えた年年末調整ではできない。確定申告(医療費控除はいくら戻るかの記事
ふるさと納税をした年年末調整では扱わない。ワンストップか確定申告(ふるさと納税の上限の記事

12月の給与で戻る/引かれる

年末調整の結果は、12月(会社により1月)の給与で精算される。毎月の源泉徴収は概算で多めに引かれているので、控除を書いた分だけ戻ることが多い。逆に、扶養から外れた家族がいるのに申告していなかった場合は、追加で引かれる。

戻る額の目安は、控除額×(所得税率+住民税10%)。生命保険料控除を上限まで(12万円)使えば、年収500万円で約1.8万円、年収800万円で約3.6万円。書けば戻る紙だと思って埋める。

書き損じ・出し忘れの直し方

状況対応
会社の締切前訂正して出し直す。二重線と訂正印(会社の運用による)
締切後・提出後に漏れに気づいた会社が1月末までなら再計算してくれることがある。無理なら確定申告
年が明けてから気づいた確定申告(還付申告は5年間)で取り戻せる
年末調整をしていない(退職して無職のまま年を越した)確定申告。多くは還付になる

私は会社員の時、iDeCoの払込証明書を1年目に出し忘れて、確定申告で取り戻した。還付申告は5年遡れるので、慌てて出す必要はないが、翌年の住民税にも効くので、その年のうちに書いたほうが早い。今はフリーランスで年末調整の側にいないが、会社員時代のこの3枚が、控除の全体を覚える最初の教材だった。

よくある誤解

「年末調整は会社がやってくれるから任せておけばいい」。会社が計算するのは、こちらが書いた分だけ。書かない控除は反映されない。

「保険料控除は自分の分だけ」。生計を一にする家族の国民年金・国保・生命保険料を自分が払った分も控除できる。

住宅ローン控除と転職・独立

住宅ローン控除は年末残高×0.7%が新築の省エネ住宅で13年・中古で10年、所得税で引き切れない分は住民税から最大97,500円まで引ける。転職しても消えず、手続きが年末調整か確定申告に変わるだけ。独立後に新規で組むのは確定申告3年分が要って厳しく、繰上げ返済は金利0.7%との比較で決める。詳しくは住宅ローン控除は転職しても続くかの記事で書いた。

よくある質問

控除証明書をなくしました

保険会社・年金機構・運営管理機関に再発行を依頼する。電子交付(マイナポータル連携)に対応していれば、e-Taxで自動取得もできる。

年末調整と確定申告は両方やるのですか?

年末調整で済む人は確定申告は不要。医療費控除・ふるさと納税(6自治体以上)・住宅ローン初年度・副業がある人だけ、年末調整の後に確定申告をする。

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3枚の紙のどこに何を書くかのチェック表と、書き忘れやすい5つ、転職・育休・副業の年の追加手続きを並べた記入表を公式LINEで無料配布している。書けば戻る紙を、埋め切ろう。

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