毎月の残業が40時間を超えている。給与明細の残業代を見ると、思ったより少ない。この額が合っているのか、固定残業代に何時間分が入っているのか、計算の仕方が分からない。

残業代は、月給÷160×1.25で1時間の額が出る。月給30万の残業1時間は2,344円。月45時間で10.5万だ。計算式と、月給別の早見表と、固定残業代の見方と、未払いの請求を書く。

先に一文で。残業代は月給(除外手当を除く)÷月平均所定労働時間×割増率×時間で、時間外1.25倍・深夜+0.25・法定休日1.35倍・月60時間超1.5倍、月給30万なら時間単価1,875円で残業1時間2,344円・45時間で10.5万、固定残業代は時間と額を明細で確認して超過分と差額を請求でき、未払いは3年分請求できる。

この記事の要点

  • 時間単価=月給(基本給+固定手当)÷160時間(正確には年間所定時間÷12)
  • 割増|時間外1.25、深夜+0.25、法定休日1.35、月60時間超1.5
  • 月給30万|1時間2,344円、20時間4.7万、45時間10.5万、60時間14.1万
  • 固定残業代は時間と額を確認。超えた分は別に出る。未払いは3年分

月給別の早見表(月160時間、時間外1.25倍)

月給は基本給+固定の手当(通勤・家族・住宅手当と賞与は除く)。

月給時間単価残業1時間(1.25倍)月20時間月45時間月60時間月80時間(60時間超は1.5倍)深夜残業1時間(1.5倍)
20万円1,250円1,563円3.1万円7.0万円9.4万円13.1万円1,875円
25万円1,563円1,953円3.9万円8.8万円11.7万円16.4万円2,344円
30万円1,875円2,344円4.7万円10.5万円14.1万円19.7万円2,813円
35万円2,188円2,734円5.5万円12.3万円16.4万円23.0万円3,281円
40万円2,500円3,125円6.3万円14.1万円18.8万円26.3万円3,750円
50万円3,125円3,906円7.8万円17.6万円23.4万円32.8万円4,688円

月45時間の残業代は、月給の35%に相当する。月給30万で45時間残業している人の給与明細に残業代が5万円しかなければ、固定残業代が入っているか、計算が違う。

計算の手順

  1. 月給から除外手当を引く|通勤手当・家族手当・住宅手当・別居手当・子女教育手当・臨時の手当・賞与は計算に入れない。役職手当・資格手当・固定の営業手当は入れる
  2. 月平均所定労働時間を出す|(365日−年間休日)×1日の所定時間÷12。8時間・120日なら約163時間。概算なら160
  3. 時間単価=①÷②
  4. 割増率を掛ける
種類割増率内容
法内残業1.0倍所定7時間の会社で8時間目まで(割増なし、賃金は出る)
法定時間外1.25倍1日8時間・週40時間を超えた分
深夜+0.25倍22時〜5時。時間外と重なれば1.5倍
法定休日1.35倍週1日の法定休日の労働。法定外の休日(土曜など)は時間外の1.25倍
月60時間超1.5倍2023年4月から中小企業も。深夜と重なれば1.75倍

固定残業代(みなし残業)の見方

確認する場所見るもの
雇用契約書・求人票固定残業代の時間数の両方。片方しかなければ無効になる可能性
給与明細基本給と固定残業代が分かれているか。分かれていなければ内訳を会社に聞く
実際の残業時間固定の時間を超えた分は別に払われているか

月給30万で固定残業代5万(30時間分)なら、基本給25万・時間単価1,563円・時間外1,953円。30時間分は5.9万で、固定の5万を上回る差額と、30時間を超えた分を請求できる。固定残業代が入った月給は、基本給が見た目より小さく、賞与と退職金の基準も小さいみなし残業とは何かの記事みなし残業45時間の会社の記事)。

出ないと言われても出る場合

  • 年俸制|年俸に残業代が含まれるには、固定残業代と同じく額と時間の明示が要る(年俸制で残業代が出ないのは違法かの記事
  • 管理職|残業代が出ないのは労働基準法の管理監督者(経営と一体・出退勤の自由・相応の待遇)だけ。課長の肩書きだけでは該当しない。深夜割増は管理監督者にも出る
  • 裁量労働制・事業場外みなし|みなし時間が8時間を超える分と、深夜・休日は出る
  • 持ち帰り・早出・着替え|指示や黙認があれば労働時間

未払い残業代を請求する

  1. 証拠を集める|タイムカード・勤怠システムの記録・PCのログ・メールの送信時刻・手帳の記録。会社の記録がなければ自分の記録でも認められる
  2. 計算する|上の式で3年分(2020年4月以降の分は請求できる期間が3年)
  3. 請求する|会社への内容証明、労働基準監督署への申告、労働審判・訴訟。退職後でも請求できる

残業代の証拠は、在職中にしか集められないものが多い。辞める前に勤怠の記録を手元に残すブラック企業の証拠の残し方の記事)。給与明細の見方は給与明細の見方と控除の記事で書いた。

私の1社目は美容業界のブラック企業で、残業代が出なかった。休日出勤も当たり前で、1年以内に辞めた。当時は計算式を知らず、いくら未払いなのかも分からないまま辞めた。月給÷160×1.25という式だけ知っていれば、請求するかどうかは別として、自分がいくら払われていないかは分かった。

よくある誤解

「固定残業代があるから残業代は出ない」。固定の時間を超えた分は出る。固定の額が計算より少なければ差額も出る。

「管理職だから残業代はない」。労働基準法の管理監督者に当たる人は少ない。肩書きだけの管理職には出る。深夜割増は管理監督者にも出る。

初任給の平均と手取り(公的データ)

令和7年の初任給は大卒262,300円・高卒207,300円・院卒299,000円で、手取りは1年目に住民税がないため大卒約21.1万・高卒約16.8万、2年目6月から住民税で月1万前後減る。初任給30万台の求人は固定残業代と年俸制の中身を基本給で見る。学歴別の表は初任給の平均と手取りのデータ記事で書いた。

会社が倒産した時のお金

倒産による離職は会社都合扱いで失業保険は待期7日ですぐ90〜330日、離職票が出なければ仮手続き、未払いの給与と退職金は立替払制度で退職前6ヶ月分の8割(上限88〜296万)を国が立て替える。健康保険と年金は14日以内に切り替え、兆候が見えたら在職中に明細と勤怠を保存する。順番は会社が倒産したらの記事で書いた。

解雇予告手当の計算

解雇予告手当は30日に足りない日数分の平均賃金(直前3ヶ月の賃金総額÷暦日数)で、即日解雇なら30日分、月給30万なら約29.3万。試用期間14日以内や重責解雇(労基署の認定)は例外。受け取っても解雇の有効性は別に争え、解雇は失業保険で会社都合扱いになる。計算表は解雇予告手当の計算方法の記事で書いた。

未払い賃金の請求のやり方

未払い賃金は3年分を退職後でも請求でき、証拠(明細・勤怠の撮影・PCログ・メール送信時刻)を在職中に集め、額を計算して内容証明で請求し、払われなければ労基署の申告、あっせん、労働審判、訴訟(付加金)と進む。給与の3分の1超が2ヶ月以上未払いなら自分から辞めても会社都合扱い。順番と金額別の手段は未払い賃金の請求のやり方の記事で書いた。

通勤手当の税金と社会保険料

通勤手当は公共交通機関なら月15万まで、マイカーは距離別(2〜10kmで4,200円〜55km以上31,600円)まで非課税で年収の額面に入らないが、社会保険料の計算には全額含まれる。転職で通勤手当がない会社は通勤費を引いて手取りで比べ、残業代の単価には含まれない。上限の表は通勤手当は課税されるのかの記事で書いた。

休日出勤の手当と振替・代休の違い

休日出勤は法定休日1.35倍・法定外休日1.25倍(週40時間超)・深夜は+0.25で、月給30万なら日曜8時間で約2万、土曜8時間で約1.9万。事前の振替休日なら割増なし(週40時間超は1.25)、事後の代休なら割増分0.35が残り、振替も代休もない休日出勤は全額請求できる。計算表は休日出勤の手当はいくらかの記事で書いた。

労働基準監督署に相談するとどうなるか

労基署は未払い賃金・残業・有給拒否・解雇予告手当・安全衛生などの法律違反に立入調査と是正勧告をするが、パワハラ・不当解雇・回収の代行は権限外で労働局と労働審判の領域。相談は匿名でよく申告は名乗って行い、労基署は申告者を明かさず、証拠が揃うほど早く動く。振り分けと手順は労働基準監督署に相談するとどうなるかの記事で書いた。

よくある質問

1日7時間勤務の会社で8時間働いた分は?

所定の7時間を超えて8時間までの1時間は法内残業で、割増なしの1.0倍。8時間を超えた分から1.25倍になる。

残業代を請求すると会社に居づらくなりませんか?

請求を理由にした不利益な扱いは違法だが、実際には辞める前提で請求する人が多い。退職後3年以内なら請求できるので、在職中は証拠を集め、辞めてから請求する順番もある。

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