転職エージェントは無料。キャリアコーチングは30万円。同じキャリアの相談なのに、なぜここまで違うのか。無料の方は、何かを隠しているのではないか。

その疑問に、数字で答える。私は当メディアに掲載している転職・キャリア支援サービス70社の料金体系と型を全件集計した。利用者が無料で使えるのは57社、8割超だった。そして無料である理由も、有料11社が何を売っているのかも、集計するとはっきり分かれた。

この記事の要点

  • 70社中57社(81%)は利用者の支払いが不要。うち大半が企業側の成功報酬モデル
  • 有料11社は求人紹介ではなく「方針を決める時間」か「スキル」を売っている
  • 型の内訳はエージェント型32社が最多。次が学習・講座型8社
  • 無料モデルには仕組み上のバイアスがある。対処は意思決定を自分で持つこと

出典と時点を先に明記する

この記事の数字は、キャリア孔明編集部が掲載している転職・キャリア支援サービス70社について、各社の公式サイトおよび公開情報をもとに編集部が整理した料金体系とサービス形態を、2026年8月時点で集計したものだ。

対象は転職エージェント、スカウト型、求人サイト、退職代行、キャリアコーチング、学習講座、副業・フリーランス支援、お金の相談窓口を含む。転職エージェントだけの集計ではない。

分類は編集部の判断で行っており、公的な統計ではない。料金は変更されうるため、実際の金額は必ず各社の公式サイトで確認してほしい。

集計1、料金体系の内訳

料金の型社数割合内容
利用者の支払いなし5781%登録・面談・紹介まで無料。手数料が受注時のみのものを含む
一部または全部が有料1116%講座・コーチング・コミュニティ。無料体験や無料説明会つきを含む
原則自己負担なし(条件あり)23%公的制度に基づく就労支援。世帯収入等で自己負担が発生する場合がある

8割が無料という数字が、まず全体像になる。

集計2、サービスの型の内訳

サービスの型社数主な収益源
エージェント型32企業からの成功報酬
学習・講座型8受講者の受講料
スカウト・診断型7企業からの掲載料・成功報酬
副業・フリーランス型6案件成約時の手数料
求人サイト型5企業からの掲載料・成功報酬
ツール3無料または利用料
退職代行2利用者の依頼料
就労支援2公的制度
お金の相談2金融機関からの手数料
コーチング型1利用者の受講料
口コミ型1企業からの掲載料
派遣型1派遣先企業からの派遣料

エージェント型が32社で全体の46%。掲載の偏りもあるが、転職支援市場の主流がこの型であることは市場の実態とも一致している。

数字の読み方。なぜ8割が無料で成り立つのか

ここからが本題だ。

無料の正体は、企業側が払う成功報酬

エージェント型・スカウト型・求人サイト型を合わせると44社。この44社の収益源はほぼ全て企業側だ。

仕組みは単純で、採用が決まった時点で、採用した企業が紹介手数料を人材会社に払う。相場は採用者の理論年収の30〜35%前後とされ、年収500万の人が1人決まれば150〜175万円前後が動く計算になる。求職者から1円も取らなくても事業が成立する理由がこれだ。

あなたは商品ではなく、企業にとっての採用候補だ。無料の理由が分かれば、「無料だから遠慮する」「無料だから雑に扱われる」という発想は消えていい。企業側が報酬を払うだけの価値のある存在として扱われている。

有料11社は、求人以外のものを売っている

有料側の中身を見ると、性質がはっきり分かれる。

  • キャリアコーチング型——求人を紹介しない。売っているのは方針を決める時間
  • 学習・講座型——売っているのはスキルと修了実績になる
  • 退職代行——売っているのは言いにくいことを代わりに言う行為

つまり、有料と無料は同じ商品の価格差ではない。そもそも売り物が違う。求人紹介で報酬が発生するモデルでは、「転職しない」という結論を出すと売上にならない。だから転職しない選択肢も含めて相談したい人向けに、有料のコーチング型が存在している。

この違いを知らずに「無料のエージェントで人生相談をした」人が不満を持つのは、当然といえば当然だわ。窓口が売っていないものを求めているからだ。

無料モデルに存在する、仕組み上のバイアス

正直に書く。成功報酬モデルには、担当者の善意とは無関係に働く力学がある。

  • 報酬は採用が決まったときにだけ発生する。だから決まりやすい候補者と決まりやすい求人に時間が寄りやすい
  • 年収が上がる転職の方が手数料も上がる。だから年収を下げる転職の提案は出にくい
  • 内定辞退は売上ゼロになる。だから返答を急かす圧がかかることがある

これは悪意ではなく、報酬の発生条件から自動的に出てくる傾向だ。ただし知っているかどうかで、受け取り方が変わる。

対処は2つだけでいい。

  1. 応募と承諾の意思決定を、自分の側に置く。急かされても即答しない
  2. 型の違う窓口を併用する。1社の情報だけで判断しない

窓口を1つに絞らない理由は、70社の「向いていない人」を分類したデータの方に詳しく書いた。1社の判定は、その1社の作りとの噛み合わせでしかない。

型別に、どういう人が使えばいいか

集計から実務に落とす。

求人を見ながら進めたい人は、無料のエージェント型が最も費用対効果が高い。書類添削と年収交渉まで含めて、利用者の支払いは発生しない。

*クリックすると公式サイトが開く。登録後に担当から連絡が来て、書類の添削から相談できる。*

登録後の流れ|① Web入力で登録(数分。職務経歴書は未完成でいい) → ② 担当から連絡が入り、面談の日程を決める → ③ 書類の添削と求人紹介を受けられる

パソナキャリアに無料で相談する

そもそも転職すべきかから決めたい人は、求人紹介で報酬が発生しない側の窓口が向いている。有料になるが、転職しないという結論も選択肢に残るのが最大の違いだ。

*クリックすると公式サイトが開く。求人紹介をしないキャリアコーチングで、無料相談から始められる。*

登録後の流れ|① 無料相談を申し込む → ② 現状と迷っている点を話す → ③ 内容と料金の説明を受けて、続けるか決める

ポジウィルキャリアの無料相談を見てみる

判断の順番としては、無料の窓口を先に使って市場の反応を見てから、有料を検討する方が損が少ない。無料の面談を2社受けた時点で、自分の疑問が求人の話なのか方針の話なのかが自分で分かるからだ。

この記事のデータは引用・転載していただいて構いません

この記事の表と分類は、出典を明記していただければ自由に引用・転載していただいて構いません。引用の際は、出典として当記事(https://www.careerkoumei.jp/articles/data-service-ryoukin-kata )へのリンクをお願いします。

集計の元になった各社の情報は公式サイトの公開情報であり、分類の判断は編集部によるものだ。手数料の相場(年収の30〜35%前後)は業界で一般に言われている水準を記載しており、個別の契約条件は各社・各企業で異なる。

あわせて検索される疑問に、先に答えておく

無料だと本当に何も請求されませんか

エージェント型・スカウト型については、求職者側に費用が発生しない前提で運営されている。ただし有料オプションを併設しているサービスも一部にあるため、登録前に料金の記載を確認する習慣は持っておいてほしい。この記事の集計でも、「無料」に見えて本編が有料のもの、無料体験だけ無料のものは有料側に分類している。無料と書いてある範囲がどこまでかを見るのが、実務的な確認方法になる。

手数料が高いから、企業は転職者に高い成果を求めるのでは

その通りの面はある。年収の3割超を払って採用するのだから、期待値は当然上がる。ただしこれは紹介経由の入社に限った話ではなく、中途採用そのものの前提だ。むしろ知っておくべきなのは、企業側がその金額を払ってでも採りたいポジションかどうかで、選考の熱量が変わるという点になる。話が急に進む求人は、それだけ企業側が急いでいるという情報でもある。

手数料の分、年収の提示が下がることはありますか

理屈の上ではありうるが、実務では「そのポジションの予算」が先に決まっていることが大半で、紹介手数料の有無で提示年収が上下する場面は多くない。気になるなら、同じ企業に直接応募の枠があるかを確認するのが実際の検証方法になる。ただし直接応募には書類添削も交渉代行もつかないから、そこを自力でやれるかとの比較になるんよ。

姉妹データもある。登録の重さは転職サービス30社の登録所要時間と入力項目、求人数の公表値は転職エージェント各社の公表求人数の比較へ。集計データはデータルームにまとめている。

よくある質問

転職エージェントはなぜ無料で使えるのですか?

採用が決まったときに企業側が紹介手数料(年収の30〜35%前後)を払うモデルだからだ。掲載70社中57社が利用者無料だった。

無料の転職エージェントと有料のキャリアコーチングは何が違いますか?

売り物が違う。前者は求人紹介と採用の成立、後者は方針を決める時間だ。後者は転職しない結論も選択肢に残る。

無料だとサービスの質が低いということですか?

質ではなく力学の違いだ。決まりやすい方に時間が寄る傾向はあるため、意思決定を自分で持ち、型の違う窓口を併用する。

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