突然、解雇を言い渡された。今日で終わりだと言われた。予告手当というものがあるらしいが、いくらなのか、受け取ったら解雇を認めたことになるのか、失業保険はどうなるのかが分からない。

即日解雇なら30日分だ。即日解雇なら30日分。受け取っても、解雇の有効性は別に争える。計算と、例外と、受け取った後にできることを書く。

先に一文で。解雇予告手当は30日に足りない日数分の平均賃金(直前3ヶ月の賃金総額÷暦日数)で、即日解雇なら30日分、月給30万なら約29.3万、試用期間14日以内や重責解雇などは例外、受け取っても解雇の有効性は別に争え、解雇は失業保険で会社都合扱い、退職金とは別に受け取れる。

この記事の要点

  • 額|30日−予告日数の平均賃金。即日30日分、20日前なら10日分
  • 平均賃金|直前3ヶ月の賃金総額÷暦日数。月給30万で1日9,783円、30日分29.3万
  • 例外|試用14日以内、2ヶ月以内契約、日雇い、天災、重責解雇(労基署の認定)
  • 受け取っても争える。解雇理由証明書を請求し、録音する

計算の手順

  1. 直前3ヶ月の賃金総額を出す|基本給・残業代・通勤手当・各種手当を含む。賞与と臨時の手当は除く。賃金締切日があれば、その直前の締切日から遡って3ヶ月
  2. 暦日数で割る|休日を含む日数(例:6〜8月なら92日)。これが平均賃金
  3. 30日−予告した日数を掛ける
予告のタイミング予告手当
即日解雇(予告なし)30日分
10日前に予告20日分
20日前に予告10日分
30日以上前に予告0(予告手当は不要)

月給別の例(即日解雇・30日分)

月給(残業代込み)3ヶ月の賃金総額平均賃金(92日)予告手当30日分
25万円75万円8,152円約24.5万円
30万円90万円9,783円約29.3万円
35万円105万円11,413円約34.2万円
40万円120万円13,043円約39.1万円
50万円150万円16,304円約48.9万円

日給・時給・出来高の人は、賃金総額÷実際の労働日数×60%が平均賃金の下限になる。

予告手当が要らない例外

例外条件
試用期間中14日以内の人だけ。15日目以降は予告手当が要る
期間を定めた契約2ヶ月以内の契約(更新して超えたら要る)
季節雇用4ヶ月以内
日雇い1ヶ月を超えて続けて雇われていない人
天災などで事業の継続が不可能労基署の除外認定が要る
労働者の重大な責め横領・重大な経歴詐称など。労基署の除外認定が要る

会社が「懲戒解雇だから予告手当はない」と言っても、労基署の除外認定がなければ予告手当は要る。認定の有無を確認する。

受け取っても、解雇は別に争える

予告手当は解雇の手続きのお金で、受け取ることは解雇を認める意味にならない。解雇が有効になるには、客観的に合理的な理由と社会的相当性が要る(労働契約法16条)。

解雇の種類有効になる条件
普通解雇(能力・勤務態度)具体的な事実、改善の機会を与えた記録、配置転換などの回避努力
整理解雇(人員削減)人員削減の必要性、解雇回避の努力、人選の合理性、手続きの妥当性
懲戒解雇就業規則の根拠、事実の重大性、手続き(弁明の機会)

争うなら、①解雇理由証明書を請求する(労基法22条。会社は出す義務がある)、②面談を録音し解雇通知書をもらう、③労働局のあっせん・労働審判・訴訟のどれかで進める。無効になれば解雇日以降の賃金(バックペイ)を請求できる。退職勧奨との違いは退職勧奨されたらどうするかの記事で書いた。

失業保険と退職金

  • 失業保険|解雇は特定受給資格者(会社都合扱い)。待期7日の後すぐ、給付日数90〜330日。重責解雇だけは自己都合と同じ給付制限(会社都合と自己都合の違いの記事失業保険の日額早見表の記事
  • 退職金|就業規則の規定。普通解雇・整理解雇は会社都合として支給、懲戒解雇は不支給や減額の規定が多い(退職金の相場の記事
  • 予告手当と退職金は別。両方受け取れる。予告手当は退職所得として扱われる

払われない時

  1. 会社に書面(メール可)で請求する。平均賃金の計算と日数を書く
  2. 払われなければ労働基準監督署に申告する。労基法20条違反は罰則があり、労基署が是正を指導する
  3. 裁判所に請求すれば、予告手当と同額までの付加金(倍額)を命じられることがある

給与明細と勤怠の記録が平均賃金の証拠になる。辞める前に3ヶ月分の明細を手元に置く残業代の計算方法と早見表の記事)。

私は解雇された経験はないが、1社目の美容業界のブラック企業では、辞めると言った同僚が「明日から来なくていい」と言われていた。それは即日解雇で、30日分の予告手当が要る場面だった。当時は誰も知らず、誰も請求しなかった。

よくある誤解

「予告手当をもらったら解雇を受け入れたことになる」。ならない。手続きのお金で、有効性は別に争える。

「試用期間中は予告なしで解雇できる」。14日以内だけ。15日目からは予告か予告手当が要る。

労働基準監督署に相談するとどうなるか

労基署は未払い賃金・残業・有給拒否・解雇予告手当・安全衛生などの法律違反に立入調査と是正勧告をするが、パワハラ・不当解雇・回収の代行は権限外で労働局と労働審判の領域。相談は匿名でよく申告は名乗って行い、労基署は申告者を明かさず、証拠が揃うほど早く動く。振り分けと手順は労働基準監督署に相談するとどうなるかの記事で書いた。

よくある質問

予告手当の代わりに30日分働かせると言われました

30日以上前の予告なら、その間は通常の勤務で給与が出る。予告と手当を組み合わせて(例:10日前に予告+20日分の手当)合計30日にする形も認められる。

解雇を言われた日に有給が残っています

解雇日までに消化を申し出ることができる。会社が拒めば、退職時の買取を交渉する。解雇予告期間中の有給取得は認められる。

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