去年は入院と通院が続いて、医療費が30万円かかった。医療費控除で戻ると聞いたが、いくら戻るのか。10万円を超えた20万円が戻ると思っていたが、そうではないらしい。

戻るのは超えた分の15〜33%だ。医療費30万で戻るのは3万。税率が低い人ほど、戻りは小さい。年収別の早見表と、対象になるもの、家族の合算、5年遡れる申告を書く。

先に一文で。医療費控除は(医療費−補てん額−10万円、総所得200万未満は総所得の5%)×(所得税率+住民税10%)が戻る仕組みで、令和8年分では年収300〜500万が15%・600万が20%・700〜1,000万が30%、医療費30万なら年収500万で約3万・800万で6万、対象は治療のための費用と通院の交通費で健診と予防接種は対象外、家族の分は税率の高い人にまとめ、5年遡れる。

この記事の要点

  • 戻るのは「超えた分×(所得税率+10%)」。全額ではない
  • 年収500万で医療費30万→約3万、600万→4万、800万→6万
  • 総所得200万未満は10万でなく総所得の5%が線
  • 家族の分は合算。税率の高い人が申告する。5年遡れる

年収別・医療費別の還付額

令和8年分の税制(基礎控除104万・給与所得控除74万)で計算した目安。保険金などの補てんはないものとした。

年収税率(所得税+住民税)医療費20万円医療費30万円医療費50万円医療費100万円
300万円15%1.5万円3.0万円6.0万円13.5万円
400万円15%1.5万円3.0万円6.0万円13.5万円
500万円15%1.5万円3.0万円6.0万円13.5万円
600万円20%2.0万円4.0万円8.0万円18.0万円
700万円30%3.0万円6.0万円12.0万円27.0万円
800万円30%3.0万円6.0万円12.0万円27.0万円
1,000万円30%3.0万円6.0万円12.0万円27.0万円
1,200万円33%3.3万円6.6万円13.2万円29.7万円

令和8年分は基礎控除104万・給与所得控除74万の特例で、年収500万でも所得税率が5%になる(合わせて15%)。前年までの感覚より戻りが小さく見えるが、その分は毎月の税が減っている(住民税の年収別早見表の記事年収別の手取り早見表の記事)。

10万円の線と、5%の線

総所得差し引く額
200万円以上10万円
200万円未満(年収でおよそ297万円未満)総所得の5%

パート・時短・育休明けで所得が下がった年は、医療費が10万円未満でも対象になる。総所得150万円なら7.5万円を超えた分が控除される。

対象になるもの・ならないもの

対象対象外
診療・治療・入院・手術の費用健康診断・人間ドック(異常が見つかり治療した場合は対象)
治療のための医薬品(市販の風邪薬・鎮痛剤も)予防接種、サプリメント、栄養ドリンク
通院の交通費(電車・バスの実費、必要な付添人の分)自家用車のガソリン代・駐車場代、タクシー代(急病等は可)
歯の治療(保険外の材料、大人の歯列矯正も治療目的なら)美容目的の整形・歯列矯正・ホワイトニング
出産費用(健診・入院・分娩。一時金は差し引く)里帰り出産の帰省の交通費
はり・きゅう・マッサージ(治療目的・国家資格者)疲労回復目的のマッサージ
介護保険の指定サービスの自己負担の一部本人の希望による差額ベッド代
レーシック等の視力矯正手術、医師の指示による補聴器・松葉杖メガネ・コンタクト(近視の矯正)

高額療養費・入院給付金で補てんされた額は、その治療の医療費から差し引く(他の治療費からは引かない)。出産育児一時金50万円も出産費用から差し引く(産休の手当はいくらもらえるかの記事)。

家族の分は誰がまとめるか

生計を一にする家族の分は合算できる。同居していなくても、仕送りをしている親や、別居の子の分も対象になる。

状況誰が申告するか
医療費が20万円以上税率が高い人(年収800万なら30%、400万なら15%)
医療費が10万円をわずかに超える程度総所得200万円未満の家族がいれば、その人(5%の線が下がる)
共働きで両方とも同じ税率どちらでもよい。まとめて1人で申告する

分けて申告すると、それぞれで10万円を引かれるので損になる。1人にまとめる。

セルフメディケーション税制との選択

市販薬(対象成分を含むもの)の購入が年1.2万円を超える人は、超えた分(上限8.8万円)を控除できるセルフメディケーション税制がある。医療費控除とは選択制で、両方は使えない。健康診断や予防接種を受けていることが条件で、医療費が10万円に届かない年に使う。

申告のやり方(5年遡れる)

  1. 医療費の領収書を集める|提出は不要だが5年間の保存が要る。健康保険の医療費通知(医療費のお知らせ)があれば明細の記入を省略できる
  2. 医療費控除の明細書を作る|人ごと・病院ごとに合計する。会計ソフトや国税庁のフォームで作れる
  3. 確定申告書に入れて提出|e-Taxならマイナポータル連携で医療費通知が自動で入る
  4. 還付は3週間前後|住民税は翌年6月から減る

還付だけの申告は5年間遡れるので、過去に医療費が10万円を超えた年があれば今からでも取り戻せる。申告の全体は会社員でも確定申告が必要な人の記事、ふるさと納税と同時に申告する時の注意はふるさと納税の上限の記事で書いた。

私は育休と子どもの通院が重なった年に、家族の分をまとめて申告した。戻ったのは数万円だが、同じ年にふるさと納税をワンストップで出していたので、申告書に寄附も入れ直す必要があった。医療費控除で申告する年は、ふるさと納税の書き忘れが最も高くつく。

よくある誤解

「10万円を超えた分が全部戻る」。戻るのは超えた分の15〜33%。年収500万で医療費30万なら3万円だ。

「10万円未満なら使えない」。総所得200万円未満の人は、総所得の5%を超えれば使える。

年末調整の3枚の書き方

年末調整の3枚は、①扶養控除等申告書、②基礎控除+配偶者+特定親族特別控除+所得金額調整控除の申告書、③保険料控除申告書。書き忘れが多いのは、家族の国民年金と国保を自分が払った分、iDeCo、地震保険、前職の源泉徴収票の5つで、漏れは5年間は確定申告で取り戻せる。1枚ずつの中身は年末調整の書き方の記事で書いた。

高額療養費で医療費はどこで止まるか

1ヶ月の自己負担の上限は、年収370〜770万なら80,100円+(医療費−267,000円)×1%で、医療費100万でも約87,430円。限度額適用認定証(マイナ保険証なら不要)を先に取れば窓口の支払いが上限までで済み、12ヶ月に3回該当すれば4回目から44,400円。差額ベッド代と食事代は対象外。年収別の上限は高額療養費はいくら戻るかの記事で書いた。

住民税非課税世帯の条件

住民税非課税世帯は均等割も所得割もかからない世帯で、1級地の目安は単身で合計所得45万円以下(給与収入 約110万円)、扶養2人で141万円以下(給与収入 約216万円)。判定は前年の所得なので、退職した年でなく翌年度から該当する。該当すると国保料の7割軽減、高額療養費の上限 月35,400円、大学の授業料減免、給付金の対象になる。条件は住民税非課税世帯の条件はいくらかの記事で書いた。

よくある質問

保険適用外の治療も対象ですか?

治療目的なら対象。インプラント、自由診療の歯科材料、不妊治療、視力矯正手術は対象になる。美容目的は対象外だ。

確定申告をすると会社に知られますか?

医療費控除は住民税の額が変わるだけで、内訳は会社に通知されない。副業の所得と違い、会社に伝わることを気にする必要はない。

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