退職した会社から連絡が来た。「最後の給料は手渡しだから、取りに来て」。もう顔も見たくない上司のいる職場に、金のためにもう一度行くのか。
先に結論を言う。多くの場合、行かずに受け取れる。在職中に振込だった給料を、最後だけ手渡しにする合理的な理由はまずない。呼び出しの多くは事務の怠慢か、最後に一度呼びつけたいだけの嫌がらせだ。行かずに受け取る方法を3つ、効く順に書く。
この記事の要点
- 賃金は本人同意があれば振込で払える。在職中振込なら同意は既にある形だ
- 方法は3つ。振込依頼(書面)→郵送依頼→代理人受領
- 支払期日を過ぎたら賃金未払い。労基署への相談材料になる
- 呼び出しに応じる場合も、書類返却などの用事とまとめて短時間で終える
なぜ「取りに来い」が起きるのか
法律の建前では、賃金は通貨で、直接、全額を払うのが原則だ。会社はこの建前を盾に「手渡しが原則だから来い」と言う。
だが実務はこうだ。本人の同意があれば振込は適法で、あなたが在職中ずっと振込で受け取っていたなら、同意の実績は既にある。退職した途端に手渡しへ戻す運用は、建前の悪用に近い。
呼び出しの動機は大きく2つに分かれる。事務の怠慢(退職者の振込処理を面倒がっている)か、最後の嫌がらせ・説教の場作りだ。どちらであっても、あなたが応じる義務の話とは別になる。
行かずに受け取る3つの方法
方法1、振込を書面で依頼する。一番シンプルで、大半はこれで終わる。
「◯月分給与について、在職中と同様、下記口座への振込にてお支払いをお願いいたします。銀行名・支店・口座番号◯◯。お手数ですが◯月◯日(本来の支給日)までにお手続きください」
メールで送れば、依頼の記録も同時に残る。振込手数料を差し引くと言われても、そこで争うより受け取りを優先する判断もある(本来、手数料を賃金から勝手に引くのは問題があるが、金額と消耗を天秤にかけていい)。
方法2、現金書留での郵送を依頼する。会社がどうしても「手渡し=現金」に固執するなら、現金書留で送る方法がある。「来社が難しいため、現金書留でのご送付をお願いします」と依頼する。
方法3、代理人に受け取ってもらう。家族などに委任状を持たせて受け取る方法だ。ただし賃金の直接払いの原則との兼ね合いがあるため、事前に会社と合意を取る形になる。方法1・2が通らない場合の補助と考えていい。
3つとも共通で大事なのは、依頼を記録の残る形(メール・書面)でやることだ。口頭のやり取りは、後で「言っていない」に化ける。
期日を過ぎたら。未払いへの切り替え
支給日を過ぎても払われなかったら、それはもう手渡し問題ではなく賃金未払いだ。話のステージが変わる。
- 請求の記録を揃える(依頼メール、雇用契約書、過去の給与明細)
- 「◯日までにお支払いなき場合、労働基準監督署に相談します」と最後通告を送る
- それでも動かなければ、実際に労基署へ行く
どちらに転んでも、2の段階で払われることが多い。未払いは労基法違反として明確で、会社側に勝ち目がないからだ。振込が止まっている・遅れているケースの全体の対処は給料が振り込まれない時の対処で書いた。金額が微妙に少ない場合は最後の給料が少ない時の確認手順が担当だ。
退職の手続きごと第三者に任せる手
まだ退職の途中で、給料の呼び出し以外にも会社とのやり取りが残っている(貸与物の返却、書類の受け取り、退職届の押し問答)なら、個別に戦うより全部まとめて代行に任せる方が消耗が少ない。
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利用の流れ|① LINEで無料相談する → ② 給料の呼び出しを含む状況を伝える → ③ 以後の会社連絡は代行に任せる
退職届の受け取り自体を拒否されている段階なら、受け取ってもらえない時の内容証明の手順を先に読んでほしい。
よくある誤解
「取りに行かないと給料を放棄したことになる」。ならない。賃金の請求権は放棄の意思を明確にしない限り消えないし、賃金請求権の時効は当面3年ある。行かないことは放棄ではなく、支払い方法の調整を求めているだけだ。
「離職票や源泉徴収票も取りに来いと言われたら行くしかない」。書類も郵送を依頼できる。離職票は失業保険に必要な書類で、会社には交付の義務がある。出し渋られたらハローワーク経由で催促する手が使える。
よくある質問
行くと決めた場合、気をつけることはありますか?
用事を全部まとめて1回で終える。給料の受領、貸与物の返却、書類の受け取りをリスト化して、滞在を最短にする。受領のサインを求められたら金額を確認してからサインする。説教が始まったら「次の予定があるので」で切り上げていい。あなたはもう社員ではなく、業務命令の外にいる。
手渡しの給料から、身に覚えのない控除が引かれていました
制服代・研修費・損害の弁償などを最後の給料から勝手に引くのは、賃金の全額払いの原則に反する可能性が高い。その場でサインせず、明細の内訳を書面でもらい、納得できない控除は労基署への相談材料にする。
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