残業代が付いていない。有給を取らせてもらえない。労基署に言えばいいと聞くが、何をしてくれるのか、会社にバレないのか、パワハラも扱ってくれるのかが分からない。
労基署が動くのは法律違反だけだ。労基署が動くのは法律違反だけ。パワハラと不当解雇は労働局と裁判所だ。できることとできないこと、申告の手順と持ち物、匿名とバレる可能性、動かない時の次の手を書く。
先に一文で。労基署は未払い賃金・残業・有給・解雇予告手当・安全衛生などの法律違反に立入調査と是正勧告をするが、パワハラ・不当解雇・回収の代行は権限外で労働局と労働審判の領域、相談は匿名でよく申告は名乗って行い労基署は申告者を明かさず、証拠(明細・勤怠・計算)が揃うほど早く動き、動かなければあっせん・労働審判に進む。
この記事の要点
- できる|未払い賃金・残業・有給拒否・36協定超・休憩なし・予告手当・労災隠し・安全衛生
- できない|パワハラ・不当解雇・退職勧奨・評価の不満・個別の回収代行
- 相談は匿名可、申告は名乗る。労基署は申告者を明かさない。不利益扱いは違法
- 動かない時は労働局のあっせん→労働審判→訴訟
できること・できないこと
| 労基署が動く(法律違反) | 労基署の権限外(労働局・裁判所) |
|---|---|
| 賃金・残業代・割増の未払い(労基法24条・37条) | パワハラ・セクハラ(労働局の雇用環境・均等部、総合労働相談コーナー) |
| 最低賃金未満 | 解雇の有効性・不当解雇(あっせん・労働審判・裁判) |
| 有給を取らせない(39条) | 退職勧奨・配置転換・評価への不満 |
| 36協定なし・上限超の残業(32条・36条) | 個別の未払い額の回収代行(是正は求めるが回収は本人) |
| 休憩を与えない(34条) | 労働条件の交渉 |
| 解雇予告手当の不払い(20条) | 業務委託・フリーランスの報酬(下請法・フリーランス法の窓口) |
| 労働時間の記録の不備、労災隠し、安全衛生の違反 | ― |
| 退職時の証明書を出さない(22条) | ― |
法律の条文に違反する事実があれば労基署、人間関係と解雇の妥当性なら労働局か裁判所。分からなければ、労基署内にある総合労働相談コーナーで振り分けてもらう。
申告の手順
- 管轄を調べる|会社の所在地の労基署。本社と勤務地が違えば勤務地
- 相談する|電話か窓口。匿名でよい。証拠として何が要るかを聞く
- 申告する|労基法104条の申告は本人が名乗る。申告書(様式自由)に会社名・所在地・違反の内容・期間・証拠を書く
- 労基署が確認する|会社に電話・書面・立入調査。違反があれば是正勧告、会社は是正の報告
- 払われなければ次へ|労働局のあっせん→労働審判→訴訟
相談から是正まで1〜3ヶ月が目安。証拠が揃うほど早い。
持ち物(証拠)
| 証拠 | 何を示すか |
|---|---|
| 給与明細(3年分) | 払われた額 |
| 雇用契約書・労働条件通知書・就業規則 | 約束された条件 |
| タイムカード・勤怠のスクリーンショット・PCログ・メールの送信時刻・シフト表 | 実際の労働時間 |
| 未払いの計算表 | 額と根拠(残業代の計算方法と早見表の記事) |
| 会社とのやり取り(未払いを求めたメール・書面) | 会社が把握していた事実 |
労基署は人手が限られ、証拠が薄い相談は後回しになりやすい。条文と証拠を揃えて申告する。集め方は未払い賃金の請求のやり方の記事で書いた。
会社にバレるか
- 相談だけなら匿名でよい
- 申告は名乗るが、労基署は申告者を会社に明かさない義務がある
- ただし、未払いの内容・期間・部署から本人が推測されることはある
- 申告を理由にした解雇・減給・配転は労基法104条2項で禁止。それ自体が違法で、次の申告の対象になる
- 退職後に申告する形なら、推測されても不利益はない。賃金の時効は3年
動かない時の次の手
| 手段 | 内容 | 費用・期間 |
|---|---|---|
| 労働局の総合労働相談コーナー | 助言、あっせん(第三者が間に入る。会社が応じなければ終了) | 無料、1〜2ヶ月 |
| 労働審判 | 裁判所。3回以内の期日で調停か審判 | 2〜4ヶ月。弁護士は着手金10〜30万+成功報酬 |
| 訴訟 | 判決。未払い額と同額の付加金を請求できる | 半年〜1年以上 |
| 労働組合(社外のユニオン) | 団体交渉を会社に求められる | 組合費 |
解雇なら解雇予告手当の計算方法の記事、退職勧奨なら退職勧奨されたらどうするかの記事、会社都合にできる退職理由は会社都合と自己都合の違いの記事で書いた。
私の1社目は美容業界のブラック企業で、残業代なし・休日出勤・パワハラが揃っていた。残業代と休日出勤は労基署、パワハラは労働局と、窓口が分かれていることを当時は知らなかった。証拠もなく、どこにも行かずに辞めた。今なら、明細と勤怠を3ヶ月分揃えて、労基署に条文で申告する。
よくある誤解
「労基署に言えば全部解決する」。動くのは法律違反だけ。回収は本人が請求し、パワハラと不当解雇は労働局と裁判所だ。
「申告したら会社にバレて報復される」。労基署は申告者を明かさない義務があり、報復は違法。退職後の申告なら不利益もない。
よくある質問
労基署に行く時間がありません
電話相談と、メールでの情報提供(労働基準関係情報メール窓口)がある。メールは匿名で、労基署が調査の参考にする。申告として扱ってほしい場合は窓口か郵送で名乗って出す。
フリーランスの報酬未払いは労基署ですか?
違う。業務委託は労働基準法の対象外で、フリーランス法・下請法の窓口(公正取引委員会・中小企業庁のフリーランス・トラブル110番)か、少額訴訟・支払督促になる(フリーランスの報酬未払いの記事)。
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自分の問題が労基署・労働局・裁判所のどれに当たるかの振り分け表と、申告書の記入例、持ち物のチェック、動かない時の次の手を並べた記入表を公式LINEで無料配布している。窓口を間違えると、動かない。先に振り分けよう。

