パートの時給が10月から上がると聞いた。いくらになるのか、フルタイムで働いたら年収はいくらか、扶養の範囲で働くなら何時間までかが分からない。求人の時給が地域の最低賃金を下回っていないかも確かめたい。

全国平均は1,177円。最低賃金は全国平均1,177円。フルタイムで年収245万が最低ラインだ。47都道府県の一覧と、月給・年収の換算と、壁に達する労働時間と、下回っていた時の請求を書く。

先に一文で。令和8年度の最低賃金は全国加重平均1,177円(+56円)で東京1,280円から宮崎1,085円まで、発効は10月1日〜12月2日と県で違い、フルタイム(月173.8時間)なら全国平均で月20.5万・年収245万、130万の壁に達するのは東京で月84.6時間、下回る給与は無効で差額を3年分請求できる。

この記事の要点

  • 全国平均1,177円(前年1,121円、+56円)。東京1,280円、宮崎1,085円
  • 引上げは54〜65円。佐賀+65円、鹿児島+64円と下位の県ほど大きい
  • フルタイム(月173.8時間)|全国平均で月20.5万、年収245万
  • 130万の壁に達する月の労働時間|東京84.6時間、全国平均92.0時間

47都道府県の一覧(令和8年度)

フルタイムの月給・年収は、週40時間・月平均173.8時間(年間2,085.6時間÷12)で私が計算した目安。

順位都道府県ランク改定後改定前引上げ額発効日フルタイムの月給年収の目安
1東京A1,280円1,226円+54円令和8年10月1日22.2万円267万円
2神奈川A1,279円1,225円+54円令和8年10月1日22.2万円267万円
3大阪A1,231円1,177円+54円令和8年10月1日21.4万円257万円
4埼玉A1,196円1,141円+55円令和8年10月1日20.8万円249万円
5千葉A1,195円1,140円+55円令和8年10月1日20.8万円249万円
6愛知A1,195円1,140円+55円令和8年10月1日20.8万円249万円
7京都B1,180円1,122円+58円令和8年11月16日20.5万円246万円
8兵庫B1,172円1,116円+56円令和8年10月1日20.4万円244万円
9静岡B1,154円1,097円+57円令和8年10月15日20.1万円241万円
10三重B1,143円1,087円+56円令和8年10月1日19.9万円238万円
11広島B1,141円1,085円+56円令和8年10月11日19.8万円238万円
12茨城B1,136円1,074円+62円令和8年10月18日19.7万円237万円
13滋賀B1,136円1,080円+56円令和8年10月3日19.7万円237万円
14北海道B1,131円1,075円+56円令和8年10月1日19.7万円236万円
15栃木B1,125円1,068円+57円令和8年10月1日19.6万円235万円
16岐阜B1,121円1,065円+56円令和8年10月1日19.5万円234万円
17群馬B1,120円1,063円+57円令和8年10月3日19.5万円234万円
18富山B1,119円1,062円+57円令和8年10月1日19.4万円233万円
19長野B1,117円1,061円+56円令和8年10月2日19.4万円233万円
20福岡B1,114円1,057円+57円令和8年10月4日19.4万円232万円
21石川B1,113円1,054円+59円令和8年10月3日19.3万円232万円
22山梨B1,113円1,052円+61円令和8年11月1日19.3万円232万円
23福井B1,112円1,053円+59円令和8年10月4日19.3万円232万円
24新潟B1,108円1,050円+58円令和8年10月1日19.3万円231万円
25奈良B1,107円1,051円+56円令和8年10月4日19.2万円231万円
26岡山B1,104円1,047円+57円令和8年10月2日19.2万円230万円
27徳島B1,103円1,046円+57円令和8年11月1日19.2万円230万円
28和歌山B1,101円1,045円+56円令和8年10月3日19.1万円230万円
29山口B1,101円1,043円+58円令和8年10月8日19.1万円230万円
30宮城B1,098円1,038円+60円令和8年10月1日19.1万円229万円
31大分C1,096円1,035円+61円令和8年11月1日19.0万円229万円
32佐賀C1,095円1,030円+65円令和8年11月15日19.0万円228万円
33福島B1,094円1,033円+61円令和8年10月16日19.0万円228万円
34愛媛B1,093円1,033円+60円令和8年11月1日19.0万円228万円
35山形C1,092円1,032円+60円令和8年10月30日19.0万円228万円
36島根B1,092円1,033円+59円令和8年10月10日19.0万円228万円
37香川B1,092円1,036円+56円令和8年10月1日19.0万円228万円
38熊本C1,092円1,034円+58円令和8年12月1日19.0万円228万円
39青森C1,090円1,029円+61円令和8年10月29日18.9万円227万円
40岩手C1,090円1,031円+59円令和8年12月1日18.9万円227万円
41秋田C1,090円1,031円+59円令和8年10月14日18.9万円227万円
42鳥取C1,090円1,030円+60円令和8年10月3日18.9万円227万円
43鹿児島C1,090円1,026円+64円令和8年10月25日18.9万円227万円
44長崎C1,087円1,031円+56円令和8年11月2日18.9万円227万円
45高知C1,086円1,023円+63円令和8年10月29日18.9万円226万円
46沖縄C1,086円1,023円+63円令和8年12月2日18.9万円226万円
47宮崎C1,085円1,023円+62円令和8年10月24日18.9万円226万円

出典|厚生労働省 令和8年度地域別最低賃金額答申状況(2026年8月)。発効日は異議の申出の状況で変わる可能性がある。

ここまでのまとめ

全国平均1,177円(前年1,121円、+56円)。東京1,280円、宮崎1,085円

引上げは54〜65円。佐賀+65円、鹿児島+64円と下位の県ほど大きい

フルタイム(月173.8時間)|全国平均で月20.5万、年収245万

読み取れること

1、上げ幅は下位の県ほど大きい。目安はAランク54円・B・Cランク56円だったが、佐賀+65円、鹿児島+64円、高知と沖縄+63円、宮崎+62円、茨城+62円と、目安を上乗せした県が多い。最高(東京1,280円)と最低(宮崎1,085円)の差は195円で、前年の203円から縮まった。

2、東京と地方の差は月給で3.4万円。フルタイムで東京22.2万、宮崎18.9万。年収では41万円の差になる。都道府県別の平均給与の差(東京678万・青森401万)より小さく、最低賃金の差より、その県にどんな仕事があるかの差のほうが大きい都道府県別の平均給与のデータ記事)。

3、発効日が県で1〜2ヶ月違う。10月1日発効が16県、11月が10県前後、岩手・熊本は12月1日、沖縄は12月2日。発効日より前の労働には改定前の額が適用されるので、10月に上がると思い込んで待つと、県によっては2ヶ月ずれる。

フルタイムで働いた時の月給と年収

時給月給(173.8時間)年収手取りの目安
1,085円(宮崎)18.9万円226万円約186万円
1,177円(全国平均)20.5万円245万円約201万円
1,231円(大阪)21.4万円257万円約210万円
1,280円(東京)22.2万円267万円約218万円

手取りは社会保険料と税金を引いた目安(40歳未満・扶養なし)。手取りの計算は年収別の手取り早見表の記事で書いた。

扶養の範囲で働く人の労働時間

年収の線東京1,280円全国平均1,177円宮崎1,085円
103万円(旧・所得税の線)月67.0時間月72.9時間月79.1時間
123万円月80.1時間月87.1時間月94.5時間
130万円(社会保険の扶養)月84.6時間月92.0時間月99.8時間
160万円(所得税の壁の上限)月104.2時間月113.3時間月122.9時間

時給が上がると、同じ年収に達する時間が短くなる。扶養内に収めるために労働時間を減らすと、手取りは増えない。2026年10月から106万円の賃金要件が撤廃され、週20時間以上・従業員51人以上なら社会保険に入るので、判断の軸は年収でなく労働時間に移る(年収の壁の一覧2026の記事副業のアルバイトで社会保険はどうなるかの記事)。

自分の給与が最低賃金を下回っていないか

  1. 時給制|時給から、通勤手当・皆勤手当・家族手当・残業代・賞与を除いた額が、地域の最低賃金以上か
  2. 月給制|(月給−除外する手当)÷月平均所定労働時間 が最低賃金以上か。月給18万・所定173.8時間なら1,036円で、全国どこでも下回る
  3. 歩合・出来高|その期間の賃金÷実労働時間

下回っていれば、その部分は無効で、最低賃金額で払ったものとされる(最低賃金法4条)。差額は3年分請求でき、労基署に申告できる(未払い賃金の請求のやり方の記事労働基準監督署に相談するとどうなるかの記事)。求人票の月給が最低賃金を割っている会社は、固定残業代を含めて月給を大きく見せていることが多い(残業代の計算方法と早見表の記事)。

転職で見る時の使い方

  • 求人票の時給・月給を、その県の最低賃金と比べる。最低賃金+100円以内の求人は、賃上げの原資が最低賃金の改定しかない会社が多い
  • 月給制の求人は、月給÷所定労働時間で時給に直す。固定残業代が入っていれば除いて計算する
  • 地方の求人でも、最低賃金の差は月3.4万円まで。年収の差はそれより大きいので、県でなく会社と職種で選ぶ(職種別の平均年収のデータ記事

私の1社目は美容業界のブラック企業で、月給から残業代を割ると最低賃金を割っていた時期があったと思う。当時は月給÷所定時間で時給に直す発想がなかった。この計算を1回やるだけで、その会社の給与が相場のどこにいるかが分かる。

よくある誤解

「最低賃金は10月に全国一斉で上がる」。発効日は県ごとに10月1日から12月2日まで違う。自分の県の日付を確認する。

「最低賃金は正社員には関係ない」。正社員も対象。月給を時間額に直して下回っていれば違反になる。

扶養控除と特定親族特別控除

扶養控除は一般38万・特定扶養(19〜22歳)63万・老人扶養48万(同居58万)で、年収500万なら特定扶養1人で年7.7万円の減税。2025年分からの特定親族特別控除で、子の給与収入123万超でも188万まで段階的に控除が残る(令和8年分は159万まで満額)。社会保険の130万・106万の壁は残る。額の一覧は扶養控除と特定親族特別控除の記事で書いた。

深夜手当(22時〜5時の0.25倍)

22時から5時の労働には0.25倍の割増が付き、残業でなくてもシフトの夜勤で発生する。時間外と重なれば1.5倍、休日深夜は1.6倍で、月給30万なら深夜の加算だけで1時間469円、月8回の夜勤で約2.2万円。管理監督者や裁量労働でも深夜割増は出る。計算は深夜手当はいくらかの記事で書いた。

パートの社会保険は2026年10月から変わる

2026年10月から社会保険の加入要件のうち月8.8万円の賃金要件が撤廃され、週20時間以上・従業員51人以上なら年収に関係なく加入になる。月収10万円なら本人負担は月約1.4万円だが、厚生年金・傷病手当金・出産手当金が付く。扶養に留まるなら週20時間未満で、130万円の壁は残る。判断はパートの社会保険は2026年10月からどう変わるかの記事で書いた。

よくある質問

最低賃金に含まれない手当は?

通勤手当・家族手当・皆勤手当・臨時の手当・賞与・残業や休日出勤の割増賃金は、最低賃金の計算から除く。基本給と、毎月支払われる職務手当などは含む。

派遣で働く場合はどちらの県の最低賃金ですか?

派遣先の事業所がある地域の最低賃金が適用される。派遣元が地方でも、派遣先が東京なら東京の額になる。

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