「ハローワークの求人はやばい」「ろくな求人がない」。検索するとこの手の言葉が並ぶ。
半分本当で、半分は仕組みを知らない人の感想だ。
この記事では、ハローワークの求人の質が悪いと言われる理由を仕組みから分解して、悪い部分と、実は使える部分を分けて書く。
この記事の要点
- 質が低めに寄るのは事実で、原因は掲載無料という仕組みにある
- ただし「無料だから載せる堅実な地元企業」も同じ場所に混ざっている
- つまり選別の手間が利用者に乗っている市場だ。選別できれば使える
- 見分けは3点。求人票の具体性・掲載期間・口コミの傾向
質が悪いと言われる理由。仕組みで説明がつく
理由1。掲載が無料だから、母集団が偏る。
民間の転職サービスは、企業が金を払って求人を出す。エージェント経由なら、採用が決まった時に年収の3割前後の紹介料を払うのが相場だ。つまり民間の求人には「採用にそれだけの予算を出せる会社」というフィルターが最初からかかっている。
ハローワークは掲載無料だ。このフィルターがない。採用にかける予算がない会社、つまり給与や待遇の原資が薄い会社の求人も、同じ棚に並ぶ。給与水準が低めに寄るのは、この仕組みの帰結だ。
理由2。求人票の情報が薄くなりやすい。
民間サービスは求人票の作り込みを企業と一緒にやるが、ハローワークの求人票は企業の自己申告が基本になる。書き慣れていない会社の求人票は、仕事内容が2〜3行で終わる。情報の薄さが、そのまま怪しさに見える。
理由3。求人票と実態のずれを、事前に検知しにくい。
掲載時の審査は要件の確認が中心で、実態調査までは行われない。残業や給与内訳のずれは、入ってから気づくことになりやすい。ただし補足しておくと、一定の労働関係法令違反がある事業所の求人を不受理にする仕組みは存在する。無法地帯ではない。
それでも「実は良い求人」が眠る3つのケース
ここからが、感想記事には書かれない部分だ。
ケース1。掲載費を払う発想がない、堅実な地元中小。
従業員数十人の地元企業には、「求人はハローワークに出すもの」という文化の会社が普通にある。経営は健全で、定着率も悪くないが、民間サービスには一切出てこない。この層はハローワークにしかいない。
ケース2。急いでいない採用。
紹介料を払ってでも急いで採りたい求人は民間へ、急がない補充はハローワークへ、と使い分ける会社がある。急がない採用は、選考も落ち着いていることが多い。
ケース3。地方の求人。
都市部以外では、民間エージェントの求人網がそもそも薄い。地方では、ハローワークが事実上の最大の求人データベースになる。この現実は地方の転職でのハローワークとエージェントの使い分けに詳しく書いた。
見分け方。3点通ったものだけ応募しろ
玉石混交の市場で戦う方法は1つだ。選別の手間を、仕組みとして自分に組み込む。
1。求人票の具体性を見る。
仕事内容が具体的か。給与の内訳(基本給・手当・固定残業の有無)が書かれているか。具体的に書ける会社は、管理ができている会社だ。薄い求人票は、それ自体が情報になる。
2。掲載期間を見る。
何ヶ月も出続けている求人は、「ずっと人が採れない」か「ずっと人が辞めている」かのどちらかであることが多い。長期掲載は要注意のサインとして扱う。
3。口コミで離職理由の傾向を見る。
転職会議で、その会社を辞めた人の理由を読む。同じ言葉(残業、詰め、離職率)が3回出てきたら、それは感想ではなく傾向だ。
*クリックすると公式サイトが開く。会員登録のうえ口コミを1件投稿すると、他社の口コミが読めるようになる。*
登録後の流れ|① 会員登録する → ② 口コミを1件投稿する → ③ 他社の口コミが読めるようになる
面接まで進んだら、残業時間と離職率を数字で聞く。答えられない会社は、それが答えだ。この質問の仕方は週休2日と完全週休2日の違いにも書いた。
結論。使い方の問題であって、使うなという話ではない
ハローワークの求人の質は、低めに寄るが、選別できる人にとっては掘れる市場だ。特に地元中小を狙う人と地方在住の人には、他で代替できない。
一方で、年収を上げたい人がメインで使う場所ではないのも事実だ。給与水準の高い求人は、予算のある会社が集まる民間側に多い。自分の市場価値がどの帯にあるかを先に測っておくと、どちらの市場で戦うべきかが決まる。
*クリックすると公式サイトが開く。経歴を入力すると、その場で想定年収の目安とスカウトの可否が表示される。*
受けた後の流れ|① 経歴を入力する(10分前後) → ② その場で結果が表示される → ③ 結果だけ持ち帰ってもいい
ハローワークとエージェントの全体の使い分けはハローワークと転職エージェントの違い、自分がハローワーク向きかどうかはハローワークを使う人の特徴で判定できる。
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求人票の読み方。危険なサインを具体的に並べる
3点セットの検品のうち、求人票の具体性についてもう一段掘る。ハローワークの求人票で立ち止まるべきサインを並べておく。
- 給与の幅が異様に広い。「月給18万〜45万円」のような表記は、下限が実態で上限が釣りであることが多い。下限で生活が成立するかで判断しろ
- 固定残業代の記載が曖昧。「月給25万円(各種手当含む)」で内訳がない場合、基本給が最低賃金すれすれのことがある。面接で基本給の額を必ず聞く
- 仕事内容が抽象的。「軽作業」「サポート業務」だけで具体がない求人は、入ってから何でもやらされる余地がある
- 年齢不問・経験不問・学歴不問が全部並ぶ。間口の広さは、定着率の低さの裏返しであることがある
- 「アットホームな職場です」型の情緒的な文言だけが多い。書ける実務情報がないことの裏返しだ
逆に、具体的な数字(年間休日数、平均残業時間、有給取得率)を自分から書いている求人は、管理と自信の証拠として評価していい。数字を書くと応募者に検証されるからだ。検証されても困らない会社しか書けない。
窓口の機能も使い倒せ。求人票の外の情報を取る方法
ハローワークには、検索端末の外にもう1つ武器がある。窓口の職員経由で、企業に事前確認ができることだ。
求人票に書かれていない情報(残業の実態、離職の状況など)を、応募前に窓口から問い合わせてもらえる場合がある。自分で聞くと角が立つ質問を、公的機関がクッションになって聞いてくれる構図だ。
さらに、その求人への応募状況や充足状況も窓口で分かることがある。何ヶ月も掲載されて誰も定着していない求人かどうかは、この経路で見えることがある。使い方は窓口で「この求人について確認したいことがある」と言うだけでいい。相談員の当たり外れはあるが、それは相談員の対処法に書いた通り引き直せばいい。
無料の市場は、検品の道具を持っている人にとってだけ掘れる市場だ。求人票のサイン、口コミ、窓口経由の確認。3つ揃えば、掲載無料の弱点はほぼ相殺できる。
よくある質問
ハローワークの求人は本当に質が悪いのですか?
玉石混交が正確だ。掲載無料のため給与水準は低めに寄るが、掲載費を払う発想がないだけの堅実な地元企業も混ざる。選別の手間が利用者側に乗っている市場だ。
なぜハローワークにはブラック企業の求人が混ざるのですか?
掲載が無料で、審査は書類上の要件確認が中心だからだ。ただし一定の労働関係法令違反がある事業所の求人を不受理にする仕組みも存在する。
ハローワークの求人で良い会社を見分ける方法はありますか?
求人票の具体性・掲載期間・口コミでの離職理由の傾向の3点で見る。3つを通った求人だけ応募すれば事故率は大きく下がる。
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