学び直しをしたほうがいいのは分かっている。でも時間がない。周りも誰もやっていないように見える。実際には何人がやっていて、会社はいくら出しているのか。
学んでいるのは3人に1人。学び直しをしている人は3人に1人。会社が出す教育費は年2万円だ。実施率の内訳と、できない理由と、会社の支出額と、学ぶ側に回る手順を書く。
先に一文で。令和7年度能力開発基本調査で自己啓発をした人は35.5%(正社員43.3%・非正規15.9%)、40代37.0%・50代31.0%と年齢で下がり、企業規模30〜49人27.5%と1,000人以上52.3%で倍近い差があり、できない理由は仕事が忙しい58.5%・費用26.2%、会社の教育費は1人年2.0万円で、非正規への研修は72.2%の企業が実績なしだ。
この記事の要点
- 自己啓発をした人|全体35.5%、正社員43.3%、正社員以外15.9%
- 年齢で下がる|30代42.8%、40代37.0%、50代31.0%、60代21.3%
- できない理由|仕事が忙しい58.5%、家事育児27.4%、費用26.2%
- 会社の教育費|OFF-JT 1人年2.0万円、自己啓発支援0.4万円。45.5%は支出なし
自己啓発をした人の割合(2024年度)
| 区分 | 割合 |
|---|---|
| 労働者全体 | 35.5% |
| 正社員 | 43.3% |
| 正社員以外 | 15.9% |
| 男性 | 40.3% |
| 女性 | 29.8% |
出典|厚生労働省 令和7年度能力開発基本調査。自己啓発は、職業に関する能力を自発的に開発・向上させる活動(趣味・健康のためのものは含まない)。
年齢・学歴・規模・産業の差
| 区分 | 割合 |
|---|---|
| 20〜29歳 | 41.9% |
| 30〜39歳 | 42.8% |
| 40〜49歳 | 37.0% |
| 50〜59歳 | 31.0% |
| 60歳以上 | 21.3% |
| 中学・高校 | 21.5% |
| 専修学校・短大・高専 | 30.2% |
| 大学(文系) | 49.0% |
| 大学院(文系/理系) | 68.7% / 69.6% |
| 企業規模 30〜49人(正社員) | 27.5% |
| 企業規模 1,000人以上(正社員) | 52.3% |
| 金融業・保険業(正社員) | 71.6%(最高) |
| 宿泊業・飲食サービス業(正社員) | 21.3%(最低) |
同じ会社員でも、規模と産業で2〜3倍の差がある。学ぶ人が多い環境にいるかどうかで、標準が変わる。
できない理由(正社員・複数回答)
| 理由 | 全体 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|---|
| 仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない | 58.5% | 62.1% | 52.4% |
| 家事・育児が忙しくて余裕がない | 27.4% | 22.2% | 36.2% |
| 費用がかかりすぎる | 26.2% | 25.8% | 26.7% |
| どのコースが自分のキャリアに適切か分からない | 21.6% | 19.5% | 25.1% |
| 自分の目指すべきキャリアが分からない | 20.0% | 17.5% | 15.2% |
| 自己啓発の結果が社内で評価されない | 16.6% | 16.2% | 26.5% |
| 適当な教育訓練機関が見つからない | 13.8% | 13.5% | 14.3% |
何らかの問題があるとした人は78.8%(正社員82.8%)。8割が壁を感じている。女性は家事・育児と、評価されないことの割合が男性より高い。
会社が出している額
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| OFF-JTか自己啓発支援に費用を支出した企業 | 54.4%(45.5%はどちらも支出なし) |
| OFF-JTに支出した費用(労働者1人当たり) | 年2.0万円(前回1.5万円) |
| 自己啓発支援に支出した費用(同) | 年0.4万円 |
| 正社員以外へのOFF-JT | 72.2%の企業が実績なし |
| 人材開発支援助成金を受給したことがある | 15.3%(32.8%は制度を知らなかった) |
| キャリアコンサルティングの仕組みがある事業所(正社員) | 48.4%(1,000人以上72.6%) |
| OFF-JTの平均受講時間 | 年20.5時間(20代31.3時間、50代15.1時間) |
会社に期待できる教育投資は年2万円程度。非正規に至っては、7割の企業が何も出していない。
会社側が挙げる人材育成の問題点
| 問題点 | 割合 |
|---|---|
| 指導する人材が不足している | 59.5% |
| 人材を育成しても辞めてしまう | 51.6% |
| 人材育成を行う時間がない | 45.5% |
| 鍛えがいのある人材が集まらない | 27.5% |
| 育成を行うための金銭的余裕がない | 14.3% |
会社は「育てても辞める」と考え、働く側は「忙しくて学べない」と考えている。この噛み合わなさが、教育費が年2万円で止まる理由になっている。
学ぶ側に回る手順
- 費用の問題を国の制度で下げる|教育訓練給付で受講料の20〜80%が戻る(教育訓練給付金の記事)。2025年10月からは、在職のまま無給の休暇を取って学ぶ人に基本手当と同額が出る(教育訓練休暇給付金の記事)
- 時間の問題を制度で作る|教育訓練休暇がある企業は5.4%しかないが、就業規則にない会社でも提案はできる(制度の導入率でホワイト企業を見分けるデータ記事)
- 何を学ぶかは、移る先の職種の40代の年収で決める|25〜29歳の年収差は小さく、45〜49歳で2倍開く(職種別・年代別の平均年収のデータ記事)
- 失業中なら訓練+月10万|求職者支援制度(求職者支援制度の記事)
- 会社の助成金を人事に伝える|人材開発支援助成金は32.8%の企業が知らない。研修を提案する時の材料になる
私は1社目のブラック企業を辞めた後、フリーターをしながら50万円払って渋谷のWebスクールに通った。当時は教育訓練給付も知らず、全額を自分で払った。今なら、給付で20〜80%が戻り、在職のまま休暇で学ぶ道もある。学ぶ人が3人に1人という数字は、裏返せば、動けば上位3分の1に入れるということだ。
よくある誤解
「みんな学んでいるのに自分だけやっていない」。学んでいるのは35.5%。40代では37.0%、非正規では15.9%だ。
「会社が研修を出してくれるはず」。1人当たり年2.0万円で、45.5%の企業は何も出していない。自分で制度を使うほうが早い。
よくある質問
自己啓発の内容は何が多いですか?
書籍などによる自学、eラーニング、社外のセミナーや講習会、通信教育、資格取得のための学校が中心。この調査では、書籍とeラーニングだけの人を除いた集計も併記されている。
会社の研修(OFF-JT)はどれくらい受けていますか?
OFF-JTを受講した労働者は37.3%で、平均の受講時間は年20.5時間。正社員22.2時間、正社員以外11.2時間で、20代31.3時間、50代15.1時間と年齢で差がある。
転職とスキルアップの資料をLINEで無料配布中
学ぶ内容を、移る先の職種の40代の年収と求人倍率から決めて、費用は教育訓練給付、時間は休暇制度で埋める計画表を公式LINEで無料配布している。動けば上位3分の1に入る。

