自己評価の提出期限が迫っている。何を書けばいいのか。自分で自分を高く書くのは気が引けるし、かといって低く書くのも違う気がする。

先に一番大事な原則を言う。謙遜は美徳ではなく、減点の自己申告だ。評価の仕組みから、例文まで書く。

先に一文で。自己評価は評価者への情報提供であり、謙遜は起点を下げるだけ損なので、行動・結果・工夫の3点を事実と数字で完全申告するのが正しい書き方だ。

この記事の要点

  • 上司はあなたの仕事の全部を見ていない。書かない貢献は存在しない扱いだ
  • 評価の議論は自己評価が起点。低い起点は上方修正されにくい
  • 型は、行動+結果(数字)+工夫の3点セット
  • 未達の期は、未達の事実+要因+次の打ち手で誠実に書く

なぜ謙遜が損なのか。仕組みで理解する

自己評価を人柄の試験だと思うと、控えめに書きたくなる。だが実態は違う。

  • 上司の視界は狭い|あなたの仕事の3割も見えていないことは普通だ。自己評価は、視界の外の仕事を評価の場に持ち込む唯一の公式ルートになる
  • 議論の起点になる|評価会議は自己評価と一次評価を突き合わせて進む。自分でBと書いた人をSに引き上げる議論は、まず起きない
  • 謙遜は伝わらない|あなたの「謙遜して低めに」は、読み手には「本人申告でこの程度」としか映らない

つまり、正確に書くことが唯一の正解で、正確とはやったことを漏らさず書くことだ。

書き方の型。行動+結果+工夫

1項目をこの3点で組む。

例文1(営業)

「既存顧客◯社への定期訪問を月◯件実施し(行動)、受注額は前年比◯%を達成した(結果)。訪問前に過去の商談履歴を要約するテンプレを作り、準備時間を半減させた(工夫)」

例文2(事務)

「月次の請求処理◯件を担当し(行動)、期日遅延ゼロを継続した(結果)。チェックリストを整備し、新任の後輩でも同じ精度で処理できる形にした(工夫)」

例文3(見えにくい貢献)

「繁忙期に隣のチームの◯◯業務を約◯時間分担った(行動)。部署全体の納期遅延の回避に寄与した(結果)」

  • 数字は概算でいい。「約◯件」「◯時間程度」は誠実な表記として通る
  • 形容詞は削る。「積極的に」「丁寧に」より、1つの数字の方が強い
  • 工夫の欄は、再現性のある人という評価に直結する。小さくても書く

書くことがない時。記録から掘る

思いつかないのは、やっていないのでなく忘れているだけだ。掘り方は職務経歴書と同じで、記憶でなく記録から辿る。

  • カレンダーの過去予定・送信メール・週報・チャットログを半年分ざっと見る
  • 拾い漏れの三大産地は、未然に防いだトラブル・人助け・仕組みの改善。ここは本人も忘れやすく、上司からは最初から見えていない
  • 掘り起こしの技術の詳細は前職のことを覚えてない時の記事の7経路がそのまま使える

恒久対策は、金曜に1行のメモ。「今週やったこと」を1行残すだけで、期末の自己評価が15分の作業になり、転職する時の職務経歴書の材料まで同時に貯まる。

未達の期の書き方。隠さず、要因と打ち手で書く

目標未達の期こそ、書き方の差が出る。

「目標◯◯に対し、達成率は◯%だった(事実)。主要因は△△で(要因)、下期は□□の形で改善を進めている(打ち手)」

  • 未達の事実を薄めない。ごまかしは読み手に見え、他の記載の信頼まで下げる
  • 要因は他責にしないが、環境要因(市場・体制変更)は事実として書いていい
  • 打ち手が本体だ。未達+打ち手の人は、達成だけの人より育成対象として扱われることすらある

提出後。面談で口頭の補強を

自己評価は書いて終わりでなく、評価面談とセットで働く。面談での話し方・賞与査定面談の立ち回りは査定面談で何を話すかの記事で書いた。書面に書いた数字を、面談で1つ深掘りして話せると、記載の信頼が立体になる。

それでも評価が納得いかない結果になった時の動き方は納得いかない時の4つの選択肢が担当だ。

よくある誤解

「自己評価を高くつけると、生意気だと思われる」。ランク(S/A/B)を自分で高くつけることと、事実を漏らさず書くことは別だ。ランク欄は会社の運用に従いつつ、記述欄は完全申告する。この組み合わせなら、生意気の入り込む余地がない。

「長く書くほど頑張りが伝わる」。読み手は多数の自己評価を短時間で読む。1項目3行以内・数字入り・項目は5〜7個が、読まれる分量の相場だ。量でなく、密度で勝負する。

よくある質問

定性的な仕事(サポート・調整)ばかりで数字がありません

回数・時間・人数は、どんな仕事にもある数字だ。「問い合わせ対応を月約◯件」「◯部署との調整を担当」。金額の数字がなくても、規模の数字は必ず作れる。

自己評価が全部妥当と返され、コメントがつきません

放置型の評価者に当たっている可能性がある。面談で「この項目について、来期さらに評価を上げるには何が必要ですか」と1点だけ深掘りを求める。それでも空応答なら、評価制度の実力がその程度という情報として、次の判断(低評価で辞めるのはありかの記事)の材料に入れる。

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