給料日の朝、残高が増えていない。家賃も引き落としも迫っているのに、これはミスなのか、それとも会社が危ないのか。

先に言う。賃金の支払いは労働基準法24条の義務で、「資金繰りが厳しい」は支払わない理由にならない。その上で、今日やることを順に書く。切り分けから始めれば、無駄に消耗しない。

この記事の要点

  • まず事務ミスか未払いかを切り分ける。確認はメールで残す
  • 「待ってくれ」が出た時点で、事故から未払い問題に変わる
  • 証拠は在職中が一番集めやすい。明細・契約書・勤怠を今日保存する
  • 労働基準監督署への相談は無料だ。請求権は当面3年、退職後も使える

手順1。切り分けの確認を、記録が残る形で

最初の連絡は経理か人事へ、電話でなくメールかチャットで送る。

「本日給料日ですが、入金が確認できておりません。お手数ですがご確認いただけますでしょうか」

これだけでいい。責める文面にしない理由は、この段階では振込処理のミス・金融機関側の遅延・給料日の規定の勘違いという事故の可能性が残っているからだ。事故なら数日で解決するし、あなたの手元には「○日に確認した」という記録が残る。この記録が、後で未払い問題になった時の起点になる。

就業規則か雇用契約書の給料日の規定も、ついでに見ておく。「支払日が休日の場合は前営業日か翌営業日か」の規定違いで、勘違いが起きることもある。

手順2。「待ってくれ」が出たら、証拠の確保に切り替える

確認への返事が「今月は厳しいから待ってほしい」「来月まとめて払う」だった場合、事故ではなく未払いだ。ここからやることが変わる。

今日中に、次の4つを自分の私物(個人のスマホ・クラウド)に保存する。

  1. 雇用契約書か労働条件通知書|約束された給与額の証拠だ
  2. 過去数ヶ月分の給与明細|支払い実績と控除の内訳が分かる
  3. 勤怠の記録|タイムカード、シフト表、打刻画面のスクリーンショット
  4. 未払いに関するやり取り|「待ってほしい」のメールや録音。会社が未払いを認めた発言は、一番強い証拠になる

在職中は証拠が目の前にある。辞めてからだと、この収集が一気に難しくなる。未払いが起きた会社を続けるかどうかの判断は後でいいが、証拠の確保だけは今日やる。

手順3。労働基準監督署へ。無料で、匿名相談もできる

証拠が揃ったら、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に相談する。賃金未払いは労基署が最も動きやすい類型の1つで、相談は無料、まず匿名で聞くこともできる。

流れとしては、相談→(労基署から会社への)調査・是正勧告という順で進み、大半の会社は労基署が動いた段階で支払う。残業代の未払いと構図は同じで、残業代が出ないのは違法だで書いた請求の理屈がそのまま使える。1分単位で計算されていない給与だった場合は残業代の切り捨ての違法性も併せて確認しておくと、請求額の漏れがなくなる。

賃金の請求権は当面3年(2020年4月以降の分)ある。退職後でも請求できるから、辞めた後に気づいた人も諦める話ではない。

会社が倒産しそうな場合。国の立替制度がある

「待ってくれ」の背景が本当に倒産寸前という場合もある。この場合に知っておくべきなのが、未払賃金立替払制度だ。会社が倒産した場合、未払い賃金の8割(上限あり)を国(労働者健康安全機構)が立て替える制度で、会社に金がなくても回収の道が残る。

この制度の入口も労基署だ。つまりどの筋書きでも、相談先は労基署で正しい。倒産の気配(給料遅配の常態化、取引先への支払い遅れの噂、社長の雲隠れ)が見えたら、退職の判断も並行して進める段階になる。

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給料の遅配は、会社の状態が表に出た最も分かりやすい症状だ。1回目は事故かもしれないが、2回目からは経営の問題で、あなたの生活を会社の資金繰りに賭ける理由はどこにもないんよ。

よくある質問

一部だけ振り込まれていました。これも未払いですか?

未払いだ。賃金は全額払いが原則で、会社が勝手に減額・分割する権利はない。差額について同じ手順で確認と請求を進めればいい。

未払いを理由に即日で辞められますか?

賃金の不払いは労働者側からの契約解除の正当な理由になり、即時退職や、自己都合でなく会社都合扱いでの離職を主張できる場合がある。労基署への相談時に、退職の進め方も併せて聞くのが確実だ。

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