契約社員や派遣で働いていて、今の給料に大きな不満はない。正社員との差はあると聞くが、どのくらいなのかは分からない。
厚生労働省が雇用形態別に賃金を集計している。最新の令和7年(2025年)調査を年代別に並べた。非正規の給料は、何歳になっても23万円のまま。差は年齢とともに開く。
先に一文で。正社員35万8,800円に対し正社員以外24万1,700円で格差は67.4、年代別では20〜24歳82.2・30〜34歳72.8・40〜44歳60.8・50〜54歳55.7と開き、正社員以外の賃金は30歳以降ほぼ23万円で動かない。
この記事の要点
- 全体|正社員35.9万・正社員以外24.2万(格差67.4)
- 20代前半は8割。40代で6割、50代で5割台
- 正社員以外は30歳以降23万円で横ばい
- 格差が大きいのは大企業(60.7)と卸売・小売(61.3)
出典と数字の意味
出典は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」の「雇用形態別にみた賃金」。10人以上の民営事業所の2025年6月分の給与を集計したものだ。
- 正社員・正職員|事業所で正社員・正職員とされる人
- 正社員・正職員以外|契約社員・嘱託・派遣など。ここではフルタイムの人だけを集計しており、パート・アルバイト(短時間労働者)は含まない
- 賃金|所定内給与額。残業代と賞与を含まない月額
つまりこの差は「同じフルタイムで働いて、雇用形態だけが違う」人の差だ。賞与を含めると、差はさらに開く。
年代別の格差
| 年齢 | 正社員・正職員 | 正社員以外 | 格差(正社員=100) |
|---|---|---|---|
| 〜19歳 | 21万800円 | 18万6,300円 | 88.4 |
| 20〜24歳 | 24万7,500円 | 20万3,500円 | 82.2 |
| 25〜29歳 | 28万5,000円 | 22万7,900円 | 80.0 |
| 30〜34歳 | 32万1,100円 | 23万3,800円 | 72.8 |
| 35〜39歳 | 35万2,600円 | 23万300円 | 65.3 |
| 40〜44歳 | 37万9,000円 | 23万600円 | 60.8 |
| 45〜49歳 | 39万5,600円 | 23万3,400円 | 59.0 |
| 50〜54歳 | 41万2,700円 | 22万9,700円 | 55.7 |
| 55〜59歳 | 42万4,200円 | 23万2,500円 | 54.8 |
| 60〜64歳 | 36万6,200円 | 27万9,900円 | 76.4 |
| 全年齢 | 35万8,800円 | 24万1,700円 | 67.4 |
読み取れることは3つある。
1、正社員以外は30歳以降、上がらない。30〜34歳23万3,800円、55〜59歳23万2,500円。25年働いても月額は同じだ。
2、差が開くのは30代。格差は25〜29歳80.0から35〜39歳65.3へ、5年で15ポイント落ちる。正社員が昇給と昇格で上がる時期に、正社員以外は止まる。
3、60代で差が縮む。正社員が定年後の再雇用で下がり、非正規側は再雇用者が入るため27万9,900円に上がる。
男女別・企業規模別
| 区分 | 正社員 | 正社員以外 | 格差 |
|---|---|---|---|
| 男性 | 38万7,400円 | 26万8,100円 | 69.2 |
| 女性 | 30万4,900円 | 21万8,400円 | 71.6 |
| 大企業 | ― | ― | 60.7 |
| 卸売業・小売業 | ― | ― | 61.3 |
大企業ほど格差が大きい。大企業の正社員は年齢とともに上がり続けるが、非正規は規模に関係なく23万円前後だからだ。大企業の非正規から中小企業の正社員へ移ると、月額が上がることは統計上珍しくない。
年収で見ると差はもっと大きい
月額の差は全年齢で11万7,100円。年間で140万円になる。これに賞与の差が乗る。正社員に賞与4ヶ月分が出て非正規に出ない会社なら、35〜39歳で年間290万円前後の差になる。月額の差の2倍近くが、年収の差として出る。
正社員に移るなら、いつか
格差が開く前、つまり20代後半から30代前半が統計上は最も損が小さい。25〜29歳の格差80.0の時点で正社員になれば、その後の昇給の線に乗れる。40代で移る場合は、正社員の平均(40〜44歳37万9,000円)とはすぐに並ばず、勤続0年の平均27万4,500円から始まることが多い(年代別の平均給料の記事)。それでも非正規の23万円よりは上で、そこから上がる線に乗る。
転職で賃金が増えた人は全体で40.8%、減った人は31.0%だった(転職で年収が上がる人の割合の記事)。非正規から正社員は、初年度の額より、その後の上がり方で取り返す動きになる。
私はフリーターの期間があり、そこからWeb業界の中小企業に未経験で正社員として入った。最初の額は低かったが、その後の転職で上がった。非正規のまま時間が経つほど、統計上は差が固定される。動くなら早いほうが、数字の上でも有利だ。
よくある誤解
「非正規でも経験を積めば上がる」。平均では上がらない。30歳以降は23万円で横ばいだ。上がるのは、正社員に移った時か、時給の高い専門職の場合に限られる。
「大企業の非正規なら安心」。大企業ほど正社員との格差が大きい(60.7)。安定はあっても、額の差は最大になる。
学歴別の平均給料(公的データ)
厚労省の賃金構造基本統計調査(令和7年)では、高卒29万7,200円・専門卒31万3,700円・大卒39万6,300円・大学院卒51万7,400円で、高卒と大卒の差は20代前半の3万8,700円から50代後半の19万7,000円に開く。ただし企業規模と役職の差はそれより大きい。表は学歴別の平均給料の記事で書いた。
転職の判断に使う公的データの一覧
年代別・業界別・役職別・学歴別・雇用形態別の平均給料、転職で上がる人の割合、転職理由、有給取得率、年間休日、手当の相場を、厚労省の原典ごとに場面別で並べた入口は転職の判断に使う公的データ一覧にある。
よくある質問
同一労働同一賃金で差はなくならないのですか?
2020年(中小企業は2021年)から、不合理な待遇差は禁止されている。ただし「職務内容や責任の範囲が違う」場合の差は認められており、統計上の格差は前年の66.9から67.4へ、1年で0.5ポイントしか縮まっていない。制度で差がなくなるのを待つより、雇用形態を変えるほうが早い。
契約社員から正社員登用される確率は高いですか?
会社によって大きく違う。求人票に「正社員登用実績あり」とあれば、面接で「直近3年で何人が登用されたか」を聞く。人数を答えられない会社は、実績が少ないと見ていい。
転職の資料をLINEで無料配布中
非正規から正社員へ移る時の年収シミュレーション表(初年度の額と5年後の額を平均で出す式つき)を公式LINEで無料配布している。差が固定される前に、数字で判断しよう。

