妻が妊娠した。育休を取りたいが、社内に取った男性がいない。いつ誰に何と言えばいいのか、給与がどうなるのか、キャリアに響くのかが分からないまま、時間だけが過ぎる。

取れない理由は制度でなく順番だ。男性の育休は40.5%が取っている。取れない理由は制度でなく順番だ。2つの制度の組み合わせと、いつ誰に言うかと、お金と、私が1年取った実際を書く。

先に一文で。男性の育休は産後パパ育休(出生後8週以内に4週・2分割)と育児休業(1歳まで・2分割)を組み合わせて取り、給付は67%(181日目から50%)だが非課税と社会保険料免除で手取り84%、出生後8週以内に夫婦とも14日以上取れば最大28日は手取り10割、申し出は1ヶ月前(産後パパ育休は2週間前)の書面で会社は拒否できない。

この記事の要点

  • 制度は2つ|産後パパ育休(8週以内に4週、2分割)+育児休業(1歳まで、2分割)
  • 給付67%+非課税+社会保険料免除=手取りの約84%
  • 夫婦とも14日以上取れば、最大28日は手取り10割
  • 申し出は1ヶ月前(産後パパ育休は2週間前)の書面。会社は拒否できない

2つの制度

産後パパ育休(出生時育児休業)育児休業
期間子の出生後8週間以内に4週間まで原則1歳まで(延長で1歳6ヶ月・2歳)
分割2回まで2回まで
申し出2週間前まで1ヶ月前まで
休業中の就業労使協定があれば一部可能原則不可(月10日か80時間以内なら可)
給付出生時育児休業給付金 67%育児休業給付金 67%(181日目から50%)

組み合わせると、出生直後に2週間+里帰りから戻る時期に2週間+妻の復職時に数ヶ月、という取り方ができる

お金(月給30万円の例)

期間給付手取りとの比
出生後8週以内で夫婦とも14日以上(最大28日)67%+出生後休業支援給付13%=80%約10割
休業開始〜180日67%(月約20.1万円)約84%
181日〜50%(月15万円)約63%

給付は非課税で、育休中は健康保険と厚生年金の保険料が免除される。住民税だけは前年分が来る(年収500万円で年約24万円)。額の詳細は育休の手当はいくらもらえるかの記事、妻側の産休は産休の手当はいくらもらえるかの記事で書いた。

いつ誰に何と言うか

時期相手言うこと
妊娠5〜6ヶ月(安定期)直属の上司に口頭で出産予定日、取りたい時期と期間、引き継ぎの案
予定日の2〜3ヶ月前人事に書面で正式な申し出開始日と終了日。社内様式か育児休業申出書
同時期チーム期間と、担当の引き継ぎ先、緊急時の連絡方法
出生後人事出生の届出、給付の申請(会社経由)

引き継ぎの案を持って相談するのが通りやすい。2025年4月からは会社が育休の取得意向を個別に確認する義務があるので、聞かれる前に自分から言う。

会社は拒否できない

育児休業は法律上の権利で、要件を満たす申し出を会社は拒否できない。労使協定で除外できるのは、入社1年未満・申し出から1年以内に雇用が終わる・週の所定労働日数2日以下などに限られる。正社員・契約社員・パートを問わず対象で、有期契約は子が1歳6ヶ月になるまでに契約が終わることが明らかでないことが条件。

取得を理由にした解雇・降格・減給・不利益な配置転換は禁止されている。「前例がない」と言われたら、就業規則の育児休業規定を確認し、人事に直接申し出る。

取得率は40.5%(令和6年度)

区分取得率
男性全体40.5%(前年30.1%)
金融業・保険業63.6%
情報通信業58.1%
医療・福祉49.7%
建設業35.5%
卸売業・小売業29.9%
生活関連サービス業・娯楽業15.8%
1,000人以上53.8%
100〜499人55.3%
5〜29人25.1%

産業と規模で4倍の差がある(男性の育休取得率のデータ記事)。社内に前例がなくても、同業の平均では珍しくない

引き継ぎの作り方

  1. 担当している業務を洗い出す(頻度・関係者・締切)
  2. 止められるもの/人に渡すもの/期間中に止めるものに分ける
  3. 渡すものは手順書にする(誰が見ても回る粒度)
  4. 緊急時の連絡ルール(連絡してよい範囲と手段)を決める
  5. 復帰後の戻り方(元の担当か、別の担当か)を上司と合意しておく

手順書を作る過程で、自分の業務の属人性が下がる。これは復帰後の評価にも効く。育休明けの席の話は育休明けに席がない時の記事で書いた。

取れない空気の会社での動き方

状況動き方
前例がない就業規則を確認し、人事に直接申し出る。法律が優先する
上司が渋る期間を短くして分割で取る(産後パパ育休2週間+育休1ヶ月など)。実績を作る
評価が下がると言われる不利益な取扱いは違法。記録を残す
どうしても無理な会社育休の実績と制度で会社を選び直す(制度の導入率でホワイト企業を見分けるデータ記事育休の実績の確認の記事

私は4社目の大阪の会社で、男性で1年の育休を取った。年収を下げてでもリモートと育休制度のある会社を選び、入社してから3年かけて信頼を作ってから申請した。取れたのは制度があったからでもあるが、引き継ぎの手順書を先に作って、期間と戻り方を合意してから言ったからでもある。育休中に匿名のSNSアカウントを育てて、副業収入が給与を超える月も出た。復帰後に退職してフリーランスになったが、あの1年がなければ独立の判断はできていない。

よくある誤解

「男性の育休は取りづらい」。取得率は40.5%で、金融・情報通信では6割前後。前例がないのは会社の問題で、制度の問題ではない。

「収入が3割減る」。67%の給付は非課税で社会保険料も免除、手取りでは約84%。出生後8週の28日は10割相当だ。

小1の壁は預かり時間の問題だ

小1の壁の正体は、学童が18時前後で終わり保育園の19時より短くなること、夏休み40日は朝から預けて弁当が要ること、会社の時短が就学前で切れること、平日の行事が増えることの4つが同時に来る点にある。2025年4月から就学前は措置義務になったが入学後は法の義務ではないので、就学前のうちに在宅や時差の実績を作っておく。乗り切る手は小1の壁とは何かの記事で書いた。

よくある質問

育休中に副業をしてもいいですか?

会社での就労は月10日(80時間)以下が条件で、賃金と給付の合計が休業前の80%を超えると減額される。会社以外の副業は給付の減額対象ではないが、就業規則と育休の趣旨(子の養育)の範囲で判断する(副業の許可申請の書き方の記事)。

妻が専業主婦でも取れますか?

取れる。配偶者が働いているかどうかは要件ではない。出生後休業支援給付の13%の上乗せも、配偶者が専業主婦(夫)などの場合は配偶者の取得要件なしで対象になる。

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