転職エージェントの比較記事には、必ず求人数の表が載っている。そして、その数字の出どころと意味を説明している記事は、ほとんどない。
この記事は、各社が自分で公表している求人数を横並びにした上で、その数字がどこまで比較できて、どこから比較できないのかを正直に書くデータ記事だ。
出典と時点を先に明記する。数字は2026年8月時点で編集部が各社公式サイトおよび公開情報から確認したものだ。求人数は日々変動する。この記事の価値は数字の鮮度ではなく、数字の読み方の方に置いている。
この記事の要点
- 公表値の最大手はリクルートエージェント。公開約78万件+非公開約28万件(2026年7月31日時点の公式表記)
- ただし各社の集計基準は統一されていない。単純な大小比較はできない
- 求人数=紹介される数ではない。母集団と実際の紹介数は別物だ
- 非公表の会社も普通にある。公表はマーケティングの選択にすぎない
公表値の一覧。確認できたものだけ載せる
編集部が公式サイト・公開情報で確認できた公表値を並べる。確認できなかったものは推測で埋めず、非公表・要確認と書く。
| サービス | 公表されている求人数 | 時点・出典 |
|---|---|---|
| リクルートエージェント | 公開求人 約78万件/非公開求人 約28万件 | 2026年7月31日時点・公式サイト表記(※「表示件数は採用予定数」の注記あり) |
| doda | 30万件以上(公開求人) | 2026年8月時点・公式の案内表記 |
| マイナビ転職エージェント | 総数の公表なし(サイト掲載は一部の旨の記載) | 2026年8月時点・公式サイト確認 |
| パソナキャリア | 時点により公表形式が変わるため要確認 | 公式サイトで最新を確認 |
| 特化型(IT・医療・介護等) | 各社まちまち。領域内の求人に限られる | 各公式サイトで確認 |
この表でまず伝えたいのは、空欄の意味だ。比較サイトの表がすべてのマスを数字で埋めているのは、古い数字・二次情報・推測が混ざっているからであることが多い。確認できない数字は書かない方が、データとしては誠実だ。
数字の読み方。3つの落とし穴
落とし穴1。集計基準が各社で違う。
「求人数」が何を数えているかは、実は会社ごとに違う。
- 1求人の単位。同じ企業の同じ職種でも、勤務地別・雇用形態別に複数求人として数える場合がある
- 採用予定数か求人票数か。リクルートエージェントの公式表記には「表示件数は採用予定数」という注記がある。1つの求人票で複数人採用するなら、求人票の数とは別の数字になる
- 非公開求人の定義。どこからを非公開と呼ぶかも各社の運用だ
つまり、A社78万件とB社30万件を並べても、同じ物差しの数字ではない。桁の違いは意味があるが、細かい大小比較は意味が薄い。
落とし穴2。求人数は、あなたに紹介される数ではない。
総求人数は母集団の大きさだ。実際にあなたに紹介されるのは、経歴・年齢・希望地・職種でフィルタした後の数件〜数十件になる。78万件のうち、あなたの条件に合うのが5件なら、あなたにとっての求人数は5件だ。
だから実務的には、総数より「自分の条件での在庫」を面談で聞く方が早い。「私の条件だと、いま何件くらい紹介できそうですか」。この質問への答えが、あなた専用の求人数になる。
落とし穴3。多い=良いではない場面がある。
- 地方在住者。総数の大半が都市部求人なら、地元在庫はごく薄い。地方の転職の使い分けに書いた通り、地域の在庫が全てだ
- 特化職種。IT・医療などは、総数の小さい特化型の方が、あなたに合う求人と詳しい担当を持っていることが普通にある
- サポート重視の人。求人数とサポートの質は別の軸だ。量のリクルート、質の評判で選ばれるパソナ、という定番の構図は、両方の軸が別であることの証明でもある
それでも求人数が意味を持つ場面
数字を腐すだけの記事にはしない。求人数が判断材料として機能する場面も書いておく。
- 総合型を1社選ぶ場面。同じ総合型同士なら、母集団の大きさは選択肢の広さに直結する。迷ったら大きい方から面談を受けるのは合理的だ
- 市場の動きを見る場面。同じ会社の公表値を時系列で見ると、採用市場の温度が分かる。求人数の増減は景気の先行指標として機能する
- 非公開求人の比率を見る場面。非公開の比率が大きい会社は、登録しないと見えない在庫が大きいということだ。サイトで眺めるだけでは市場の全体が見えない根拠になる
エージェントの選び方の全体は転職サイト・エージェント比較の決定版と30代が本当に使うべき転職サービスは3つだけにまとめてある。求人数はその判断材料の1つであって、1つでしかない。
結論。数字は入口、面談が本番だ
この記事の結論を3行にする。
- 公表求人数は、各社が各様の基準で出しているマーケティングの数字だ。桁感だけ掴めばいい
- あなたにとっての求人数は、面談で「私の条件で何件か」と聞いた答えだ
- 数字の大小より、型(総合・特化・スカウト)の使い分けの方が結果を左右する。型の判定は転職エージェント相性診断で8問でできる
このデータの引用について
この記事の表・分析は、出典を明記していただければ自由に引用・転載していただいて構いません。引用の際は、当記事(https://www.careerkoumei.jp/articles/data-agent-kyujinsu-hikaku)へのリンクをお願いします。求人数は変動が速いため、引用時は各社公式サイトでの最新値の確認を推奨します。
姉妹データ記事として、転職サービス30社の登録所要時間の一覧と教育訓練給付金の対象講座数の分野別集計がある。データ記事の一覧はデータルームから。
よくある質問
求人数が一番多い転職エージェントはどこですか?
公表値ではリクルートエージェントが最大で、2026年7月31日時点の公式表記で公開約78万件・非公開約28万件だ。ただし集計基準は各社で違い、単純比較には限界がある。
求人数が多いエージェントを選べばいいですか?
総数は母集団の大きさにすぎない。実際に紹介されるのは条件でフィルタした後の数件〜数十件だ。地方や特化職種では総数の小さい特化型の方が合うことが普通にある。
求人数を公表していないエージェントは怪しいですか?
怪しくない。数字を看板にしない営業方針というだけで、総数を掲げない大手もある。公表はマーケティングの選択であって、質の指標ではない。
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エージェントの面談で聞くべき質問リストをLINEで無料配布している。数字に酔わず、自分の条件での在庫を聞ける側に回ってほしい。




