評価面談から戻って、腹の底が煮えている。なんであいつがAで、自分がBなのか。あんなに数字を出したのに。この評価、おかしいだろ。
その怒りを、まず正確な場所に置こう。人事評価は、あなたの真実の値段ではない。制度と人間を通した出力だ。歪む仕組みと、腐らずに動く選択肢を書く。
先に一文で。人事評価は相対評価の枠・評価者の視界・主観エラーで歪む出力であり、納得いかない時は説明を求める・見せ方を変える・制度外で稼ぐ・市場で測り直すの4択で動き、腐って手を止めるのだけが全損になる。
この記事の要点
- 評価が歪む場所は3つ。枠・視界・主観だ
- 面談では裁定を争わず、未来の基準を聞く
- 選択肢は4つ。説明・見せ方・制度外・市場
- 腐るのは、相手の歪みに自分の実力を差し出す行為だ
評価が歪む3つの仕組み
1、相対評価の枠。多くの会社は、S評価◯%・A評価◯%と分布を決めている。部署に優秀な人が集まっていれば、成果を出しても枠から溢れる。あなたの評価は、あなたの絶対的な出来でなく、同じ枠を取り合う隣の人との相対位置で決まっている。
2、評価者の視界。上司は、見えた仕事しか評価できない。後輩の相談に乗った時間、炎上を未然に防いだ調整、他部署への協力。視界の外の貢献は、制度上存在しないのと同じ扱いになる。損をするのは、黙って支える型の働き方をする人だ。
3、評価者の主観。好き嫌い・ハロー効果(1つの印象が全体を染める)・直近の記憶への偏り。評価エラーと呼ばれる歪みは研修を受けた評価者でも消しきれないとされる。人が人を採点する以上、主観はゼロにならない。
この3つを知ると、評価とあなたの実力のずれは、あなたの認識の誤りとは限らないと分かる。同時に、歪みを前提にした戦い方があることも見えてくる。
選択肢1、説明を求める。ただし聞き方が9割
フィードバック面談は、抗議の場にすると失敗する。上司が防御に回るからだ。型はこうなる。
「次の期に評価を上げたいので、今期どこが足りなかったか、具体的に教えてください」
- 過去の裁定でなく、未来の基準を聞く形にする
- 答えが具体的なら、物差しが手に入る。次の期はその物差しに沿って動けばいい
- 答えが曖昧なら、曖昧さ自体が情報だ。この会社の評価は基準でなく空気で決まっている、という答え合わせになる
選択肢2、見せ方を変える。視界の中で働く
評価者の視界の外で頑張り続けるのは、制度上は存在しない労働になる。腐る前に、見せ方を1割変える。
- 報告の頻度を上げる|週次の簡潔な進捗共有は、視界に入り続ける一番安い方法だ
- 数字で残す|やったことを定量のログにして、期末の自己評価に貼る。自己評価の書き方は専用記事で書いた
- 見えない貢献に名前をつける|「◯◯さんのフォローを月◯時間」と言語化して初めて、制度に載る
媚びではない。制度の入力形式に合わせてデータを出すという事務だ。
選択肢3、制度の外で評価を取る
社内の評価が歪んでいても、市場の評価は別のレールで動く。副業の収入、発信のフォロワー、社外での登壇や実績。私自身、社内評価と関係のない場所で匿名の発信を育てて、副業収入が給与を超えた時期に、社内の評価の重みは大きく変わった。収入と自尊心の供給源を1本にしないことは、評価制度への一番静かで強い対抗手段になる。
選択肢4、市場で測り直す
社内の物差しに疑問があるなら、市場の物差しに当てて答え合わせをする。経歴をスカウト媒体に置いて、届く声の年収帯と職種を見る。市場価値の測り方は市場価値を知りたいだけの時の記事で書いた。
- 市場の評価が社内より高い→あなたの感覚が正しい可能性が上がる。動くカードが現実味を持つ
- 市場の評価も同水準→社内評価は市場と整合している。次の期は選択肢1・2で戦う判断になる
評価が低いことを理由に辞めるかどうかの本格的な判断は評価が低いから辞めるのはありかの記事、制度としての不服申し立ては不服申し立ての記事が担当だ。
一番損な選択。腐って手を止める
「どうせ評価されないなら頑張らない」。気持ちは分かるが、これだけは選ばないでほしい。
- 手を止めると、次の期の評価が下がる根拠を相手に渡す。歪んだ評価が、正しい評価に変わってしまう
- スキルの積み上げが止まり、市場価値(選択肢4)まで下がる。社内の歪みに、市場の資産まで差し出す形だ
腐りそうな時こそ、選択肢3と4に力を逃がす。社内で報われない期間を、市場の資産を作る期間に転換するのが、感情の一番いい使い道になる。
よくある誤解
「評価に文句を言うと、来期はもっと下げられる」。抗議の形なら、その危険はゼロではない。だから選択肢1の聞き方(未来の基準の質問)に変換する。基準を聞く部下を下げる理屈は、上司の側にない。
「頑張っていれば、いつか正当に評価される」。視界の外の頑張りは、いつまでも視界の外だ。いつかを待つより、見せ方の1割修正の方が早く確実に効く。
よくある質問
同期や後輩と比べて明らかに低いのに、理由を教えてくれません
他人との比較は守秘を理由に答えない会社が多い。だから比較でなく、自分の基準(何が足りなかったか・何をすれば上がるか)に絞って聞く。それでも答えがないなら、選択肢4(市場での測り直し)の優先度を上げるサインだ。
評価者の上司自体が、自分を嫌っています
個人の相性が評価を歪めている確信があるなら、二次評価者・人事へのキャリア面談・異動希望という迂回路がある。異動希望の通し方は希望が通らない時の記事で書いた。1人の主観に、キャリア全体を預けない。
転職の資料をLINEで無料配布中
評価面談の質問テンプレ(未来の基準を聞く3つの型)を公式LINEで無料配布している。評価は出力で、あなたの値段じゃない。物差しを増やして、腐らずに次の一手を打とう。

