「職業訓練を受ければ、未経験でも転職できますか」

この問いには、正直に答えたい。訓練を受けただけでは、有利にならない。だが、使い方を知っている人にとっては、金をかけずに職種を変える現実的なルートになる。

その差がどこで生まれるかを、この記事で全部書く。制度の細かい条件は変わることがあるので、受講の条件と申込の手順は、管轄のハローワークで最終確認してほしい。

この記事の要点

  • 訓練の事実だけでは評価されない。評価されるのは成果物と接続だ
  • 企業側から見た訓練修了者の価値は「基礎があり、学ぶ姿勢が実証済み」
  • 有利になる使い方は、訓練→成果物→未経験可求人の3段接続
  • 離職中は公共職業訓練、在職中は教育訓練給付金が基本の使い分けになる

職業訓練で得られるもの。3つある

公共職業訓練(ハロトレ)は、受講料が原則無料(テキスト代等は自己負担)で、数ヶ月単位で技能を学べる制度だ。入口はハローワークになる。

得られるものは3つある。

  1. 技能の基礎。事務系(簿記、PC)、IT系、介護、製造、設備など、コースは幅広い
  2. 成果物と資格。訓練によっては資格取得や制作物がカリキュラムに入る
  3. 空白期間の説明。離職期間が「訓練を受けていた期間」に変わる。これは選考で実際に効く

条件を満たせば、失業給付を受けながら受講できる場合もある。給付との関係は失業保険をもらいながらの転職活動に書いた。

企業側から見た訓練修了者。正直な評価

ここが一番知りたいところのはずだ。忖度なしで書く。

訓練修了は、実務経験の代わりにはならない。採用側から見て、数ヶ月の訓練と数年の実務は別物だ。ここを見誤ると、応募先の選定を間違える。

一方で、訓練修了者にしかない評価もある。

  • 基礎を体系的にやってきたことがわかる。独学の自称よりも検証しやすい
  • 金と時間を自分に投資した実績になる。未経験分野への本気度の証明として機能する
  • 職業訓練経由の採用に慣れている企業が存在する。訓練校と接点のある地元企業だ

つまり、訓練修了者の戦場は「実務経験者の土俵」ではなく「未経験可・育成前提の土俵」だ。この土俵の選び方を間違えなければ、訓練は普通に武器になる。

有利になる使い方。3段接続で考えろ

訓練 → 成果物 → 未経験可求人。この3段が繋がった時だけ、訓練は転職で有利に働く。

段1。訓練は、出口の職種から逆算して選ぶ。

「面白そうだから」でコースを選ぶと、出口で詰まる。先に地域の求人を見て、未経験可の求人が実際に存在する職種の訓練を選ぶ。訓練の見学会や説明会で、修了生の就職先を聞くのが一番確実だ。

段2。訓練中に、見せられる成果物を作る。

修了証は紙だが、成果物は証拠だ。IT系なら制作物、事務系なら資格。面接で「何ができるか」を見せられる形に変えておく。

段3。応募は、育成前提の求人に絞る。

経験3年以上の求人に訓練修了で挑んでも通らない。未経験可・研修あり・訓練修了者歓迎の求人が主戦場だ。20代でIT系に出たいなら、未経験前提で就職支援まで付くウズウズITのような窓口を訓練と並行して使う手もある。訓練で基礎、支援サービスで出口、という分担だ。

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訓練が向かない人と、代わりの制度

向かない人も書いておく。

  • 在職中の人。公共職業訓練は主に離職者向けの制度だ(在職者向け訓練もあるが枠が違う)。在職のまま学ぶなら、講座費用の一部が戻る教育訓練給付金の方が本命になる
  • 学びたい講座が明確に決まっている人。訓練はコースの選択肢が地域の開講状況に縛られる。自分で講座を選びたいなら給付金制度で民間講座を使う方が合う
  • すぐ働きたい人。数ヶ月の訓練期間は、逆に言えば数ヶ月収入が細る期間だ。生活の下限計算が先になる

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訓練コースの選び方。倍率と時期の現実も書いておく

訓練は申し込めば全員受けられるわけではない。人気コースには倍率があり、選考(面接・筆記)がある。ここの現実も書いておく。

  • IT系・Web系・事務系は人気が高く、倍率が付きやすい。選考では「訓練を就職にどう繋げるか」を具体的に話せるかが見られる。この記事の3段接続の考え方を、そのまま志望動機として話せばいい
  • 開講時期は地域ごとにばらばらだ。受けたいコースの次の開講が数ヶ月先ということも普通にある。訓練を軸にするなら、開講スケジュールの確認を最初にやる
  • 選考に落ちることもある。落ちた場合は次の開講を待つか、教育訓練給付金で民間講座に切り替えるかの2択になる。待つ期間が長いなら、切り替えの方が早いことも多い

訓練中の生活費の話も避けて通れない。失業給付を受けながら受講できる場合があるほか、給付が受けられない人向けに、条件を満たせば月10万円の給付を受けながら訓練を受けられる求職者支援制度という別の枠組みもある。収入が細い期間をどう支えるかは、コース選びと同じくらい重要な計画だ。自分がどの制度の対象になるかは、窓口で最初に聞いてほしい。

訓練修了者の職務経歴書。書き方の型を置いておく

訓練を武器に変える最後の工程は、書類だ。型を置いておく。

  • 履歴書の学歴・職歴欄|「◯◯職業能力開発センター ◯◯科 入所・修了」と、正式名称で書く
  • 職務経歴書|訓練を「学習歴」の枠で独立させて、習得技能(具体的なツール・資格名)と成果物(制作物の概要)を箇条書きにする
  • 自己PR|「未経験ですが訓練で学びました」ではなく、「◯◯を作れます。訓練で◯ヶ月かけて習得しました」の順で書く。できることが先、経緯が後だ

空白期間の説明としても、訓練は強い。「離職後は◯◯の習得に充てていました」と言える経歴は、無為の空白とはまるで違う評価を受ける。書き方の詳細は空白期間の説明の仕方にまとめてある。

よくある質問

職業訓練を受けると転職で有利になりますか?

訓練の事実だけでは有利にならない。訓練で作った成果物や資格を、応募先の職種の要件に接続できた場合に有利になる。土俵は未経験可・育成前提の求人だ。

職業訓練を受けたことは履歴書に書けますか?

書ける。訓練名と期間を書き、技能と成果物を職務経歴書側で具体的に示す。空白期間の説明としても前向きに機能する。

職業訓練と教育訓練給付金はどちらを使うべきですか?

離職中で費用を最小にしたいなら公共職業訓練、在職中や講座を自分で選びたいなら教育訓練給付金が基本の使い分けだ。どちらが使えるかはハローワークで確認できる。

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