育休から復帰する。フルタイムは無理なので時短にしたいが、給与が減る。減った分を補う制度があると聞いたが、いくら出るのか、年金は減らないのかが分からない。

時短で減った給与に、10%が戻る。時短で減った給与に、10%が戻る。年金は減らさない特例もある。給付の額と、要件と、年金を減らさない申し出と、育休と時短の比べ方を書く。

先に一文で。育児時短就業給付は2歳未満の子で時短勤務する人に賃金の10%を支給する制度(2025年4月〜、上限は賃金484,121円まで)で、月給24万の時短なら2.4万、要件は2歳未満の子と育休からの継続か被保険者期間12ヶ月、時短で下がる年金は養育期間の従前標準報酬のみなし措置で防げ、育休の67%と時短+10%を比べて復帰時期を決める。

この記事の要点

  • 時短中の賃金の10%が出る(2025年4月〜、2歳未満の子)
  • 月給24万の時短なら給付2.4万。合計26.4万
  • 年金は「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」で減らせる
  • 育休67%と、時短後の賃金+10%を比べて復帰の時期を決める

給付の額(時短後の賃金別)

時短前の月給時短後の賃金給付(10%)合計
30万円24万円(8割)2.4万円26.4万円
30万円21万円(7割)2.1万円23.1万円
35万円28万円2.8万円30.8万円
40万円30万円3.0万円33.0万円
50万円40万円4.0万円44.0万円

給付を足した額が時短前の賃金を超えないよう調整され、賃金の低下がわずかな場合は給付率が下がる。上限は賃金484,121円までの部分。給付は非課税で、月ごとに支給される。時短で減る給与そのものの計算は時短勤務で給料はいくら減るのかの記事で書いた。

要件

  1. 2歳未満の子を養育するために、所定労働時間を短縮して働いていること
  2. 育児休業給付の対象だった育休から引き続いて時短就業を始めたか、時短開始前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上あること
  3. 会社を通じてハローワークに申請すること(時短就業開始時と、以後は月ごと)

年金を減らさない申し出(最重要)

時短で賃金が下がると、社会保険料の基礎になる標準報酬月額が下がり(育休等終了時改定や随時改定)、保険料は安くなるが将来の厚生年金も下がる。これを防ぐのが、養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置だ。

申し出をしない申し出をする
払う保険料下がった額(安い)下がった額(安い、同じ)
将来の年金の計算下がった額で計算下がる前の額で計算

3歳未満の子を養育する期間が対象で、養育期間標準報酬月額特例申出書を会社経由で年金事務所に出す。保険料は安いまま、年金は減らないので、出さない理由がない。出していない人が多い制度だ。年金の額の見込みは年金は平均いくらもらえるかのデータ記事で書いた。

育休を続けるか、時短で復帰するか

育休を続ける時短で復帰
収入育休給付67%(181日目から50%)。非課税・社会保険料免除時短後の賃金+10%。課税・社会保険料は払う
月給30万の例67%期間 20.1万(手取り比84%)/50%期間 15万24万+2.4万=26.4万(手取りは約21万)
保育園入園の時期に合わせる必要入園していることが前提
キャリア復帰が遅れる早く戻る

育休の50%の期間に入るなら、時短で復帰したほうが手元は多いことが多い。67%の期間中はほぼ同じか育休が有利。育休の額の詳細は育休の手当はいくらもらえるかの記事、産休の手当は産休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。

時短で減るのは給与だけではない

  • 賞与|査定期間の勤務時間で減る会社が多い
  • 残業代|時短で残業しない分、月数万円が消える
  • 退職金|基本給に連動する会社では、時短の期間が影響する
  • 昇進・評価|時短を理由にした不利益な取扱いは法律で禁止されているが、実態として遅れる会社はある

時短の期間と時間数は、給付とみなし措置を含めた手取りで決める。時短をどこまで短くするか(6時間か7時間か)で、給与と給付の合計は数万円変わる。

申請の流れ

  1. 会社に時短就業の申し出をする(育児・介護休業法の所定労働時間の短縮措置。3歳未満の子で会社に義務)
  2. 会社がハローワークに育児時短就業開始時賃金証明書と受給資格確認の手続きをする
  3. 以後、月ごとに支給申請(会社経由が原則)
  4. 同時に、養育期間標準報酬月額特例申出書を会社経由で年金事務所に出す

私は男性で1年の育休を取り、その後にフルタイムで復帰した。当時この給付はなく、時短にすると減った分がそのまま家計に効いた。今は10%が戻り、年金も申し出で守れる。制度が増えた分、知っているかどうかの差が広がっている。

よくある誤解

「時短にすると年金が減るから避けたい」。養育期間のみなし措置を申し出れば、保険料は安いまま年金は減らない。

「育休を最後まで取るほうが得」。50%の期間に入ると、時短の賃金+10%のほうが手元は多いことが多い。

扶養控除と特定親族特別控除

扶養控除は一般38万・特定扶養(19〜22歳)63万・老人扶養48万(同居58万)で、年収500万なら特定扶養1人で年7.7万円の減税。2025年分からの特定親族特別控除で、子の給与収入123万超でも188万まで段階的に控除が残る(令和8年分は159万まで満額)。社会保険の130万・106万の壁は残る。額の一覧は扶養控除と特定親族特別控除の記事で書いた。

男性の育休の取り方

男性の育休は産後パパ育休(出生後8週以内に4週・2分割)と育児休業(1歳まで・2分割)を組み合わせて取り、給付は67%だが非課税と社会保険料免除で手取り約84%、夫婦とも14日以上取れば最大28日は手取り10割。申し出は1ヶ月前(産後パパ育休は2週間前)の書面で、会社は拒否できない。順番は男性の育休の取り方の記事で書いた。

パートの社会保険は2026年10月から変わる

2026年10月から社会保険の加入要件のうち月8.8万円の賃金要件が撤廃され、週20時間以上・従業員51人以上なら年収に関係なく加入になる。月収10万円なら本人負担は月約1.4万円だが、厚生年金・傷病手当金・出産手当金が付く。扶養に留まるなら週20時間未満で、130万円の壁は残る。判断はパートの社会保険は2026年10月からどう変わるかの記事で書いた。

小1の壁は預かり時間の問題だ

小1の壁の正体は、学童が18時前後で終わり保育園の19時より短くなること、夏休み40日は朝から預けて弁当が要ること、会社の時短が就学前で切れること、平日の行事が増えることの4つが同時に来る点にある。2025年4月から就学前は措置義務になったが入学後は法の義務ではないので、就学前のうちに在宅や時差の実績を作っておく。乗り切る手は小1の壁とは何かの記事で書いた。

よくある質問

男性でも受けられますか?

受けられる。2歳未満の子を養育するための時短就業なら、男女とも対象。夫婦それぞれが時短をすれば、それぞれに給付が出る。

週の所定労働日数を減らす形でも対象ですか?

所定労働時間を短縮して働いていることが要件で、1日の時間を短くする形が典型だが、週の所定を減らして時間が短くなる形も対象になり得る。会社とハローワークに確認する。

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