転職したいと思っているのは自分だけではないと分かっていても、実際に動いている人がどれくらいいるのかは見えない。周りは誰も辞めない。市場全体では、何人が動いているのか。

考えている人は1,023万人、動いた人は330万人。転職したい1,023万人、実際に動いた330万人。差は3倍だ。労働力調査の数字から、転職市場の実像を書く。

先に一文で。2025年の転職者は330万人(4年ぶりの減少)に対し転職等希望者は1,023万人(+23万人)で希望者の3割しか動いておらず、就業者6,828万人・正規3,708万人(11年連続増)・非正規2,128万人(36.5%、0.3ポイント低下)、失業率2.5%で失業者の28%は1年以上、増えた産業は医療福祉と情報通信、減ったのは卸売小売と製造だ。

この記事の要点

  • 転職者330万人/転職等希望者1,023万人。動くのは希望者の3割
  • 正規3,708万人(11年連続の増加)、非正規36.5%(0.3ポイント低下)
  • 失業率2.5%。失業者194万人のうち1年以上が55万人(28%)
  • 増えた産業|医療福祉+25万、情報通信+10万。減った|卸売小売−16万、製造−13万

転職者と転職希望者の推移

転職者数転職等希望者数
2015年299万人812万人
2019年353万人(ピーク)848万人
2020年321万人865万人
2021年290万人897万人
2022年303万人968万人
2023年328万人1,007万人
2024年331万人1,000万人
2025年330万人(−1万人)1,023万人(+23万人)

出典|総務省 労働力調査(詳細集計)2025年平均。転職等希望者は、今の仕事を辞めて別の仕事に変わりたい人と、今の仕事のほかに別の仕事もしたい人の合計。

希望者は10年で211万人増えたのに、実際に動く人は330万人前後で頭打ち。就業者6,828万人に対し、転職したい人が15%、実際に転職したのが4.8%になる。

読み取れること

1、動くのは希望者の3割。転職を考えている人の3人に2人は、その年のうちには動いていない。「周りが動いていない」のは事実で、動いた330万人の側に入るかどうかが分かれ目になる。

2、正規は11年連続で増えている。3,708万人(+54万人)で、女性が+42万人。非正規の割合は36.5%と0.3ポイント下がり、不本意非正規(正規の仕事がないから非正規)は173万人で7万人減った。正社員になりにくい時代ではない。

3、失業率2.5%は低いが、長期失業は減らない。失業者194万人のうち、3ヶ月未満が83万人、1年以上が55万人(28%)。短期で決まる人と、長引く人に分かれている。活動の期間と方法は転職活動の期間と方法のデータ記事で書いた。

4、人が増えている産業と減っている産業

産業就業者数前年比
医療・福祉947万人+25万人
サービス業(他に分類されないもの)482万人+16万人
情報通信業302万人+10万人
卸売業・小売業1,029万人−16万人
製造業1,033万人−13万人

増えている産業は求人が出て、減っている産業は椅子が減る。業界別の給与は業界別の平均給与のデータ記事、職種別は職種別の平均年収のデータ記事で書いた。

非正規で働く理由

理由人数前年比
自分の都合のよい時間に働きたいから757万人+26万人
家計の補助・学費等を得たいから366万人±0
家事・育児・介護等と両立しやすいから226万人−1万人
専門的な技能等をいかせるから166万人+2万人
通勤時間が短いから110万人−2万人
正規の仕事がないから(不本意非正規)173万人−7万人

不本意非正規は2021年の216万人から173万人まで減った。非正規を選んでいる人が増え、やむを得ず非正規の人は減っている

完全失業者の内訳

求職の理由人数
自発的な離職(自己都合)75万人
新たに求職48万人
勤め先や事業の都合による離職(会社都合)22万人

会社都合より自己都合が3倍以上多い。辞めてから探す人が多数派だが、失業が1年以上に及ぶ人が55万人いることを考えると、在職中に動くほうが安全だ(会社都合と自己都合の違いの記事失業保険の日額早見表の記事)。

この数字の使い方

  1. 「みんな辞めていない」は正しくない。1,023万人が転職を考え、330万人が動いている
  2. 動く人と動かない人の差は、情報でなく着手。希望者の3割しか動いていない
  3. 産業を選ぶ。人が増えている医療福祉・情報通信・サービス業は求人が出続ける
  4. 在職中に動く。失業者の28%は1年以上決まっていない

私は4回転職した。辞めたい人と、辞めた人の間にある差は、能力でなく手を動かしたかどうかだった。1社目のブラック企業を辞めた時も、次が決まっていない状態で飛び出したので、フリーターの期間が長引いた。この数字を見ると、在職中に動くことの価値がはっきりする。

よくある誤解

「転職する人が増えすぎて席の取り合いになっている」。転職者は330万人で横ばい。増えているのは希望者だけだ。

「非正規が増え続けている」。割合は36.5%で低下。正規は11年連続で増え、不本意非正規は減っている。

学び直しの実態(公的データ)

令和7年度能力開発基本調査で、自己啓発をした人は35.5%(正社員43.3%・非正規15.9%)、30代42.8%・50代31.0%と年齢で下がり、企業規模30〜49人27.5%と1,000人以上52.3%で差がある。できない理由は仕事が忙しい58.5%・費用26.2%で、会社が出す教育費は1人年2.0万円。数字の全体は学び直しをしている人は35.5%のデータ記事で書いた。

よくある質問

転職者数の定義は?

就業者のうち、過去1年間に離職を経験した人(前職のある人)。転職活動をした人でなく、実際に職を変えた人の数だ。

年代別の転職者数は分かりますか?

労働力調査の詳細集計に年齢階級別がある。25〜34歳が最も多く、35〜44歳、45〜54歳と続く。年代別の転職で年収が上がる割合は転職で年収が上がる割合のデータ記事で書いた。

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