求人票を10件も見ると、どれも同じに見えてくる。アットホームな職場、風通しのいい社風、幅広く活躍できる環境。この文章から何を読み取ればいいのか分からない。
読み方は決まっている。求人票は上から順に、項目ごとに翻訳できる。しかも重要なのは書いてあることより、書いていないことの方だ。項目ごとに順番に見ていく。
この記事の要点
- 最初に見るのは給与欄と休日欄。この2つで労働時間の実態が絞れる
- 給与欄の内訳にみなし残業が入っていたら、その時間は働く前提の金額だ
- 仕事内容の「等」と応募資格の「歓迎」は、含みを読む場所になる
- 求人票は広告文だ。実態は口コミ・面接・担当の実績で裏を取る
項目1|給与欄。月給の内訳を必ず開く
一番大事な項目であり、一番読み間違えられる項目だ。
月給25万円と書いてあっても、それが何を含むかで意味がまったく変わる。見るべきは内訳の記載だ。
- 基本給のみ——残業した分は別途支給される。素直な形になる
- みなし残業代(固定残業代)を含む——たとえば「月給25万円(固定残業代45時間分・6万円を含む)」なら、基本給は19万円で、45時間は働く前提という意味だ
- 各種手当を含む——通勤手当や住宅手当が入っていると、実際の給与水準は見た目より低い
みなし残業が45時間で設定されている求人の読み方はみなし残業45時間はやばいのかに詳しく書いた。時間数そのものより、その時間が常態なのかどうかが判断の分かれ目になる。
そして「年収400万〜800万」のような幅の広い記載。これは等級の幅を示しているだけで、あなたがどこに着地するかは提示の段階で決まる。幅の上側を取る手順は求人票の年収幅が広すぎる理由に書いた。何もしないと下側に着地する。
項目2|休日欄。年間休日数が実態を語る
「完全週休2日制」「週休2日制」「シフト制」——この表現だけでは判断できない。見るのは年間休日数の数字だ。
- 120日前後——土日祝が休みで、夏季と年末年始の休暇がある形
- 110日前後——土日は休みだが、祝日が出勤になる場合がある
- 105日前後——週休2日が成立しない月がある計算になる
「週休2日制」と「完全週休2日制」は別物で、前者は月に1回でも週2日休みがあれば名乗れる。この違いを知らずに応募して入社後に気づく人が多い。数字が書いていない求人は、その時点で1つの情報として受け取っていい。
項目3|仕事内容。「等」と「その他」を読む
仕事内容の欄で見るのは、書かれた業務の中身より書き方の癖だ。
- 「◯◯業務等」の「等」——ここに実際の雑務が入る。範囲が確定していないという意味になる
- 「幅広い業務をお任せします」——人手が足りていない可能性がある。裁量が大きいとも読めるため、面接で「1日の流れ」を聞いて判断する
- 業務が具体的に3〜5個並んでいる——役割が決まっている。求人としては読みやすい形だ
業務内容が抽象的な求人ほど、入社後のギャップが出やすい。抽象的だから悪いのではなく、確認しないまま入るのが危ないという話だ。面接で「この求人で採用された人は、最初の3ヶ月で何をしますか」と聞けば、大半は具体化する。
項目4|応募資格。必須と歓迎は別の意味を持つ
ここは応募するかどうかの判断に直結する。
- 必須(MUST)——満たしていないと書類で落ちる可能性が高い
- 歓迎(WANT)——満たしていなくても応募していい。持っていれば加点される
多くの人が、歓迎条件を必須と誤読して応募を止めている。必須を満たしていれば、歓迎が0個でも応募していい。逆に必須を満たしていない求人に出し続けているなら、それが書類が通らない原因になる。
書類が通らない原因の切り分けは転職活動がうまくいかないときの逆引きにまとめた。応募先の帯と経歴が合っていないだけ、という場合が多い。
項目5|掲載期間と募集人数。ここから背景が読める
意外と情報量が多いのがこの2つだ。
- 募集人数が多い(5名以上)——事業拡大か、人が抜けているかのどちらかになる。どちらかは面接で聞けば分かる
- 同じ求人が長期間、繰り返し掲載されている——決まっていないか、決まってもすぐ抜けているか。理由を確認する価値がある
- 急募・すぐに入社できる方歓迎——欠員補充の可能性が高い。選考が速く進む利点はある
これらは悪材料とは限らない。急いでいる企業は選考も判断も速く、交渉に応じる余地も出やすい。背景を知った上で使えばいい。
書いていないことは、外から取る
ここまでで求人票の中は読み切れる。だが判断に必要な情報の半分は、求人票の外にある。
経路1、口コミで裏を取る。在籍者と退職者の記述は、残業の実態や人の入れ替わりを知る手がかりになる。
*クリックすると公式サイトが開く。企業の口コミが見られるサービスで、無料で登録できる。*
登録後の流れ|① 無料登録する(数分) → ② 気になる企業名で検索する → ③ 在籍者・退職者の投稿を読む
読み方の注意は転職会議の口コミの読み方に書いた。辞めた人が書く場所なので、評価が下に偏る前提で読むのが正しい使い方になる。
経路2、担当が持っている実績を聞く。エージェント経由の応募なら、担当がその企業に過去に人を送っている場合がある。その場合、求人票に書けない実態を知っている。
*クリックすると公式サイトが開く。登録後に担当から連絡が来て、求人の実態から相談できる。*
登録後の流れ|① Web入力で登録(数分) → ② 担当から連絡が入り、面談の日程を決める → ③ 気になる求人の実態を聞いた上で応募を決められる
聞き方は単純でいい。「この企業に過去に紹介したことはありますか。定着していますか」。この1問で、担当が持っている情報量が分かる。
経路3、面接で配属先を聞く。全社平均ではなく、配属される部署の残業時間・有給消化・人数構成を聞く。会社選びの基準の全体像はホワイト企業の見極め方ガイドにまとめてある。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
求人票の内容と入社後の条件が違った場合、どうなりますか
労働条件は、求人票ではなく入社時に交付される労働条件通知書(雇用契約書)で確定する。だから内定が出た段階で書面を必ず確認し、求人票や面接で聞いた内容と違う点があれば、署名する前に質問することだ。署名した後に交渉するのは難しくなる。明らかに条件が違うまま入社を強いられる形なら、それ自体が会社の姿勢を示す情報になる。
給与が「経験・能力を考慮の上、当社規定により決定」としか書いていない
金額の情報がない求人だ。悪いとは限らないが、応募する前に相場を自分で持っておく必要がある。同じ職種・同じ地域の他の求人で提示帯を3件ほど見て、自分の中に基準を作ってから面接に行く。基準がないまま提示を受けると、その数字が高いのか安いのか判定できないまま返事をすることになるわ。
未経験歓迎の求人は、やめておいた方がいいですか
一律には言えない。人材が不足していて育てる前提の求人と、離職が多くて常に募集している求人が、同じ「未経験歓迎」の言葉で並ぶからだ。見分ける材料は3つある。研修の中身が具体的に書かれているか、給与にみなし残業が大量に含まれていないか、同じ求人が長期間出続けていないか。この3つを見れば、かなり絞り込めるんよ。
よくある質問
求人票のどこを最初に見るべきですか?
給与欄と休日欄だ。給与欄はみなし残業の有無、休日欄は年間休日数を見る。この2つで労働時間の実態が絞れる。
「年収例」はどこまで信じていいですか?
実在の例ではあるが上位の例が載りやすい。何年目・どの等級・残業何時間が紐づくかを面接で確認する。
求人票に書いていないことを知るにはどうすればいいですか?
口コミ・面接での配属先確認・担当の紹介実績の3経路で取る。求人票は企業が書いた広告文であって実態の記録ではない。
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項目ごとの確認ポイントをまとめたチェックリストを、公式LINEで無料配布している。読み方さえ持てば、求人票は情報の塊だわ。

