定年が見えてきた。再雇用で残れると聞いているが、給与がどれだけ下がるのか、補う制度はあるのか、年金と給与は両方もらえるのか。今のうちに転職か独立を考えるべきなのかが分からない。
再雇用の給与は6〜7割で、補う給付は10%に減った。再雇用の給与は6〜7割。補う給付は10%に減った。50代で3択を決める。給与の下がり方と、給付の縮小と、在職老齢年金の線と、再雇用・転職・独立の選び方を書く。
先に一文で。再雇用の給与は定年前の6〜7割が相場で、高年齢雇用継続給付は2025年4月から上限10%(月給30万で3万)に縮小され将来廃止、65歳以降は年金と給与の合計65万超で年金が半分停止、仕事が同じで6割未満は判例で争え、再雇用・転職・独立は55歳前後に条件を書面で確認して決める。
この記事の要点
- 再雇用の給与|定年前の6〜7割。賞与は減額か廃止
- 高年齢雇用継続給付|2025年4月から15%→10%。月給30万で最大3万。将来廃止
- 在職老齢年金|65歳以降、年金+給与が月65万超で超えた分の半分が停止
- 3択は55歳で決める。再雇用の条件を書面で確認、転職は55歳まで、独立は副業から
再雇用の給与の下がり方(月給50万の例)
| 項目 | 定年前 | 再雇用後の目安 |
|---|---|---|
| 基本給 | 50万円 | 30〜35万円(6〜7割) |
| 賞与 | 年4ヶ月 | 減額か廃止 |
| 役職手当 | あり | なし |
| 契約 | 無期 | 1年更新、65歳まで |
| 年収 | 800万前後 | 400〜450万前後 |
年収は半分近くになる会社が多い。年収の下がり幅と、給付と年金で補える額を先に計算する。年金の平均は年金は平均いくらもらえるかのデータ記事で書いた。
高年齢雇用継続給付(2025年4月から縮小)
60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満に下がった時に雇用保険から出る。
| 60歳時点の賃金に対する割合 | 給付率(2025年4月以降に60歳) | (参考)それ以前に60歳 |
|---|---|---|
| 61%以下 | 賃金の10% | 15% |
| 61%超〜75%未満 | 段階的に減る | 段階的に減る |
| 75%以上 | 0 | 0 |
月給50万→30万(60%)なら3万円。支給対象の賃金には上限(令和8年8月〜 397,369円)があり、それ以上では出ない。将来の廃止が決まっているので、これから60歳になる人は当てにしないほうがいい。給付を受けている間は、在職老齢年金(65歳未満の特別支給)が一部調整される。
在職老齢年金の線(65歳以降)
65歳以降も厚生年金に加入して働く人は、年金の報酬比例部分と給与(賞与込みの月額換算)の合計が月65万円(令和8年度、前年度の51万円から引上げ)を超えると、超えた分の半分が年金から停止される。月給30万+年金15万=45万なら停止なし。月給50万+年金20万=70万なら、超えた5万の半分の2.5万が停止。停止された分は繰下げでも増えないので、給与が高い人は国民年金だけ繰り下げる(年金の繰上げと繰下げはどっちが得かの記事)。
給与が低すぎる再雇用は争える
仕事と責任が定年前と同じなのに給与だけ下げる扱いは、パート・有期法8条(不合理な待遇差の禁止)で争える。
| 判例の傾向 | 内容 |
|---|---|
| 違法とされた例 | 基本給を定年前の6割を下回る水準にした、精勤手当・通勤手当を再雇用者に払わない |
| 許容された例 | 基本給が6割程度で、職務内容や責任が一部軽くなっている |
線は6割前後と、職務の違いの有無。条件を提示されたら、職務内容と責任・基本給と賞与・手当・勤務日数・契約期間と更新の上限・65歳以降の継続の有無を書面で確認する。納得できなければ、労働局の相談窓口か、社外の労働組合に相談する。
再雇用・転職・独立の3択
| 選択 | 収入の目安 | 向く人 | 動く時期 |
|---|---|---|---|
| 再雇用 | 定年前の6〜7割、65歳まで | 慣れた仕事を続けたい、転職市場で動きにくい職種 | 条件を55歳前後で人事に確認 |
| 転職 | 定年前の5〜8割 | 管理職経験・専門職・営業。50代後半は求人が絞られる | 55歳までに動く |
| 独立 | 取引先次第。年金は基礎のみ積み上がる | 会社員時代の取引先や専門性で業務委託を受けられる人 | 在職中に副業で取引先を作ってから |
転職市場の現実は40代の書類が通らない時の記事、独立の順番は独立前に会社員のうちにやることの記事、独立後の年金と国保はフリーランスの老後資金の記事で書いた。希望退職の募集が来た場合の判断は希望退職の割増は応募すべきかの記事で書いた。
私は4社目で年収を下げてリモートと育休制度のある会社を選び、3年かけて信頼を作ってから独立した。定年の場面ではないが、収入が下がる選択をする時に、下がった後の働き方と副収入の形を先に作ってから動いた点は、50代の3択でも同じだ。再雇用の6割を受け入れるにしても、副業の取引先があれば別の答えになる。
よくある誤解
「再雇用なら給与は変わらない」。6〜7割が相場で、年収は半分近くになる会社が多い。条件は書面で確認する。
「高年齢雇用継続給付で補える」。2025年4月から上限10%で、月給30万なら3万。将来廃止が決まっている。
よくある質問
再雇用を断って失業保険を受けられますか?
定年退職は、再雇用を希望せず退職した場合でも給付制限なしで受けられる(定年は正当な理由のある離職)。60〜64歳の給付日数は加入年数で90〜240日。65歳以降は高年齢求職者給付金(一時金、30日か50日分)になる。
65歳以降も厚生年金に入ると年金は増えますか?
増える。70歳まで加入でき、毎年の在職定時改定で加入分が翌年の年金に反映される。停止された分は増えないので、停止がない範囲(合計65万以下)で働くのが効率がいい。
転職と独立の資料をLINEで無料配布中
定年前の月給から再雇用の給与・継続給付・年金・在職老齢年金の停止を出し、再雇用・転職・独立の3択を収入と時期で並べる記入表を公式LINEで無料配布している。60歳で決めるのでなく、55歳で決めよう。


