「市場価値を上げろ」とよく言われる。だが、そもそも市場価値とは何なのか。どこで測れるのか。社内で評価されていれば、高いと考えていいのか。

先に定義を言い切る。市場価値とは、社外があなたにつける値段だ。社内の評価とは別物になる。この区別から始めて、決まる要素、測り方4つ、上げ方の順番まで一気に書く。

この記事の要点

  • 市場価値は社外の値札。社内評価と一致しないのが普通だ
  • 決まるのは、自分側の要素×市場の需要の掛け算だ
  • 測り方は4つ。診断→スカウト→エージェント→実際の選考の順で確度が上がる
  • 上げるなら、需要のある場所へ経験を寄せるのが一番早い

定義。社内評価と市場価値は別の物差しだ

市場価値の正体は、転職市場に出た時に、企業があなたに提示する条件の水準だ。年収だけでなく、ポジションや裁量も含むが、一番分かりやすい指標は年収になる。

大事なのは、社内の評価と市場価値は別の物差しだという点だ。ズレ方には2つの型がある。

  • 社内評価は高いのに、市場価値は低い型|社内独自のシステム、社内政治、その会社でしか通じない調整力で評価されてきた場合。外に出た瞬間、値段がつかない
  • 社内では埋もれているのに、市場価値は高い型|社外の市場で需要が伸びているスキル(データ分析、採用、法人営業など)を持つのに、社内の給与テーブルが追いついていない場合

2つ目の型の人は、転職するだけで年収が上がる。社内評価に一喜一憂する前に、外の物差しで一度測っておくべき理由がこれだ。用語としての整理は市場価値の用語辞典にも置いてある。

何で決まるか。5つの要素に分解する

市場価値は才能のような曖昧なものではなく、要素に分解できる。

自分側の3要素。

  1. 経験|何を、どの規模で、どの立場でやってきたか。年数そのものより中身だ
  2. スキル|他社でも再現できる技術・知識。社内ツールの操作は入らない
  3. 実績|数字で語れる成果。「売上を○%伸ばした」「○人のチームを回した」

市場側の2要素。

  1. 希少性|同じことができる人が市場に何人いるか。経験の掛け算(営業×データ分析など)で希少性は跳ね上がる
  2. 需要|その能力を今まさに欲しがる企業がどれだけあるか。ここはあなたの努力と無関係に、市場の景気と流行で動く

つまり市場価値は固定の点数ではなく、掛け算の結果が市場の動きで毎年変わる変数だ。3年前に測った自己認識は、もう古い可能性がある。

測り方4つ。確度の低い順に並べる

測る手段は4つあり、手間と確度がトレードオフになっている。

測り方1、診断ツール(所要10分前後)。質問に答えると想定年収の目安が出る型だ。手軽さが利点で、入口として使える。

*クリックすると公式サイトが開く。質問に答えると、想定年収と適性が無料で診断される。*

登録後の流れ|① 経歴と質問に答える(10〜15分) → ② 想定年収(市場価値)が表示される → ③ そのまま経歴を置いておくと、企業からのスカウトも届く

ミイダスで市場価値を測ってみる

ただし診断の数字はやや高めに出る傾向がある。理由と正しい読み方はミイダスの年収が高く出るのはなぜかで書いた通りで、絶対値でなく「いまの年収との差分」と「どの要素が評価されたか」を見るのが正しい使い方だ。診断サービス全般の仕組みと注意は市場価値診断は怪しいのかにまとめてある。

測り方2、スカウト型に経歴を置く(所要30分+放置)。スカウト型サービスに職務経歴を登録し、届くオファーを観察する。どんな業界から、どの年収帯で声がかかるかが、診断より一段現実に近い市場の反応になる。数週間放置するだけでデータが貯まる。

測り方3、エージェントに聞く(面談1時間)。エージェントとの面談で「私の経歴だと、どのくらいの年収レンジの求人を紹介できますか」と直接聞く。日々求職者を売っているプロの相場観だから、根拠のある数字が返る。複数社に聞けば、ばらつきごと相場が見える。

測り方4、実際に選考を受ける。最終的な市場価値は、オファーの条件でしか確定しない。本命の前に数社受けて、出る条件を見る。ここまでやると、市場価値は推定から事実に変わる。

順番の使い方はこうだ。まず1で目安を持ち、2を仕掛けて放置し、動く気になったら3と4へ進む。どの診断を受けるか迷う人は転職診断はどれを受けるべきかで仕分けられる。

上げ方。努力の前に、置き場所を変える

測った結果が期待より低かった人へ、上げ方の順番も書いておく。

1、いまの経験を、需要のある場所へ寄せる。ゼロから新スキルを積むより、既存の経験が高く売れる業界・職種へ移る方が早い。同じ経理でも、成長企業のIPO準備経理と現状維持の経理では値段が違う。

2、実績を数字で言語化する。市場価値の何割かは、伝え方で消えている。やってきたことを数字つきで書き出すだけで、書類の通過率が変わる。

3、掛け算を作る。営業×マネジメント、エンジニア×英語のように、2つ目の軸を足すと希少性が跳ねる。これは年単位の仕込みになるから、1と2を先にやる。

社内で頑張るのは、この3つの後でいい。社内評価は社内の物差しでしか上がらないが、市場価値は置き場所と伝え方で今日から動かせる。年収を決めているのは努力の量ではなく、誰に向かって売っているかなんよ。

職種で違う、値段の見られ方

同じ測り方でも、職種によって市場が見るポイントは違う。主な型を並べておくと、自分の棚卸しの力点が決まる。

  • 営業|数字が全てに近い。目標達成率・継続年数・扱った商材の単価と相手(個人か法人か、新規か既存か)。同じ営業でも、法人×高単価×新規の経験は値段が跳ねる
  • エンジニア|技術スタックと担当範囲。何を作ったかに加えて、要件から関わったか・運用まで見たかの範囲が値段を分ける
  • 企画・マーケティング|施策の規模と結果の数字。予算規模、伸ばした指標、関わった人数
  • 管理部門(経理・人事・総務)|経験した業務の幅とイベント。決算・IPO準備・制度づくり・労務トラブル対応など、「何のイベントをくぐったか」が問われる
  • 販売・サービス|店舗の数字とマネジメント経験。個人の接客力は測りにくいため、売上・スタッフ育成・シフト管理のような管理側の経験が値札になる

共通しているのは、市場は「頑張り」ではなく「再現性」を買うという点だ。あなたの仕事のどこが他社でも再現できる部分なのか。この問いに答えられる状態にしてから測ると、診断もスカウトも一段正確になる。

よくある質問

市場価値が低いと言われました。転職しない方がいいですか?

1つの診断や1人のエージェントの意見で決めるのは早い。測り方を2つ以上組み合わせて、同じ評価が返るかを見る。低さの原因が伝え方(言語化不足)にあるケースは非常に多い。

年齢が上がると市場価値は下がりますか?

同じスキルセットのままなら、期待される役割との差で相対的に下がる。逆に、マネジメントや専門性が年齢相応に積み上がっていれば上がる。年齢そのものより、年齢と経験の釣り合いが見られている。

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