転職は決まった。だが入社時期の関係で、年内のボーナスを逃す。数十万円を捨てる決断に、まだ気持ちの整理がつかない。

先に視点を1つ足す。賞与の損得は、現職側だけでは計算できない。転職先の賞与カレンダーを含めた1年の総額で見ると、答えが変わることがある。計算法から書く。

この記事の要点

  • 損得は両側で計算する。現職の逃す額と、転職先の初回賞与の実際
  • 転職先の初回賞与は寸志程度が通常。査定期間の在籍が短いからだ
  • 入社日の1〜2ヶ月調整で、もらってから移れる場合は普通にある
  • 捨ててでも急ぐべき場合の条件も、明確にしておく

計算法。両側の賞与カレンダーを並べる

「冬のボーナス50万円を捨てる」という計算は、片側しか見ていない。正確にはこう並べる。

現職側。

  • 逃す賞与の見込み額(過去の実績から)
  • 支給日と、支給日在籍の要件(支給日在籍規定の確認だ)

転職先側。

  • 賞与の支給月と査定期間(オファー面談で確認できる)
  • 初回賞与の扱い。入社直後の賞与は、査定期間の在籍が数ヶ月しかないため、寸志〜大幅減額が通常
  • 場合によっては2回目の賞与も、査定期間フル在籍でないため満額にならない

この4つを1年の時間軸に置いて、向こう12ヶ月の賞与の総受取額を、入社時期のパターン別に比べる。「冬を捨てて12月入社→転職先の夏も寸志」と「冬をもらって1月入社→夏は寸志、冬から満額」では、総額の差が想像と違う形になることが多い。目先の1回ではなく、1年の合計で決める。これが計算法の全てだ。

もらってから移る。入社日交渉の実務

計算の結果、もらってから移りたいとなった場合。入社日の調整は、実務として普通に通る交渉だ。

  • 内定承諾の際に、支給日の後に退職日が来る日程で入社日を提示する
  • 理由は「現職の引き継ぎを責任を持って終えたい」で足りる。賞与のためと明言する必要はないし、しない方がいい
  • 1〜2ヶ月の調整は一般的な範囲だ。組み方の詳細は入社日はいつまで延ばせるかに書いた
  • 着金を確認してから退職を切り出す順番も忘れずに。査定が締まった後でも、切り出しは支給の後が安全

通らない場合もある。欠員補充の急ぎ求人では、入社時期が採用の条件に近いことがあるからだ。その時は、次の「捨てる側の判断」に進む。

捨ててでも急ぐべき場合。3つの条件

ボーナスを捨てる判断が合理的になるのは、この3つのどれかがある場合だ。

1、転職先の査定期間に早く入る利益が大きい。転職先の査定期間の開始月(例えば10月)をまたいで入社すると、初回だけでなく2回目の賞与まで在籍期間の影響が出ることがある。1ヶ月早い入社が、向こう1年の賞与総額を数十万円変えるケースは実在する。ここはオファー面談で査定期間を聞けば計算できる。

2、条件が時期限定。そのポジション・その年収提示が、いま限りのものである場合。数十万円の賞与と、年収数十万円の恒久的な差なら、後者が勝つ。提示条件の妥当性は市場相場と並べて判断する。

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3、現職の消耗が深刻。心身が削れている場合、数十万円と数ヶ月の我慢の交換は、割に合わないことが多い。金額の計算より、健康の計算が上位になる。

気持ちの整理。捨てた額は入場料と考える

最後に、計算では消えない気持ちの部分に触れておく。

計算の結果、捨てる選択が合理的でも、「あの50万があれば」という感情は残る。その時はこう考えてほしい。捨てた賞与は、新しい環境への入場料だ。

  • 転職で年収が上がるなら、捨てた額は数ヶ月〜1年で回収される
  • 提示年収に不満が残るなら、賞与を捨てる分を材料に入社時の条件交渉をする手もある。「現職の賞与を放棄しての入社になるため」は、サインオンボーナス(入社一時金)や基本給の調整を打診する正当な根拠になる。交渉の台本は年収交渉の台本が使える

賞与は過去の労働への後払いで、転職は未来の労働の値決めだ。過去の1回分に引きずられて未来の条件を緩めるのが、一番大きな損になる。1年の総額で計算し、交渉で埋め、それでも残る差額は入場料として払う。この順番で整理すれば、気持ちは数字に追いついてくるんだわ。

よくある質問

転職でボーナスを逃すのはどのくらいの損ですか?

現職の逃す額から転職先の初回賞与(寸志が通常)の影響を差し引き、1年の総受取額で比較するのが正確な計算だ。

ボーナスをもらってから入社日を遅らせる交渉はできますか?

できる。引き継ぎを理由に支給日後の日程で提示すればよく、1〜2ヶ月の調整は一般的な範囲だ。

ボーナスを捨ててでも早く入社すべき場合はありますか?

転職先の査定期間に早く入る利益が大きい場合・条件が時期限定の場合・現職の消耗が深刻な場合の3つだ。

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