会社が希望退職を募集した。対象年齢に入っている。割増は大きく見えるが、応募したら次があるのか、残ったらどうなるのか。誰にも相談できないまま、締切が近づく。

割増は年齢で決まり、45〜50歳がピークだ。割増は年齢で決まる。45〜50歳がピークで、後は減る一方だ。相場と、失業保険と税金と、応募前に確認する5つと、応じる人と残る人の分かれ目を書く。

先に一文で。希望退職の割増は月給6〜24ヶ月分で45〜50歳が最も高く、応募は会社都合扱いで失業保険は給付制限なし・最大330日、退職金と割増は退職所得控除で勤続25年なら1,150万まで非課税、応募前に額・離職理由・再就職支援・有給・撤回と拒否条項を書面で確認し、割増が生活費何年分か・転職先の見込み・ローンと教育費・残った時の処遇・会社の状態の5つで決める。

この記事の要点

  • 割増の相場|月給6〜24ヶ月分。45〜50歳がピーク、55歳以降は下がる
  • 失業保険|会社都合扱い。45歳以上・加入20年で330日
  • 税金|退職所得控除。勤続25年なら1,150万まで非課税、超えた分の半分に課税
  • 判断|生活費何年分か、転職先の見込み、固定支出、残った時の処遇、会社の状態

割増の相場と条件

項目相場
割増(特別加算金)月給の6〜24ヶ月分。大企業12〜24、中堅6〜12
年齢別45〜50歳がピーク。55歳以降は定年までの残りが短く下がる
再就職支援半年〜1年のサービス(会社負担で1人50〜100万相当)
有給・退職日全消化、退職日までの給与、在職中の転職活動の許可
離職理由特定受給資格者(会社都合扱い)

月給40万・45歳・18ヶ月分なら割増720万。通常の退職金(勤続23年で1,000万前後)と合わせて1,700万前後になる(退職金の相場の記事)。

失業保険と税金

失業保険|希望退職への応募は特定受給資格者で、給付制限なし。給付日数は年齢と加入年数で決まり、45歳以上・加入20年以上なら330日。日額上限7,000円台なら最大230万前後(会社都合と自己都合の違いの記事失業保険の日額早見表の記事)。

税金|退職金と割増は退職所得で分離課税。退職所得控除は勤続20年以下が40万×年数、20年超が800万+70万×(年数−20)。

勤続控除退職金+割増1,700万の課税所得税の目安
20年800万(1,700−800)÷2=450万約90万
25年1,150万(1,700−1,150)÷2=275万約50万
30年1,500万(1,700−1,500)÷2=100万約15万

退職所得の受給に関する申告書を会社に出せば、この計算で源泉徴収されて終わる。出さないと20.42%で引かれ、確定申告で取り戻す(退職金の税金の早見表の記事)。翌年の住民税は退職金には来ないが、給与分は来る。

応募前に書面で確認する5つ

  1. 割増の額と支払時期|退職日にまとめてか、分割か
  2. 離職理由|離職票に「希望退職への応募」と書かれ、特定受給資格者になるか
  3. 再就職支援の内容|期間、会社負担の範囲、在職中に使えるか
  4. 有給と退職日|全消化できるか、退職日を消化後に置けるか
  5. 撤回と拒否|応募後に撤回できるか、会社が応募を拒否できる条項(対象者の限定)があるか

会社が応募を拒否できる制度の会社では、応募した事実が残る。拒否された後の処遇も想定してから出す。

応じる人と残る人の分かれ目

応募する側に傾く残る側に傾く
転職先の見込みが立っている(内定・オファー・同職種の求人が多い)今の職種で社外の求人が少ない
割増+退職金が生活費3年分以上住宅ローン・教育費の残りが大きく、年収2〜3割減で回らない
独立・地方移住など次の形が決まっている残っても業務と処遇が保てる見込みがある
残っても評価・処遇が上がる見込みがない会社の募集理由が一時的な調整
会社の赤字が続いていて、次の募集や整理解雇が見える

5つの数字で決める。①割増と退職金の合計÷月の生活費=何年分、②転職後の年収の見込み(転職で年収が上がる割合のデータ記事職種別・年代別の平均年収のデータ記事)、③今後10年の固定支出、④残った場合の処遇、⑤会社の状態(会社が倒産しそうな兆候の記事)。

応募しなかった後に起きること

  • 人員が減った分の業務の集中と、賃金制度・評価制度の見直し
  • 2回目の募集は条件が下がる傾向。1回目が18ヶ月なら2回目は12ヶ月など
  • 個別の退職勧奨。断れるが、繰り返しは退職強要になる(退職勧奨されたらどうするかの記事
  • 整理解雇。4要件(必要性・回避努力・人選・手続き)を満たす必要があり、希望退職の募集は回避努力の一部として行われる

残る判断は、残った後の3年を具体的に描けるかどうかだ。描けないなら、条件の良い1回目で動くほうが有利になる。

私は4回転職し、4社目は自分から年収を下げてリモートと育休制度のある会社を選んだ。希望退職の場面ではなかったが、辞めるかどうかを「今の条件」でなく「辞めた後の3年で何をするか」で決めた点は同じだ。割増の額に目が行くが、決めるのは次の3年の形だ。40代の動き方は40代の書類が通らない時の記事、独立するなら独立前に会社員のうちにやることの記事で書いた。

よくある誤解

「希望退職は自己都合になる」。会社の募集に応じた退職は特定受給資格者で、会社都合と同じ扱い。給付制限はない。

「残れば安全」。残った後に業務の集中と2回目の募集、退職勧奨、整理解雇が来る会社が多い。残る判断も、次の3年を描いてからだ。

解雇予告手当の計算

解雇予告手当は30日に足りない日数分の平均賃金(直前3ヶ月の賃金総額÷暦日数)で、即日解雇なら30日分、月給30万なら約29.3万。試用期間14日以内や重責解雇(労基署の認定)は例外。受け取っても解雇の有効性は別に争え、解雇は失業保険で会社都合扱いになる。計算表は解雇予告手当の計算方法の記事で書いた。

定年後の再雇用の給与と給付

再雇用の給与は定年前の6〜7割が相場で、高年齢雇用継続給付は2025年4月から上限10%(月給30万で3万)に縮小され将来廃止、65歳以降は年金と給与の合計65万超で年金が半分停止。仕事が同じで6割未満は判例で争え、再雇用・転職・独立は55歳前後に条件を書面で確認して決める。3択の比較は定年後の再雇用で給与はどれだけ下がるかの記事で書いた。

よくある質問

割増を受け取った後、すぐ再就職しても返す必要はありますか?

ない。割増は退職の対価で、再就職の時期に条件は付かない。再就職手当も、条件を満たせば別に受けられる(再就職手当の記事)。

対象年齢に入っていない人が応募できますか?

募集要項の対象外なら応募できないか、応募しても割増が付かない。個別に相談すれば対象に含める会社もあるので、人事に確認する。

退職の資料をLINEで無料配布中

割増と退職金の合計を生活費の年数に直し、転職後の年収と固定支出、残った場合の処遇を並べて応募するかを決める記入表(応募前の5確認つき)を公式LINEで無料配布している。割増の額でなく、次の3年で決めよう。

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