学び直したいが、自分はパート(派遣・アルバイト)だ。こういう制度は正社員のためのものだろう、と最初から諦めていないだろうか。

その諦めは、たぶん間違っている。教育訓練給付金の判定基準は、雇用形態ではない。判定されるのは、まったく別の一点だ。そこから書く。

この記事の要点

  • 判定基準は雇用形態ではなく、雇用保険に加入しているかどうかだ
  • 週20時間以上などの条件で、パート・派遣も雇用保険の加入対象になる
  • 確認方法は給与明細1枚。控除欄に雇用保険料があるかを見る
  • 加入していない場合は、無料の職業訓練という別ルートがある

判定されるのは雇用形態ではない

まず、一番大事なところから。

教育訓練給付金の対象かどうかを決めるのは、あなたが正社員かパートかではない。判定されるのは、

雇用保険の被保険者であるか(あったか)、そして加入期間の条件を満たしているか。

この一点だけだ。制度の条文を「在職1年以上」「2年以上」と要約するときに、多くの記事が「在職=正社員」という前提で書いてしまうから、非正規の人が自分は対象外だと誤解する。正しくは、雇用保険の加入期間の話をしている。

パート・アルバイト・派遣でも、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあるといった条件を満たせば、雇用保険の加入対象になる。実際、多くのパート・派遣の人が加入している。

確認方法は給与明細1枚。今日できる

自分が対象かどうかは、給与明細の控除欄を見れば分かる。

  • 「雇用保険」という項目があり、金額が引かれている → あなたは雇用保険の被保険者だ。給付金の土俵に乗っている
  • 雇用保険の控除がない → 加入していない。この場合は後述の別ルートを見る

加入していることが分かったら、次は加入期間だ。今の職場だけでなく、過去の職場での加入期間も通算できる場合がある(離職期間が一定以内などの条件がある)。転職を繰り返してきた人ほど、自己判断せずに窓口で通算を確認した方がいい。

そして最終判定は、ハローワークの支給要件照会でやる。無料で、その場で「あなたは対象です/対象外です」の回答が出る。制度の条件を自分で読み解こうとするより、この照会が圧倒的に速い。

扶養内で働いている人の注意点

扶養の範囲で働いている場合、週の労働時間を短く調整している結果、雇用保険の加入対象から外れているケースが多い。この場合は残念ながら対象外になる。

ただし、思い込みで判定しないでほしい。扶養の基準(収入)と、雇用保険の加入基準(労働時間)は別の物差しだ。収入が扶養内でも、週20時間以上働いていて加入している人は実際にいる。だからここでも、確認するのは給与明細になる。

もし加入していないなら、選択肢は2つある。

  1. 加入する働き方に変える。学び直しのためだけに労働時間を増やすのは本末転倒に見えるが、扶養の壁そのものを越える判断とセットなら、選択肢として成立する
  2. 別ルートを使う。次に書く

雇用保険に入っていない場合の別ルート

給付金が使えなくても、学び直しの道が閉じるわけではない。ハローワークの公的職業訓練という別の制度がある。

  • 教育訓練給付金は、雇用保険の加入者が自分で選んだ講座を受け、後から一部が戻る制度
  • 公的職業訓練(求職者支援訓練など)は、雇用保険の受給資格がない人も対象で、受講料が原則無料の訓練

つまり、対象者がちょうど逆側を向いている。給付金が使えない人にこそ、職業訓練が用意されている構図だ。2つの制度の違いと使い分けは職業訓練と教育訓練給付金の違いに1本で書いた。訓練が転職で評価されるかどうかの実態は職業訓練は転職で有利になるかにまとめてある。

制度が使えない、で終わらせるな。あなたに合う制度が別にあるだけだ。

非正規から学び直す場合の現実的な順番

最後に、順番の話をしておく。非正規で働きながら学び直す場合、この順で進めるのが安全だ。

  1. 給与明細で雇用保険の加入を確認する(今日できる)
  2. ハローワークで支給要件照会をする(対象か対象外かを確定させる)
  3. 対象なら給付金ルート、対象外なら職業訓練ルートを窓口で相談する
  4. 学ぶ内容は、次の仕事の求人票から逆算して決める
  5. 学習時間を1ヶ月試してから、本申し込みする

特に4が大事になる。学びたいものから選ぶと、修了しても仕事が変わらないことがある。求人票を10件見て、そこに書かれている要件から必要な学びを決める。この順番なら、学びが仕事に接続する。

給付金の全体像と受給チェックリストは教育訓練給付金の完全解説に、落とし穴の全パターンはもらえないケースに整理してある。

あわせて検索される疑問に、先に答えておく

派遣社員は派遣会社の雇用保険でカウントされるのか

派遣で働く場合、雇用保険の加入先は派遣元(派遣会社)になる。だから加入期間も派遣会社での期間で数える。複数の派遣会社を渡り歩いてきた人は、期間が分断されて見えることがあるが、離職期間が一定以内であれば通算できる場合がある。派遣元が変わっている人ほど、窓口での通算確認の価値が大きい。

学生アルバイトは対象になるか

昼間学生は原則として雇用保険の加入対象外とされている。そのため、学生の身分でのアルバイトは加入期間として数えにくい。ただし卒業後に働き始めれば、そこから加入期間が積み上がる。新卒で入って1年を超えたあたりから、この制度はあなたの選択肢に入ってくると覚えておいてほしい。

短期のパートを繰り返してきた場合はどうなるか

短期の雇用を繰り返してきた人は、加入していた期間と、していなかった期間が混在している。この場合、自分で数えるのはほぼ不可能だと思っていい。ハローワークは加入記録を持っているから、照会すれば通算した結果を教えてくれる。記録は役所側にある。あなたがやるのは、照会に行くことだけだわ。

よくある質問

パートやアルバイトでも教育訓練給付金は使えますか?

使える。判定は雇用形態ではなく、雇用保険の加入と加入期間だ。給与明細の控除欄で加入の有無はすぐ分かる。

扶養内で働いていますが対象になりますか?

扶養内は労働時間が短く未加入のことが多いが、思い込みで判定しないこと。まず給与明細を見る。未加入なら無料の職業訓練という道がある。

雇用保険に入っていない場合はどうすればいいですか?

ハローワークの公的職業訓練が別ルートになる。受給資格のない人が対象で、受講料は原則無料だ。窓口でどちらに乗れるか確認する。

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