会社を辞めた後、失業保険はいくら入るのか。いつから振り込まれるのか。生活の見通しが立たないまま辞めるのが、一番怖い。

数字の決まり方と、実際に振り込まれるまでの時系列を書く。金額は退職前6ヶ月の給与で決まり、時期は退職理由で変わる。この2つが分かれば、辞めた後の家計は計算できる。

この記事の要点

  • 金額は退職前6ヶ月の給与から計算される。賃金の5〜8割が目安だ
  • 時期は退職理由で変わる。自己都合は給付制限の分だけ遅れる
  • 離職票が届くまで手続きは始まらない。ここで1〜2週間かかる
  • 受給中の申告漏れは、返還や不支給に繋がる。正直に申告する

金額の決まり方。退職前6ヶ月が土台になる

失業保険(雇用保険の基本手当)の金額は、退職前6ヶ月の給与をもとに決まる。

計算の流れはこうだ。

  1. 退職前6ヶ月の賃金の合計(賞与は含まない)を、日数で割って1日あたりの賃金を出す
  2. その金額に給付率を掛けて、基本手当日額が決まる。おおむね賃金の5〜8割の水準で、賃金が低い人ほど割合が高くなる(生活保障の性格が強いためだ)
  3. 年齢区分ごとに上限額が定められている。高給だった人ほど、割合は下限に近づく

つまり、退職前6ヶ月の働き方が、そのまま金額に反映される。残業が多かった時期に辞めれば金額は上がるし、時短や休職で給与が下がっていた時期なら金額も下がる。辞めるタイミングを選べる立場なら、この6ヶ月の意味は知っておいた方がいい。

正確な金額は、離職票を持ってハローワークに行けば計算してもらえる。概算で家計を組むと、後で数万円単位のズレが出る。

いつからもらえるか。退職理由で時系列が変わる

ここが最も誤解の多い部分だ。退職理由の区分で、開始時期がまるで違う。

会社都合の場合(倒産・解雇・特定受給資格者に該当する場合)

  1. 離職票が届く(退職から1〜2週間程度)
  2. ハローワークで求職の申込みと受給資格の決定
  3. 7日間の待期期間
  4. 説明会・失業の認定を経て支給
  5. 初回の振込は、手続きから1ヶ月前後が目安

自己都合の場合

上の3の後に、さらに給付制限期間が入る。その分だけ受給開始が後ろにずれる。つまり、辞めてから最初の入金まで数ヶ月空く可能性があるということだ。

この差が、辞める前に貯金を作っておくべき最大の理由になる。在職中に転職活動をするか、辞めてからにするかの判断材料としても大きい。判断の材料は在職中と退職後どちらで転職活動をするかに整理した。

離職票が届くまで、何も始まらない

見落とされがちだが、実務で一番の詰まりどころがここだ。

離職票が手元に届かないと、手続きそのものが始められない。そして離職票は、会社がハローワークに手続きをしてから発行されるため、退職から1〜2週間、遅い会社ではそれ以上かかる。

だから退職時に、必ずこれを確認しておく。

  • 離職票を発行してもらえるか(希望を伝えていないと発行されない場合がある)
  • いつ頃、どの住所に送られるか

そして離職理由の記載を必ず確認する。会社が付けた離職理由と、あなたの認識が違う場合、異議を申し立てることができる。自己都合か会社都合かで、受け取る総額が大きく変わる。ここを「まあいいか」で流すと、数十万円の差になり得る。

もし離職票が届かない場合の対処は離職票がもらえないトラブルの記事に書いた。会社が動かない場合、ハローワークから催促してもらう手もある。

受給中のルール。申告漏れが一番怖い

受給が始まった後の注意点も書いておく。

  • 失業の認定日には必ず行く。指定された日に行かないと、その分の支給が受けられない
  • 求職活動の実績が要る。認定期間ごとに定められた回数の活動が必要になる。何が実績として認められるかはハローワークの失業保険と求職活動の記事にまとめた
  • 働いたら申告する。アルバイトや単発の仕事をした場合、必ず申告が要る。申告せずに受給すると、不正受給として返還を求められる(しかも倍額返還などの重い扱いになり得る)

バレないだろう、で済ませないでほしい。雇用保険の記録は繋がっており、後から発覚する。受け取った額の返還だけでなく、その後の受給資格にも影響する。

辞める前にやっておく3つ

最後に、辞める前の実務をまとめる。

  1. 退職前6ヶ月の給与を確認する。基本手当日額の概算が出せる
  2. 生活費の見通しを立てる。自己都合なら、最初の入金まで数ヶ月空く前提で貯金を確認する
  3. 健康保険と年金の切り替えを準備する。期限が短く、失業手当との関係もある。退職後の健康保険の3択に金額の比べ方を書いた

辞めた後の手続きは、全部同時に来る。保険、年金、住民税、失業手当。順番と期限を先に把握している人と、そうでない人とでは、辞めた後の数ヶ月の消耗がまるで違うんよ。

失業手当以外の手続き(健康保険・年金・住民税)も同時に走る。全体の順番は退職後の手続きを期限順に並べた全体マップにある。

あわせて検索される疑問に、先に答えておく

給付日数は何日分もらえるのか

雇用保険の加入期間と年齢、そして退職理由の区分で決まる。会社都合に該当する場合は日数が手厚く設定され、自己都合は短くなる。加入期間が長いほど日数も増える仕組みだ。自分の日数は受給資格の決定時に通知されるが、辞める前に概算を知りたいなら、加入期間と年齢を伝えてハローワークで相談すれば教えてもらえる。

失業保険をもらいながら勉強してもいいか

構わない。それどころか、公的職業訓練を受けながら受給を続けられる仕組みがあり、訓練の受講が求職活動の実績として扱われる場合もある。教育訓練給付金との関係や使い分けは職業訓練と教育訓練給付金の違いに整理した。受給期間を、学び直しの期間として使う発想は合理的だ。

転職先が決まったら受給はどうなるのか

受給期間を残して早期に再就職した場合、再就職手当という別の給付を受けられる可能性がある。残日数などの条件があるため、内定が出た時点でハローワークに相談してほしい。満額もらうために就職を遅らせるより、早く決めて再就職手当を受ける方が、金額でも生活の安定でも有利になることが多いわ。

転職活動の期間と方法の実態(公的データ)

厚労省の転職者実態調査(令和2年)では、転職活動を始めてから辞めるまでは1〜3ヶ月未満が28.8%で最多、辞めてから次に就職するまでは離職期間なし26.1%+1ヶ月未満27.6%で半数超、使った方法は求人サイト39.4%・ハローワーク34.3%・縁故26.8%・エージェント14.8%、準備を何もしなかった人が66.1%だった。年代別の表は転職活動の期間と方法の実態の記事で書いた。

退職後の住民税の額と払い方

退職後の住民税は前年の年収の5〜6%(年収500万で年約24万)が6月から翌5月に来て、1〜5月退職なら最後の給与から一括徴収、6〜12月退職なら一括か納付書(年4回)を選ぶ。年収別の目安表と、届かない時の確認先、払えない時の分割は退職後の住民税はいくらかの記事で書いた。

ここまでのまとめ

・金額は退職前6ヶ月の給与から計算される。賃金の5〜8割が目安だ

・時期は退職理由で変わる。自己都合は給付制限の分だけ遅れる

・離職票が届くまで手続きは始まらない。ここで1〜2週間かかる

国民年金が払えない年は免除にする

国民年金の免除は前年所得で判定され(単身で全額免除67万以下〜4分の1免除177万以下)、全額免除でも年金額に2分の1が反映されるが、未納は年金額にも資格期間にも入らず障害・遺族の保障も失う。退職した年は退職者の特例で本人の前年所得を除いて判定でき、追納は10年以内。申請の順番は国民年金の免除はフリーランスでも使えるかの記事で書いた。

失業保険の日額早見表(2026年8月改定)

失業保険の日額は退職前6ヶ月の月給÷30に50〜80%をかけた額で、月給20万で5,036円・30万で6,307円・40万で6,744円、上限は29歳以下7,450円・30〜44歳8,270円・45〜59歳9,110円。月給別・年齢別の表と、自己都合・会社都合の合計の目安は失業保険の日額早見表の記事で書いた。

失業保険をもらいながら働く時の線

受給中の副業・アルバイトは週20時間未満で申告すれば認められ、1日4時間以上働いた日は手当が後ろに繰り越され、4時間未満の日は収入−1,354円+日額が賃金日額の80%を超えた分だけ減額される。業務委託やブログ収入も申告対象で、開業届を出すと止まり、隠すと3倍返しになる。判定と減額の式は失業保険をもらいながら副業・アルバイトはできるかの記事で書いた。

早く決まった人の再就職手当

受給中に早く就職すると、残日数×日額×70%(残3分の2以上)か60%を一括で受け取れる。給付日数90日で残60日・日額6,000円なら25.2万円。条件は待期後・残日数3分の1以上・1年超の雇用・雇用保険加入など7つで、自己都合の給付制限中の1ヶ月は紹介経由が条件になり、フリーランス開業も対象だ。計算例と申請の期限1ヶ月は再就職手当はいくらもらえるかの記事で書いた。

年金の繰上げ・繰下げの損益分岐

繰上げは1ヶ月0.4%減(60歳で24%減)、繰下げは1ヶ月0.7%増(70歳42%増・75歳84%増)。損益分岐は60歳繰上げが80歳10ヶ月、70歳繰下げが81歳11ヶ月、75歳が86歳11ヶ月で、税と保険料を入れると1〜2年後ろにずれる。繰上げは取り消せず、繰下げ中は加給年金が出ず、働く人は在職老齢年金65万の線を見る。月額表と選び方は年金の繰上げと繰下げはどっちが得かの記事で書いた。

会社都合と自己都合の違い

会社都合は待期7日ですぐ支給で給付日数90〜330日、自己都合は給付制限1ヶ月(2025年4月〜)で90〜150日。35歳・加入10年・日額6,000円なら36万の差で、国保の軽減も付く。残業45時間超3ヶ月・未払い・パワハラ・退職勧奨は自分から辞めても会社都合扱いになり、離職票の理由が違えばハローワークで異議を出す。表と例は会社都合と自己都合の違いの記事で書いた。

会社が倒産した時のお金

倒産による離職は会社都合扱いで失業保険は待期7日ですぐ90〜330日、離職票が出なければ仮手続き、未払いの給与と退職金は立替払制度で退職前6ヶ月分の8割(上限88〜296万)を国が立て替える。健康保険と年金は14日以内に切り替え、兆候が見えたら在職中に明細と勤怠を保存する。順番は会社が倒産したらの記事で書いた。

解雇予告手当の計算

解雇予告手当は30日に足りない日数分の平均賃金(直前3ヶ月の賃金総額÷暦日数)で、即日解雇なら30日分、月給30万なら約29.3万。試用期間14日以内や重責解雇(労基署の認定)は例外。受け取っても解雇の有効性は別に争え、解雇は失業保険で会社都合扱いになる。計算表は解雇予告手当の計算方法の記事で書いた。

介護で辞める前に使える制度

介護休業は家族1人につき93日を3回まで分けて取れて給付67%(月給30万で約20万)、介護休暇は年5日、時短・時差出勤・残業免除を請求でき、2025年4月から会社は制度の個別周知が義務。介護離職後は年収が半分以下になる例が多いので、包括支援センター→要介護認定→ケアマネ→93日で体制→時短で続ける、の順で動く。詳しくは親の介護で仕事を辞める前にの記事で書いた。

失業保険が出ない人の訓練+月10万

求職者支援制度は、基本手当を受けられない人が無料の職業訓練を受けながら月10万円+通所手当を受け取れる制度。雇用保険に入っていなかった人、加入期間が足りない人、受け終わった人、フリーランスを廃業した人が対象で、本人収入 月8万円以下・世帯収入 月30万円以下・資産300万円以下・全訓練日の出席が要件。詳しくは求職者支援制度の記事で書いた。

65歳以上の失業保険(一時金)

65歳以上の離職は高年齢求職者給付金という一時金で、被保険者期間1年以上なら基本手当日額の50日分(月給30万で約30万円)。64歳までの基本手当と違って老齢年金と同時に受け取れ、再就職しても返還は不要。65歳到達日は誕生日の前日で、退職日を数日ずらすと扱いが変わる。比較は65歳以上で辞めたら失業保険はどうなるかの記事で書いた。

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よくある質問

失業保険はいくらもらえますか?

退職前6ヶ月の給与から1日あたりの金額が決まり、賃金の5〜8割が目安になる。年齢区分ごとに上限もある。正確な額はハローワークで確認できる。

失業保険はいつからもらえますか?

会社都合は7日の待期後、初回振込は手続きから1ヶ月前後が目安。自己都合はさらに給付制限があり後ろにずれる。

自己都合と会社都合で何がどれだけ変わりますか?

受給開始の時期と給付日数の両方が変わる。離職票の離職理由の記載は必ず確認すること。総額が大きく変わる。

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