答えから言う。

ボーナスなし自体は、辞める理由にならない。賞与は法律の義務ではないからだ。

辞めるべきかは、年収の総額で決まる。月給×12が、ボーナスあり企業の年収と同水準以上なら問題ない。下回っているなら、それはボーナスの問題ではなく、支払い総額が少ない会社の問題だ。

順に書く。

この記事の要点

  • 賞与は法律の義務ではない。なし自体は違法でもブラックでもない
  • 比較の単位を「ボーナスの有無」から「年収総額」に変えると答えが出る
  • 総額が同じなら、月給厚めの方が変動リスクは小さい
  • 賞与カットの経験があるなら分かるはずだ。ボーナスは約束ではない

ボーナスは、法律の義務ではない

まず前提から。賞与の支払いを義務づける法律はない。

賞与は、会社の規程と業績によって決まる任意の支給だ。だから「ボーナスなし=違法・ブラック」は成立しない。ボーナスを設けず、その分を月給に厚く配分する給与体系は、制度として普通に存在する。外資系やベンチャーでは珍しくない形だ。

ここで思い出してほしいことがある。賞与がある会社でも、業績が悪ければ減る。「ボーナスあり」は毎年の保証ではなく、変動する可能性を含んだ期待値だ。カットされた経験のある人なら、この不安定さは体感で知っているはずだ。その話はボーナスを下げられた時の考え方にも書いた。

比較の単位を変える。月給換算で並べろ

「ボーナスなし」に感じる不安の大半は、比較の単位がずれていることから来ている。

やることは1つ。年収の総額で並べる。

  • A社:月給30万+賞与4ヶ月 → 年収480万
  • B社:月給40万・賞与なし → 年収480万

総額は同じだ。そしてこの2つを比べるなら、私はB社の方を安定と評価する。賞与の4ヶ月分は業績で減り得るが、月給は簡単には下げられないからだ。

つまり判定はこうなる。

月給×12が、同業のボーナスあり企業の年収総額と同水準以上 → 問題ない。むしろ堅い体系だ。

総額で明確に下回っている → ボーナスの有無の問題ではなく、単に払いが少ない会社だ。この場合は動く理由になる。

ボーナスなしで注意する、実務の3点

総額が同水準でも、月給型には知っておくべき性質がある。

  • 昇給の交渉が全てになる。賞与の査定で調整する余地がない分、月給の改定が唯一の変動点だ。評価制度が機能しているかを見る
  • 残業代の基礎が上がる。月給が厚いと、残業単価の計算基礎も上がる。ここは月給型の利点だ
  • 貯蓄の強制力がなくなる。賞与でまとめて貯めていた人は、月給型に移ると貯蓄のペース配分を自分で作る必要がある

3つ目は小さい話に見えて、生活の実感ではけっこう効く。年2回のまとまった入金がある生活と、毎月フラットな生活は、家計のリズムが違う。どちらが合うかは人による。

自分の総額が、市場でどの位置かを測る

辞めるかどうかの判断は、いまの総額が市場の相場とどれだけ離れているかで決まる。

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なお、辞める時期を賞与の支給に合わせる話はボーナスをもらってから辞めるのはありか、退職金側の同じ議論は退職金なしの会社はやばいのかにまとめてある。ボーナスと退職金は、どちらも「総額で見る」という同じ原則で判定できる。

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あわせて検索される疑問に、先に答えておく

寸志程度しか出ない会社はどう判断するか

寸志も同じ理屈で、月給換算に足して総額で比べればいい。年2回の寸志が計10万円なら、月8,000円ちょっとの上乗せだ。名目がボーナスか寸志かはどうでもよくて、年間でいくら振り込まれるかがすべてになる。名前に引っ張られず、電卓を叩け。

面接で「ボーナスがないから辞めた」と言っていいか

そのまま言うと待遇だけの人に見えるから、言い換える。「成果が報酬に反映される仕組みの会社で働きたい」なら、同じ事実を前向きな基準として話せる。嘘ではない。あなたが不満なのは金額そのものではなく、頑張りが数字に返らない仕組みの方のはずだ。そこを言葉にすればいい。

求人票の「賞与実績あり」はどう読むか

実績という言葉は約束ではない。去年は出たが今年は出ない、が成立する表現だ。確認すべきは、直近3年の支給実績と、賞与の計算式(基本給の何ヶ月分か、業績連動か)の2点になる。面接で聞きにくければ、内定後のオファー面談で聞けばいい。聞かずに入るのが一番高くつくわ。

ボーナスなしからボーナスありの会社へ移る時の注意は

入社1年目の賞与は満額出ないのが普通、という点だけ覚えておいてほしい。賞与は査定期間の在籍に応じて計算されるから、年度の途中で入社した1年目は、夏冬とも減額または対象外になることがある。移った初年度の年収は、求人票の想定年収より低く着地しやすい。この谷を知らずに家計を組むと、せっかくの転職が苦しい記憶になる。オファー面談で「初年度の賞与の扱い」を確認しておけば、谷の深さは事前に分かる。

賞与なしで退職金もない会社だったら

月給換算の比較に加えて、老後まわりの後払い報酬がゼロという意味になるから、その分を自分で積み立てる前提で家計を組む必要がある。判断の考え方は退職金なしの会社はやばいのかに分けて書いた。賞与と退職金の両方がない会社は、月給がよほど高くない限り、生涯の受取総額で不利になりやすい。比較は月給ではなく、生涯の総額でやる。この視点だけで、求人の見え方が変わる。

ボーナスの平均(公的データ)

毎月勤労統計の特別集計で令和7年の賞与は夏426,337円・年末424,889円で年間約85万、支給月数は合わせて約2.1ヶ月。産業別は電気ガス186万・情報通信153万から医療福祉59万・飲食16万まで10倍の差があり、賞与のある事業所で働く人は86.5%。産業別の表はボーナスの平均のデータ記事で書いた。

給料が上がらないなら給料が上がらない会社は辞めるべきか。判断基準3つだ。

よくある質問

ボーナスなしは違法ですか?

違法ではない。賞与は法律で支払いが義務づけられたものではなく、会社の規程や業績で決まる。月給に厚く配分する給与体系も合理的な制度として存在する。

ボーナスなしの会社は辞めるべきですか?

年収の総額と安定性で判断する。月給×12がボーナスあり企業の年収総額と同水準以上なら、むしろ変動リスクの少ない体系だ。総額で下回っているなら、単に支払いが少ない会社になる。

ボーナスありとなし、どちらが得ですか?

総額が同じなら、月給厚めの方が安定性で勝る。賞与は業績で減らされ得る変動部分だからだ。ただし貯蓄が苦手な人には賞与型が機能する側面もある。

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