求人票の想定年収に「420万〜800万円」と書いてある。倍近い幅だ。自分はどこに着地するのか分からないまま、なんとなく真ん中あたりを期待して応募しようとしていないか。
先に言う。その期待は外れる。何もしなければ、着地は幅の下側だ。この記事では、なぜ幅がこんなに広いのかを企業側の事情から書き、あなたが上側の数字を取るための動き方まで出す。
この記事の要点
- 年収幅が広いのは、複数職位の一括募集+間口の最大化+評価変動の畳み込みだ
- 上限は将来の天井であることが多い。何もしなければ着地はデフォルトの下側だ
- 下限提示は能力の査定ではなく、情報がないときの初期値だ
- 上側を取る手順は4つ。相場の測定→職位の確認→数字で語る→承諾前に一度交渉
年収幅が広い理由。企業側の事情は4つ
420〜800万のような幅は、いい加減に書かれているのではない。理由がある。
- 複数の職位をまとめて募集しているからだ。メンバー級なら420〜550万、リーダー級なら550〜700万、管理職なら700〜800万。本来3枚の求人票を1枚にまとめると、ああなる
- 応募の間口を最大化したいからだ。下限を低くすれば若手が応募でき、上限を高くすれば経験者の目に留まる。求人票は広告で、幅の広さは網の広さだ
- 評価制度の変動幅を含んでいるからだ。同じ職位でも、経験・スキル・前職年収で提示が変わる会社は、その振れ幅ごと書く
- 上限は釣りとしても機能するからだ。正直に書けば、上限800万は「その枠で最高の人材が、将来到達し得る数字」であることが多い。入社時にそこへ着地する人はまれだ
つまり、幅の広い求人票は1枚に見えて複数の求人が畳み込まれている。あなたの仕事は、自分がどの求人(職位)の選考に乗っているかを特定することだ。
何もしないと下側に着地する仕組み
企業があなたの提示額を決める材料は、実質3つしかない。現年収、社内の給与テーブル、そしてあなたが提示する根拠だ。
- 企業は現年収を基準に「前職+α」で提示するのが基本動作だ。現年収が低いと、能力に関係なく提示も低く出る
- あなたが何も主張しなければ、企業はリスクの低い下側の数字を出す。上げる理由を、企業側が自発的に探してくれることはない
- つまり下限提示は、あなたの能力の査定額ではなく、情報がないときのデフォルト値だ
下限で提示される人の共通点は、スキル不足ではない。自分の相場を数字で示さなかったことなんよ。
幅の上側を取る手順。4ステップ
手順1:自分の相場を先に測る
交渉の土台は、あなたの市場価値の実測値だ。求人票を眺める前に測っておけ。
診断は無料で数分。出てきた数字はレンジの目安として使う。測定の全体像は市場価値の測り方 完全ガイドにまとめてある。
手順2:面接で「どの職位の選考か」を確認する
幅の広い求人では、この逆質問が必須だ。「想定年収に幅がありますが、私の場合はどの職位・等級での選考になりますか」。失礼でも何でもない。むしろ、給与体系を理解して質問できる人として評価される。ここで答えを濁す会社は、提示まで年収が読めないリスクごと評価しろ。
手順3:実績を数字で語り、上の職位の選考に乗る
同じ経歴でも、語り方で乗る職位が変わる。「営業をしていました」ではメンバー級の選考、「◯人のチームで予算◯◯を担い、達成率◯%でした」ならリーダー級の選考に乗り得る。幅の広い求人は、面接中にどの階段に乗るかが決まる試験だと思え。
手順4:オファー面談で一度だけ交渉する
提示が出たら、承諾前が唯一の交渉期だ。「診断と市場の相場では◯◯万円の帯でした。◯◯の経験を評価いただけるなら、◯◯万円を希望します」と、根拠付きで一度だけ言う。言い方と時機の詳細は年収交渉をエージェント任せにするなに書いた。
幅の読み方の応用。求人票の情報として使え
年収幅は、会社を読む材料にもなる。
- 幅が極端に広い+職位の説明がない:給与体系が曖昧か、とにかく応募を集めたい求人だ。面接での確認事項が増える
- 幅が狭い:職位と体系が固まっている。読みやすいが、交渉の伸びしろも小さめだ
- 下限が市場相場より明確に低い:その下限で採れる人を実際に探している可能性がある。下限側の人材として応募していないか、自分の立ち位置を疑え
自分がいまどの帯にいるべきか、キャリアの方向ごと相談したい20代〜30代前半なら、面談で壁打ちする手もある。
若手の年収は、目先の提示額より数年後のポジションで決まる部分が大きい。その逆算はアサインの評判で書いた型のサービスが扱う領域だ。
まとめ
- 年収幅が広いのは、複数職位の一括募集+間口の最大化+評価変動の畳み込みだ
- 上限は将来の天井であることが多い。何もしなければ着地はデフォルトの下側だ
- 下限提示は能力の査定ではなく、情報がないときの初期値だ
- 上側を取る手順は4つ。相場の測定→職位の確認→数字で語る→承諾前に一度交渉
- 年収幅は会社を読む材料でもある。説明できない幅は、リスクとして評価しろ
求人票の800万に心を動かされるな。動かすべきは、あなたが持ち込む数字の方だ。相場を測って、根拠を持って、一度だけ言う。それで着地の帯が変わるんよ。
よくある質問
求人票の年収上限はもらえる可能性があるのですか?
ある。ただし上限は、その職位で最高評価の人材が数年かけて到達し得る天井として書かれていることが多く、入社時の提示は幅の下側に寄るのが普通だ。入社時に狙うべきは上限ではなく、現年収と自分の相場から逆算した現実的な帯だ。
提示年収が下限だった場合、交渉できますか?
できる。オファー面談から承諾までが唯一の交渉期だ。他社の選考状況や自分の相場データを材料に、希望額とその根拠を一度だけ具体的に伝える。下限提示は交渉の余地を残した提示であることも多く、言わずに承諾するのが一番損だ。
年収幅が狭い求人と広い求人はどちらがいいですか?
どちらが良いという話ではなく、情報量が違う。幅が狭い求人は職位と給与体系が固まっている。幅が広い求人は複数職位の一括募集か、評価次第の変動が大きい会社だ。広い求人ほど、面接で自分がどの職位の選考なのかを確認する必要がある。
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