「教育訓練給付金の対象講座は約7,300講座」。

この数字を見たことがある人は少ないはずだ。制度の解説記事は無数にあるのに、対象講座が実際に何講座あって、どの分野に偏っているのかを数えた記事は、ほとんど見当たらない。

だから数えた。この記事は、厚生労働省が公表している指定講座データをもとに、制度別・分野別の講座数を集計したデータ記事だ。

データの出典と時点を先に明記する。本記事の数字はすべて厚生労働省の公表資料(2026年=令和8年8月6日発表の指定講座公表、および令和8年4月1日付け一般教育訓練指定講座一覧)に基づく。講座の指定は年に複数回更新されるため、最新の講座は厚労省の教育訓練講座検索システムで確認してほしい。

この記事の要点

  • 対象講座は3制度合計でおよそ7,300講座の規模だ
  • 最大勢力は医療・福祉系の資格課程。専門実践の過半数を占める
  • IT・AI系(第四次産業革命スキル)は441講座で、新規指定の3分の1超を占める成長分野だ
  • 新規指定はオンライン形式が急増していて、地方在住の不利が縮んでいる

全体像。3制度の講座数

制度給付率講座数時点
一般教育訓練20%2,286講座令和8年4月1日付け公表分
特定一般教育訓練最大50%1,532講座令和8年10月1日時点
専門実践教育訓練最大80%3,485講座令和8年10月1日時点

出典: 厚生労働省「専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年8月6日)」「特定一般教育訓練の指定講座を公表しました(同日)」「一般教育訓練 新規指定講座一覧(令和8年4月1日付け)」

最初の発見はこれだ。一番戻り率の高い専門実践(最大80%)が、講座数でも最大勢力になっている。「高い給付率の枠は狭き門」という直感は、講座数のレベルでは当たっていない。3,485講座は選び放題と言っていい規模だ。給付率の仕組みは80%給付の3段階の条件に分解してある。

専門実践3,485講座の内訳。分野別に数える

専門実践教育訓練の内訳を、厚労省の公表区分どおりに並べる。

分野講座数構成比
業務独占・名称独占資格の取得課程(介護福祉士、看護師など)1,953講座約56%
専門学校の職業実践専門課程697講座約20%
第四次産業革命スキル習得講座(IT・AI・データサイエンス等)441講座約13%
大学等の職業実践力育成プログラム242講座約7%
専門職大学院の課程148講座約4%
専門職大学等の課程4講座約0.1%

出典: 同上(令和8年10月1日時点)。構成比は編集部計算・四捨五入。

読み取れることが3つある。

1。制度の本丸は、医療・福祉・専門資格だ。

過半数の1,953講座が、介護福祉士・看護師などの資格取得課程になる。国が金を出してでも人を送りたい分野がどこか、講座数がそのまま語っている。これらの業界への転職・資格取得を考えている人にとって、この制度は事実上の標準装備だ。

2。IT・AI系は第3勢力で、勢いがある。

第四次産業革命スキル習得講座は441講座。しかも令和8年10月1日付けの新規指定138講座のうち50講座がこの区分で、新規の3分の1超を占める。制度の拡張が一番速い分野だ。AI講座と給付金の関係はAI講座は給付金の対象になるかに書いた。

3。大学・大学院の学び直しも、実は対象が厚い。

専門職大学院148講座+職業実践力育成プログラム242講座で約390講座。MBAや専門職学位の課程が含まれる領域で、社会人の大学院進学に最大80%の給付が乗り得ることは、もっと知られていい。

新規指定から見える変化。オンライン化が急速だ

令和8年10月1日付けの新規指定講座の実施方法を見ると、はっきりした傾向が出る。

制度新規指定数うち通信制うちeラーニングのみ
専門実践138講座61講座49講座
特定一般151講座91講座90講座

出典: 同上。

特定一般の新規151講座は、9割超の90講座がeラーニング完結だ。専門実践でも新規の4割超が通信制になっている。

これが意味することは大きい。対象講座の通学制は都市部に集中してきたが、新規指定の主流がオンラインに移ったことで、地方在住者が制度を使える範囲が急速に広がっている。地方の学び直しで通学を諦めていた人は、検索システムで受講形態を「通信」に絞って探し直す価値がある。探し方の手順は対象講座の探し方に書いた。

働きながらの受講を想定した講座も、特定一般の新規151講座のうち夜間52講座・土日52講座と一定の割合を占めている。「在職中は使えない制度」という誤解は、数字の上でも否定できる。在職中の使い方はリスキリング補助金は会社員でも使えるかを読んでほしい。

数字の限界も正直に書く

このデータを使う上での注意を3つ明記しておく。

  1. 講座数と受けやすさは別だ。募集人数・開講地・選考の有無は講座ごとに違う。数が多い分野でも、あなたの地域・条件で受けられる講座は絞られる
  2. 時点の異なる数字が混ざっている。一般教育訓練は令和8年4月1日付け公表分、他は10月1日時点だ。合計約7,300はあくまで規模感として読んでほしい
  3. 講座数は制度の手厚さの一面でしかない。給付の条件(雇用保険の加入期間等)はあなた側の要件で決まる。もらえないケースの全パターンを併読してほしい

制度の全体像と申請手順は教育訓練給付金を正しく使い倒すが親記事だ。

このデータの引用について

この記事の集計表は、出典を明記していただければ自由に引用・転載していただいて構いません。引用の際は、一次出典(厚生労働省の公表資料)と、当記事(https://www.careerkoumei.jp/articles/data-kyufukin-kouza-bunya)へのリンクをお願いします。データの時点は本文の各表に記載の通りです。

姉妹データ記事として、転職サービス30社の登録所要時間の一覧転職エージェント各社の公表求人数の比較がある。データ記事の一覧はデータルームから。

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よくある質問

教育訓練給付金の対象講座は全部で何講座ありますか?

専門実践3,485講座、特定一般1,532講座(いずれも令和8年10月1日時点)、一般2,286講座(令和8年4月1日付け公表分)で、合計およそ7,300講座の規模だ。

どの分野の講座が一番多いですか?

専門実践では医療・福祉系を中心とする資格取得課程が1,953講座と過半数を占める。IT・AI系の第四次産業革命スキル講座は441講座で、新規指定の伸びが最も速い。

オンラインで受けられる対象講座は増えていますか?

増えている。直近の新規指定では、特定一般の9割超、専門実践の4割超が通信制だ。地方在住者が制度を使える範囲は急速に広がっている。

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