時短勤務にしたい。でも、給料がいくら減るのか正確に分からないまま、決断だけを迫られている。
この状態で決めるのはやめてほしい。時短の減額は、感覚ではなく計算で出せる。そして計算してみると、思ったより減る項目と、守れる項目があることも分かる。全部数字にしてから決めよう。
*筆者の立場|私は時短勤務の当事者ではないが、1年の育休と復帰後の働き方の調整を経験した父親だ。その経験と、DMに届く相談に基づいて書いている。*
この記事の要点
- 基本は時間比例の按分。8時間→6時間なら月給の4分の3が目安だ
- 減るのは月給だけではない。賞与・残業代・社会保険に波及する
- 年金には3歳未満の養育期間の特例がある。申し出を忘れるな
- 減額を抑える道は、時短以外にもある。比較してから選べ
基本の計算式。時間比例の按分
時短勤務の給与計算は、法律で一律に決まっているわけではなく、会社の規程で決まる。ただし大半の会社が採用しているのは、シンプルな時間比例だ。
時短後の月給 = 月給 × 時短後の労働時間 ÷ 所定労働時間
8時間勤務の会社で6時間の時短にするなら、6÷8で75%。月給30万円なら約22.5万円、月給25万円なら約18.75万円になる。7時間なら87.5%だ。
ここで確認すべきなのが、按分の対象がどこまでかになる。基本給のみ按分して手当は満額の会社もあれば、手当込みの総額を按分する会社もある。同じ6時間時短でも、この違いで月1〜2万円変わる。自社の規程での計算式を、人事に文書で確認する。これが最初の一歩だ。
なお、時短勤務そのもの(3歳未満の子を育てる労働者への短時間勤務制度)は育児・介護休業法で会社に義務付けられた制度で、取得を理由とする不利益な取り扱いは禁止されている。減るのは働いていない時間分の給与だけ、が法律の建て付けになる。
月給の外で減るもの。3つの波及を見落とすな
時短の家計への影響は、月給の按分だけでは終わらない。見落とされがちな波及が3つある。
1つ目、賞与。賞与の算定基礎が基本給なら、按分後の基本給がベースになる。年2回・計4ヶ月分の会社で月給が75%になれば、賞与も単純計算で75%だ。年収ベースで見ると、月給の減額と賞与の減額が二重にかかる。さらに、時短者の査定を一律で下げる運用の会社も残念ながら存在する(これは不利益取り扱いの問題があるが、実在はする)。
2つ目、残業代の消滅。時短前の年収に残業代が含まれていた人は、その分も丸ごと消える。時短は原則、残業を前提としない働き方だからだ。時短前の源泉徴収票の支払金額から、基本給部分と残業代部分を分けて把握しておくと、減額の全体が正確に見える。読み方は源泉徴収票の見方に書いた。
3つ目、社会保険料と将来の年金。給与が下がると、社会保険料の基準(標準報酬月額)も改定されて保険料は下がる。手取りの目減りは少し緩和されるが、そのままだと将来の厚生年金の記録も下がった水準で積まれる。ここに重要な特例がある。次で説明する。
年金を守る特例。申し出を忘れるな
3歳未満の子を養育する期間については、厚生年金の年金記録を時短前(従前)の標準報酬月額で計算したものとみなす特例がある。養育期間の従前標準報酬月額みなし措置と呼ばれる制度だ。
つまり、保険料は下がった給与に応じて安くなるのに、将来の年金額の計算は時短前の水準で扱われる。取らない理由のない制度だが、これは自動では適用されない。会社経由(または自分で年金事務所へ)の申し出が必要で、存在を知らないまま時短を終える人が実際にいる。
時短を申請するタイミングで、人事に「養育期間のみなし措置の手続きもお願いします」と一言添える。これだけで将来の数十年に効く話だから、この記事から1つだけ持ち帰るならここにしてほしい。制度の詳細と最新の条件は、日本年金機構のサイトか年金事務所で確認できる。
減額を数字にする。3ステップ
ここまでの材料で、あなたの時短の値段を計算できる。
- 月給の按分額を出す。規程の計算式(対象範囲込み)×時短割合。人事への確認1本で確定する
- 年収ベースに直す。按分後月給×12+賞与の見込み(按分後基本給×支給月数)。残業代があった人はゼロで置く
- 手取りに直す。年収から手取りへの換算は手取り計算ツールに入れれば1分で出る。時短前の年収と時短後の年収を両方入れて、手取りの差額を月割りで見る
この差額が、時短で買う時間の値段だ。たとえば手取りの差が月4万円で、取り戻す時間が毎日2時間なら、時給2,000円で夕方の2時間を買っている計算になる。高いか安いかは、その2時間に何が起きているかで決めればいい。保育園のお迎え、夕食、寝かしつけ。その時間の値段として判断する。
減額を抑える選択肢。時短だけが道ではない
計算の結果、減額が家計として重い場合の代替も並べておく。
- フレックス+実働維持。総労働時間を減らさず、始業・終業をずらして送迎を成立させる形。給与は減らない。コアタイムの実態確認が前提になる
- 在宅勤務との組み合わせ。通勤時間の消滅は、時短1〜2時間分に相当する。フルタイム在宅なら収入を守ったまま夕方が成立することがある。探し方は在宅で働けるワーママ転職に書いた
- 時短の幅を最小にする。6時間ではなく7時間時短にすれば減額は12.5%で済む。0か2時間かの二択ではない
- 期間を区切る。小1の壁など山場の期間だけ時短にし、復帰の時期を先に決めておく。無期限の時短より、査定・キャリアへの影響も説明しやすい
そして、いまの会社の制度が薄い・使いにくい場合は、制度の運用が成熟した会社へ移ることも選択肢に入る。両立の限界が近い人は、削る順番をワーママの両立が限界な時の削る順番で先に整理してほしい。時短は自分を削らないための道具であって、我慢の証明ではないんよ。働き方全体をどう組み替えるかはワーママの転職タイミングを起点に考えてほしい。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
時短にしたら社会保険料はすぐ下がるのか
自動では下がらない。標準報酬月額の改定(随時改定)には条件と時差があり、給与が下がってから保険料に反映されるまで数ヶ月かかるのが通常だ。時短直後の数ヶ月は、下がった給与から時短前の水準の保険料が引かれるため、手取りが想定よりさらに少なく感じる期間が発生する。この時差を知らないと、最初の給与明細で不安になるが、仕組み上の現象だ。詳細は人事か年金事務所で確認してほしい。
時短からフルタイムに戻すタイミングはいつがいいか
制度上は会社との相談でいつでも戻せるのが原則だが、実務では査定の期首に合わせると評価が整理されやすい。それより大事なのは家庭側の条件で、子供の生活リズム・学童の確保・夫婦の分担の組み直しが揃ってからにする。戻した後にまた時短に戻すのは心理的なハードルが上がるから、試しに1ヶ月フルタイムの生活を回してみてから正式に戻す方法も、会社が許すなら現実的だ。
時短中の昇給・昇格はどうなるのか
法律上、時短取得を理由とする不利益な取り扱いは禁止されているが、評価は労働の成果に基づくため、労働時間が短い分の成果差が評価に出ること自体は違法ではない。この線引きが、実務ではグレーに運用されやすい。自衛としては、時間あたりの成果を数字で残すこと。総量では負けても、時間あたり生産性で語れる実績があれば、昇格の議論の土俵に乗れる。露骨な時短差別がある会社なら、それは移る理由になる。
よくある質問
時短勤務にすると給料はどのくらい減りますか?
時間比例の按分が基本で、8時間→6時間なら75%が目安だ。按分の対象範囲(基本給のみか手当込みか)は会社の規程次第だから、人事に計算式を確認する。
時短勤務は賞与や退職金にも影響しますか?
賞与は按分後の基本給ベースになることが多く、年収では月給以上に減り得る。退職金・査定への影響は会社差が大きい。年収ベースで計算してから決めるべきだ。
時短で給料が減ると、将来の年金も減りますか?
3歳未満の養育期間には、年金記録を時短前の水準とみなす特例がある。申し出が必要だから、時短の申請と同時に手続きすること。詳細は年金事務所で確認してほしい。
時短の計算はLINEで。両立の資料を無料配布中
減額の計算手順と会社への確認リストをまとめた資料を、公式LINEで無料配布している。数字にしてから、堂々と選んでほしい。




