内定承諾書が届いた。書き方を調べているが、記入例が会社ごとに違って、どこまで何を書けばいいのか分からない。添え状は要るのか。封筒はどう書くのか。
先に全体を言う。記入は4箇所で終わる。難しいのは書き方ではなく、署名の前にやるべき確認の方だ。記入欄・添え状・封筒・返送・提出後の扱いまで、この1本で全部片付くように書く。
この記事の要点
- 記入するのは日付・住所・氏名・押印の4箇所が基本だ
- 署名の前に、労働条件通知書で条件を確認する。ここが本体だ
- 添え状は1枚つける。文例をそのまま使えばいい
- 返送は指定期限内、指定がなければ1週間以内が目安になる
内定承諾書とは何か。位置づけを30秒で
内定承諾書は、内定を受けて入社する意思を、書面で会社に示す書類だ。会社側はこれで採用活動を締め、あなたの受け入れ準備を始める。呼び名は入社承諾書・内定誓約書など会社によって揺れるが、役割は同じになる。
内定そのものの法的な強さ(内々定との違い、取り消しの条件)は内定と内々定の違いで決定版として書いた。その上で、承諾書を出すと労働契約が成立した状態に近づくが、提出後でも入社前の辞退は法的には可能とされている(民法上、期間の定めのない雇用は2週間前の申し出で解約できる理屈だ)。ただし可能と無傷は別の話で、承諾後の辞退は会社の採用計画を壊す。だからこそ、署名の前に確認と比較を終わらせるのが正しい順番になる。用語としての整理は内定承諾書の用語辞典にもまとめてある。
書く前に。署名してはいけない状態が2つある
記入の手順より先に、これだけは押さえてほしい。次の2つの状態での署名は、後悔の入口だ。
1、労働条件の書面を受け取っていない。年収・職種・勤務地・入社日が書かれた労働条件通知書やオファーレターが手元にないまま署名するのは、値札のない契約書にサインするのと同じだ。届いていなければ、承諾書より先に書面を依頼する。もらえない場合の対処は労働条件通知書がもらえない時で書いた。
2、迷いが残っている。他社の結果待ちや家族との相談が残っているなら、署名を急がず期限の延長を相談する。「第一志望です。ただ、家族との調整のため○日までお時間をいただけますでしょうか」で通る会社が大半だ。即答しない方がいい理由の全体は内定を即承諾してはいけないが担当になる。
この2つが済んでいるなら、記入は事務作業だ。次へ進む。
記入欄の書き方。迷いやすい順に潰す
会社の書式に記入する形が通常で、書く場所は多くない。
- 日付|記入日(提出日)を書く。内定通知の日付ではない。郵送なら投函日でいい
- 住所|住民票どおりに、都道府県から省略せず書く。マンション名・部屋番号まで正確に
- 氏名|戸籍どおりの漢字で。署名欄は自筆が原則だ
- 押印|認印(朱肉を使う印鑑)で足りる。シャチハタは避ける。実印や印鑑証明を求められることは通常ない
- 筆記具|黒の油性ボールペン。消せるボールペンは不可だ
書き間違えた場合は、修正液・修正テープを使わない。軽微な誤りなら二重線と訂正印でも形式は通るが、入社前の正式書類だから、会社に連絡して新しい用紙をもらうのが一番きれいだ。「記入を誤ってしまったため、用紙を再送いただけますでしょうか」で気まずさはない。PDFで送られてきた書式なら、印刷し直せば済む。
親の署名欄(身元保証人欄)がある書式も存在する。身元保証人は多くの会社で1〜2名求められる通常の運用だから、身構える必要はない。誰に頼むかだけ、返送期限から逆算して早めに動く。
添え状の文例。1枚つけて、そのまま送る
承諾書だけを裸で送るより、添え状(送付状)を1枚つけるのがビジネス文書の通例だ。凝る場所ではないから、次の文例をそのまま使えばいい。
○○株式会社 人事部 ○○様
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
この度は、内定のご連絡をいただき誠にありがとうございます。
同封の内定承諾書1通をお送りいたしますので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
入社までに必要な手続きがございましたら、ご指示いただけますと幸いです。
敬具
(日付・住所・氏名・連絡先)
手書きでもパソコン作成でもよく、A4で1枚に収める。添え状の役割は同封物の案内であって、意気込みの作文ではない。短いほど良い書類だ。
封筒と返送。細部の作法をまとめて
- 封筒|白の長形3号か角形2号。会社から返信用封筒が同封されていればそれを使う
- 宛名|返信用封筒の「行」は二重線で消して「御中」(個人名なら「様」)に直す
- 裏面|自分の住所・氏名を書く
- 入れる順|添え状が上、承諾書が下。折る場合は三つ折りで、書き出しが開封時に見える向きにする
- 送り方|普通郵便で問題ないが、期限が近いなら簡易書留やレターパックで追跡をつけると確実だ
- 期限|指定があればそれに従う。なければ受け取りから1週間以内を目安に送る
期限に間に合わない事情があるなら、黙って遅らせずに先に連絡する。書類の遅れは連絡で帳消しにできるが、音信不通は取り返せない。
メールで済む場合との見分け
最近は、承諾書の紙のやり取りをせず、メールやWeb上の同意で完結する会社も増えた。見分けはシンプルで、会社の案内に従えばいい。書式が送られてきたら書面で返し、「メールでご返信ください」とあればメールで返す。
メールで承諾を伝える場合の文面は、内定承諾メールの書き方に5部構成のテンプレートを置いた。書面とメールの両方が発生する会社では、メールが一次回答、承諾書が正式書類という関係になる。先にメールで意思を伝え、書類は期限内に送る。この順番で相手の採用業務が一番回る。
提出後の話。辞退・入社日変更はどうなるか
提出後に事情が変わることもある。扱いを正直に書いておく。
辞退。前述の通り、入社前の辞退は法的には可能だ。ただし伝えるのは分かった時点で即、手段は電話が筋になる。放置が一番の加害だ。引き止められた場合の対処は内定辞退のしつこい引き止めで書いた。
入社日の変更。現職の引き継ぎが延びた場合などは、分かった時点で相談する。1〜2週間の調整なら応じてもらえることが多いが、当然ながら印象は削れる。承諾書に書く入社日の段階で、現職の退職交渉に1〜1.5ヶ月の余裕を見込んでおくのが、この事態自体を防ぐ一番の手だ。
記載条件との食い違い。入社後に、承諾時の条件と実際が違ったら、承諾書と労働条件通知書がそのまま交渉の土台になる。署名前の確認が大事だと言い続けてきたのは、この日のためなんよ。
新卒と転職で違う場所。3点だけ押さえる
同じ内定承諾書でも、新卒の就活と中途の転職では事情が少し違う。両方の読者がいるはずだから、差分だけ書いておく。
1、新卒は誓約書の色が濃い。新卒の書式は「卒業できなかった場合は内定が取り消される」といった条件つきの誓約が入ることが多い。読んでから署名するのは同じだが、確認すべきは条件の中身(卒業要件・提出書類の期限)になる。
2、転職は労働条件の確認が全てだ。中途の承諾書は労働条件とセットで動く。年収の内訳(基本給と手当・みなし残業の有無)まで書面で見るのが本体で、この記事で繰り返してきた通りだ。
3、承諾期限の相場が違う。新卒は数週間〜1ヶ月程度の猶予が出ることもあるが、転職は1週間前後が相場になる。転職で2週間以上引っ張るなら、理由を添えた延長の相談が必須だと考えておく。
どちらの立場でも、承諾書は「書く書類」ではなく「確認の締めくくりに署名する書類」だ。ここまで来たら、あとは新しい環境の準備に時間を使う方がいい。
よくある質問
内定承諾書に法的な拘束力はありますか?
入社前の辞退を完全に禁じる効力はないとされている。ただし労働契約の成立を示す書面ではあるため、軽く扱っていい書類ではない。確認を終えてから署名する、が唯一の正解だ。
承諾書とあわせて提出する書類が多くて追いつきません。
卒業証明書や健康診断書など、取り寄せに日数がかかるものから先に手配する。全部揃うのを待たず、揃わないものだけ「○日までに提出します」と連絡すれば、事務としては何の問題もない。
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承諾書・添え状のテンプレートと、入社までの手続きチェックリストを、公式LINEで無料配布している。書き方で迷う時間は今日で終わりにして、次の職場の準備に頭を使えばいい。


