朝7時前に学校にいて、夜9時に帰る。土日は部活。持ち帰り仕事もある。それでも残業代は1円も出ない。自分の要領が悪いのかと思っていた。

違う。残業代が出ないのは、あなたのせいじゃない。法律の仕組みだ。給特法の中身と、辞める前に確認する4つと、経験の翻訳先を書く。

先に一文で。公立学校の教員に残業代が出ないのは給特法により時間外勤務手当が支給されず給料月額4%の教職調整額に置き換わっているためで、時間外勤務を命じられるのは超勤4項目に限られ、それ以外は自発的な勤務として扱われる仕組みになっている。

この記事の要点

  • 残業代が出ないのは給特法の仕組み。教職調整額(給料月額の4%)に置き換わっている
  • 命じられる時間外勤務は超勤4項目だけ。授業準備・部活・保護者対応は入らない
  • 在校等時間の上限指針は月45時間・年360時間(2019年改正で法的根拠)
  • 2025年6月に給特法等の改正法が公布。処遇改善が進む(率と時期は自治体の条例で確認)
  • 辞める前に確認する4つ|退職手当/共済の切り替え/年度途中の扱い/免許

給特法の仕組み

項目内容
時間外勤務手当・休日勤務手当支給されない
代わりに教職調整額(給料月額の4%
つまり何時間働いても、時間に比例して増える手当は出ない

一般の会社員なら、時間外は2割5分増、月60時間超は5割増、深夜は2割5分増が付く(残業代の計算方法の記事深夜手当の記事)。この差が、そのまま働き方の差になっている

超勤4項目

校長が時間外勤務を命じられるのは、次の4つに限られる。

  1. 生徒の実習に関する業務
  2. 学校行事に関する業務(修学旅行など)
  3. 職員会議に関する業務
  4. 非常災害の場合や、児童生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合等の業務

この4つ以外は、制度上は自発的な勤務として整理される

実際に時間を使っている業務制度上の扱い
授業準備超勤4項目に入らない
部活動の指導入らない
保護者対応入らない
事務処理・成績処理入らない

この構図が、長時間労働が可視化されにくい原因になってきた。

在校等時間の上限

2019年の改正で、在校等時間の上限に関する指針(原則として月45時間・年360時間)に法的な根拠が与えられ、記録と管理が求められるようになった。一般の会社の36協定の上限と同じ水準だ(36協定と残業の上限の記事)。

自分の在校等時間が記録されているか、月45時間を超えていないかを、まず確認する。超えているなら、それは指針から外れている状態だ。

2025年6月の改正

2025年6月に給特法等の改正法が公布された。教職調整額の引上げを含む処遇改善が進められることになっている。ただし、具体的な率と適用の時期は自治体の条例で定まるので、所属の教育委員会の条例を確認する。

制度が変わるまで待つかどうかは、あなたの体調と年数で決める。制度は動くが、動くまでの時間は戻ってこない。

辞める前に確認する4つ

#確認することどこで
1退職手当の算定勤続年数と退職理由で変わる。人事担当・条例
2公立学校共済組合からの切り替え国民健康保険か、次の会社の健康保険か、家族の扶養か(退職後の健康保険の記事
3年度途中で辞める場合の扱い学校・教育委員会の運用。後任の確保
4教員免許の扱い免許は残る(再び教壇に立つ選択肢を消さない)

加えて、辞めた後の住民税を忘れない。前年の給与に対する住民税が翌年に来る(住民税非課税世帯の条件の記事)。

経験の翻訳(採用側が理解できる言葉に変える)

教員としての実際翻訳
学級運営・行事・成績処理を締切付きで回す同時並行の進行管理
保護者・地域・同僚との調整対人折衝
人に教えて成果を出させる指導と育成
授業を組み立てて伝える資料作成と説明
成績・出欠・予算の管理数字の管理

この5つのどれを軸にするかで、通る職種が変わる。職務経歴書の書き方は職務経歴書に書くことがない人への記事、空白期間がある場合は空白期間の説明の仕方の記事で書いた。

通りやすい転職先の型

何が活きるか注意
教育産業(塾・予備校・教材・EdTech)業界知識がそのまま労働時間が長い会社もある。求人票の見方は変えない
人材開発・研修教える技術が直接使える企業の教育担当、研修会社
公務員(教育職以外)服務の経験試験が要る
事務・企画進行管理、資料作成学校事務、大学職員、一般企業の総務・人事
ITの導入支援現場を知っていることが強み学校向けサービスのカスタマーサクセス・導入支援

未経験の職種に移る進め方は30代の未経験職種への転職の記事、年収の相場は職種別・年代別の平均年収のデータ記事で確認する。

体調が先

心身が限界なら、辞めるより先に休む。病気休暇・休職 → 傷病手当金や病気休職中の給与という順で、生活を確保してから決める(休職中の給与と手当の記事うつで退職を考えた時の順番の記事)。辞めてから休むより、在職のまま休むほうが使える制度が多いのは、公務員でも同じだ。

私の場合

私は教員ではない。1社目は美容業界のブラック企業で、残業代なし・休日出勤・パワハラが当たり前だった。1年以内に辞めて、フリーター期間を経てWeb業界に移った。あの時に効いたのは、根性でも我慢でもなく、次に使えるものを1つ作ったことだ。教員の経験は、翻訳すれば使える。使えないと思っているのは、たいてい自分だけだ。

翻訳が合っているかを、外の人に当てる

教員の経験を5つに翻訳したら、それが民間の言葉として通じるかを外の人に当てる。学校の中だけで考えていると、通じる言い方に届かない。

サクキャリマッチは、複数のエージェントから自分に合う担当を探せるマッチングの窓口で、まず相談だけしたい段階でも使える。教育業界に強い担当と、一般企業に強い担当では、同じ経歴の見立てが変わる。

*クリックすると公式サイトが開く。無料で、キャリア相談から始められる。*

登録後の流れ|① Webで希望を入力(数分) → ② 条件に合うエージェント・担当が案内される → ③ 面談で経歴の翻訳と求人の方向を相談する

使わなくていい人|体調が限界で、まず休むことが先の人。病気休暇・休職の相談を先にする。

サクキャリマッチで相談先を探す

3分で試算退職タイミングシミュレーター——退職日を入れると、住民税・社会保険・賞与・有休の損得が並ぶ。無料・登録不要。

よくある誤解

「残業代が出ないのは自分の要領が悪いから」。給特法の仕組み。個人の問題ではない。

「教員から民間には行けない」。進行管理、対人折衝、指導、資料作成。翻訳すれば通る職種は多い。

よくある質問

年度途中で辞められますか?

法律上は辞められる。ただし学校の運用として年度末を求められることが多い。体調が理由なら、まず病気休暇・休職を検討する。

私立の教員も給特法の対象ですか?

給特法は公立学校の教育職員が対象。私立は労働基準法が適用され、時間外勤務手当が支払われる建前になる。

転職の資料をLINEで無料配布中

在校等時間・退職手当・共済の切り替え・経験の翻訳先を並べて、辞める時期を決める記入表を公式LINEで無料配布している。仕組みを知ってから決めよう。

LINEで無料の資料を受け取る