上司に呼ばれて、「この先の活躍の場は社外にあるのでは」と言われた。断っていいのか、断ったら解雇されるのか、応じるなら何を言えばいいのか。その場で答えを求められて、頭が真っ白になった。

その場で答えない。断れる。応じるなら条件を取る。退職勧奨は、その場で答えない。断れるし、応じるなら条件を取る。断り方と、退職強要の線と、応じる時の5つの条件と、失業保険の扱いを書く。

先に一文で。退職勧奨は応じる義務がなく断っても解雇にはならず、繰り返しや長時間の面談は退職強要で違法、応じるならその場で答えず書面で条件をもらい、会社都合・退職金の上乗せ(月給3〜12ヶ月)・有給消化・在籍期間・転職支援を交渉して合意書に署名し、退職届は書かず、失業保険は給付制限なしで90〜330日になる。

この記事の要点

  • 断れる。断ったことは解雇の理由にならない
  • 繰り返し・長時間・複数人・人格否定・仕事の取り上げは退職強要(違法)
  • 応じるなら5条件|会社都合・退職金上乗せ・有給消化・在籍と給与・転職支援
  • 退職届は書かない。合意書に署名する。面談は録音する

退職勧奨と解雇の違い

退職勧奨解雇
何か会社が退職を勧める(お願い)会社が一方的に契約を終わらせる
応じる義務ない―(有効性を争える)
会社に要る条件なし(勧めるだけ)客観的に合理的な理由と社会的相当性、30日前の予告か予告手当
失業保険応じれば特定受給資格者(会社都合扱い)特定受給資格者(重責解雇を除く)
断った後在籍が続く。報復は違法

勧奨を断ったことは、解雇の理由にならない。会社が解雇に進むなら、能力不足の具体的な証拠と改善機会の記録が要り、それがなければ無効を争える。

その場での対応

  1. 答えない。「持ち帰って考えます」で終える。その場の署名・退職届の記入は断る
  2. 録音する。自分が参加する会話の録音は違法でない。スマホをポケットで回す
  3. 記録する。日時・場所・出席者・発言を、面談後すぐにメモする
  4. 理由を聞く。「なぜ私なのか」「会社都合の人員整理か、私個人の評価か」を確認する。評価が理由なら、具体的な事実と改善の機会があったかを聞く

断る場合

「退職する意思はありません。今後も業務を続けます」と明確に言う。理由の説明は要らない。断った後に起きたことを全部記録する

会社の行動判断
1〜2回の面談で終わる通常の退職勧奨。問題ない
断ったのに面談を繰り返す、1回が長時間、複数人で囲む退職強要。違法。慰謝料の対象
人格を否定する発言、仕事を取り上げて放置、隔離退職強要+パワハラ
不当な異動・減給・評価の引下げ報復として争える。記録を続ける

相談先は、都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料、あっせん)、労働組合(社外のユニオンでも可)、弁護士(労働審判)。証拠は録音と記録だ。

応じる場合の5条件

条件内容目安
1 会社都合離職票の理由を「退職勧奨」にする。合意書に明記失業保険が給付制限なし・90〜330日
2 退職金の上乗せ特別退職金・解決金月給の3〜12ヶ月分。人員整理の事情が強いほど上がる
3 有給全消化か買取退職日を消化後に置く
4 在籍と給与退職日までの給与と社会保険退職日を後ろに置くほど有利
5 転職支援再就職支援会社の紹介、在籍中の転職活動の許可

退職届は書かない。退職届は自己都合の意思表示で、会社都合の扱いと上乗せの根拠が消える。署名するのは、条件が入った退職合意書だ。合意書には、離職理由・退職日・退職金と解決金の額と支払日・有給の扱い・清算条項が入る。署名前に労働局か弁護士に見てもらう。

失業保険と退職金の差

退職勧奨に応じた退職は、雇用保険で特定受給資格者になる。給付制限なし、給付日数は年齢と加入年数で90〜330日。45歳・加入20年・日額7,000円なら、自己都合150日105万に対し会社都合330日231万で、126万の差になる(会社都合と自己都合の違いの記事)。退職金の規定も、会社都合の支給率が高い会社が多い(退職金の相場の記事)。国保の軽減も付く。理由の欄を自己都合にされると、この全部が消える

応じるか断るかの判断

応じたほうがいい断ったほうがいい
条件が揃った(上乗せ月給6ヶ月以上・会社都合・有給消化)条件が出ない、退職届だけ求められる
自分でも辞め時だと思っていた住宅ローン・子どもの進学など、今辞めると生活が崩れる
会社の業績悪化で次の勧奨や整理解雇が見える勧奨の理由が個人の評価で、事実と違う
転職市場で動ける年齢・職種40代後半以降で、同条件の転職先が見えない

私は4回転職したが、退職勧奨を受けたことはない。ただDMには、40代で勧奨を受けてその場で退職届を書き、自己都合になって失業保険が3ヶ月分減った相談が繰り返し届く。まとめると、失敗はほぼ全部「その場で答えた」ことから始まっている。持ち帰るだけで、条件と離職理由は変わる。辞めた後の順番は退職後の手続き完全ガイド、転職の動き方は

よくある誤解

「退職勧奨は断れない」。断れる。断ったことは解雇の理由にならず、繰り返す面談は退職強要で違法だ。

「応じるなら退職届を出すもの」。退職届は自己都合の意思表示。応じる時は条件入りの合意書に署名し、退職届は書かない。

解雇予告手当の計算

解雇予告手当は30日に足りない日数分の平均賃金(直前3ヶ月の賃金総額÷暦日数)で、即日解雇なら30日分、月給30万なら約29.3万。試用期間14日以内や重責解雇(労基署の認定)は例外。受け取っても解雇の有効性は別に争え、解雇は失業保険で会社都合扱いになる。計算表は解雇予告手当の計算方法の記事で書いた。

希望退職の割増は応募すべきか

希望退職の割増は月給6〜24ヶ月分で45〜50歳が最も高く、応募は会社都合扱いで失業保険は給付制限なし・最大330日、退職金と割増は退職所得控除で勤続25年なら1,150万まで非課税。応募前に額・離職理由・再就職支援・有給・撤回と拒否条項を書面で確認し、生活費何年分か・転職先の見込み・固定支出・残った時の処遇・会社の状態の5つで決める。表と判断は希望退職の割増は応募すべきかの記事で書いた。

うつで退職を考えた時の順番

うつで辞めたい時はまず休職で傷病手当金(月給の3分の2・1年6ヶ月)を受け、退職するなら1年以上の加入・退職日に受給中・退職日に出勤しないの3条件で手当を続け、失業保険は受給期間の延長を申請して回復後に受ける。病気の退職は特定理由離職者で給付制限なし、自立支援医療で医療費1割。順番はうつで退職を考えた時の順番の記事で書いた。

労働基準監督署に相談するとどうなるか

労基署は未払い賃金・残業・有給拒否・解雇予告手当・安全衛生などの法律違反に立入調査と是正勧告をするが、パワハラ・不当解雇・回収の代行は権限外で労働局と労働審判の領域。相談は匿名でよく申告は名乗って行い、労基署は申告者を明かさず、証拠が揃うほど早く動く。振り分けと手順は労働基準監督署に相談するとどうなるかの記事で書いた。

よくある質問

退職勧奨の面談で「解雇もあり得る」と言われました

解雇には合理的な理由と相当性が要り、勧奨を断ったことは理由にならない。発言を録音し、「解雇するなら理由を書面でください」と求める。解雇予告通知が出たら、労働局か弁護士に相談して有効性を争う。

上乗せの相場はどう決まりますか?

会社の人員整理の切迫度、勤続年数、年齢、再就職の難しさで決まる。希望退職の募集なら月給6〜24ヶ月分の事例もある。最初の提示で決めず、条件を書面でもらってから交渉する。

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