面接の終盤、和やかな雑談のような顔で、その質問は来る。「お子さん、まだ小さいですよね。急なお休みとか、大丈夫ですか?」
帰り道、うまく答えられなかった自分を責める。あるいは、正直に答えすぎたかもしれないと不安になる。この質問には、準備なしで勝てない。そして準備すれば、むしろ得点源にできる。答え方の型と、そもそも聞いていい質問なのかの線引きを、両方書く。
*筆者の立場|私は母親の当事者ではない。男性で1年の育休を取った父親としての経験と、DMに届く相談に基づいて書いている。*
この記事の要点
- 家族状況・出産予定を聞く質問は、厚労省の指針で不適切とされる領域だ
- ただし現実には聞かれる。線引きを知った上で、答え方を準備しておく
- 答えの型は「体制とセットで話す」。リスク申告ではなくリスク管理を語る
- しつこく踏み込む会社は、入社後の扱いの予告だと読んでいい
まず線引き。その質問、聞いていいものなのか
答え方の前に、ルールの話をしておく。採用選考で企業が把握してよいのは、本人の適性と能力に関わる事項というのが、厚生労働省が示す公正な採用選考の考え方だ。この指針に照らすと、次の質問は不適切の側に入る。
- 子供の有無・人数・年齢を、業務と無関係に確認する質問
- 結婚・出産・二人目の予定を聞く質問
- 配偶者の職業や収入、親との同居などの家族状況
- 「子供がいて仕事を続けられるのか」という決めつけを含む質問
男女雇用機会均等法の趣旨からも、妊娠・出産に関わる事項を採用の判断材料にすることは問題がある。つまり、あの気まずい質問の多くは、あなたが萎縮する筋合いのものではなく、聞く側の運用が雑なのだ。
ただし現実の面接では、悪意なく(情報として純粋に心配で)聞いてくる面接官が大半で、その場で「その質問は指針違反です」と返すのは得策ではない。線引きは頭に入れた上で、実戦では答え方の型で処理する。これが現実解になる。
答え方の型。リスクの申告ではなく、体制の説明をする
子供に関する質問への答えは、1つの原則に集約される。穴が空く可能性だけを話さず、穴を埋める体制とセットで話す。
「急なお休み、大丈夫ですか?」への型。
悪い答えは「子供が熱を出したら休むことになると思います」。事実だが、リスクの申告で終わっている。良い答えはこうだ。
「子供の体調不良は起こり得ますので、病児保育の登録と、夫との送迎・看病の分担を決めています。前職では急な休みの際も、業務の共有と引き継ぎメモで穴を最小限にしてきました」
同じ事実を、管理できているリスクとして話す。面接官が本当に知りたいのは休むかどうかではなく、休んだ時に業務が崩壊しないかだ。そこに直接答える。
「残業はできますか?」への型。
できない前提を謝るのではなく、条件と代替を出す。「お迎えがあるため定時後の残業は原則難しいですが、朝の前倒しや在宅での対応は可能です。時間内の生産性で貢献します」。できないことを1つ言うときは、できることを2つ添える。この比率で、答えの印象は守りから攻めに変わる。
「二人目のご予定は?」への型。
これは前述の通り不適切ゾーンの質問だ。予定の有無を答える義務はない。「先のことは分かりませんが、ライフイベントがあっても業務を継続できる働き方を作りたいと考えています。御社の制度についても伺えますか」。答えずに、業務の話と逆質問に変換する。角は立たず、情報も渡さない。
質問を逆に使え。会社を見抜く材料になる
ここからが、この記事で一番言いたいことだ。子供に関する質問への会社の踏み込み方は、入社後の扱いの予告になっている。
体制の説明をした後も、「でも実際、熱を出したら休みますよね?」としつこく踏み込んでくる会社。それは、入社後もあなたの育児を負債として扱う会社の高い確率のサインだ。逆に、「病児保育まで決めてるんですね。うちは時短の方も多いので」と制度の話に接続してくる会社は、両立を運用として織り込んでいる。
だから面接では、あなたからも逆質問で確かめてほしい。
- 「お子さんのいる社員の方は、どんな働き方をされていますか」(実例の有無が全て)
- 「急な休みが出た時、チームではどうカバーされていますか」(属人化の度合いが分かる)
- 「時短や在宅の制度は、実際にどのくらい使われていますか」(制度と運用の差が出る)
面接は審査される場であると同時に、審査する場だ。子供の質問に消耗する面接は、その会社との相性の答えが半分出ている。
面接の場に立つ前にできること
最後に、面接より前の段階でできる防御を2つ。
1つ、両立の条件はエージェント・スカウト経由で先に伝えておく。書類と面接の間で条件のミスマッチを潰せるから、面接で子供の話に割かれる時間自体が減る。経歴を登録して、両立可能な求人からの声を待つ形はワーママの転職と相性がいい。
*クリックすると公式サイトが開く。経歴を登録すると、企業やエージェントからのスカウトが届く。*
登録後の流れ|① 経歴と希望条件(勤務時間・在宅可否)を入力する → ② 条件に合う求人からスカウトが届く → ③ 気になったものだけ返信すればいい
2つ、タイミングと市場の全体像を先に掴んでおく。動く時期の判断はワーママの転職タイミング、在宅前提の探し方は在宅で働けるワーママ転職、正社員とパートの分岐はワーママの正社員・パート選択に書いた。面接は転職の最後の関門で、その前の段取りで難易度は大きく変えられる。
質問への答えを準備した人と、その場で答えた人。差が出るのは話術ではなく準備だ。この記事の型を、あなたの言葉に直して3回声に出しておく。それだけで、あの気まずい質問は得点源に変わるんよ。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
保育園が決まっていない段階で転職活動をしてもいいか
いい。ただし入社時期の組み方が論点になる。面接では「入園の時期が◯月のため、入社は△月以降を希望します」と最初から時期をセットで伝える。曖昧にして内定後に揉めるより、条件として先に出す方が、調整できる会社かどうかの判定にもなる。保育園問題は隠す弱みではなく、日程の条件として扱う。これで気まずさの大半は消える。
面接で子供の話を自分から出すべきか
出し方による。弱み(休むかもしれません)として出すのは損だが、条件と体制(この時間で働ける、この体制を組んでいる)として出すのは得になる。面接の終盤で条件を曖昧にしたまま内定を取ると、入社後にすれ違いが起きる。事実は隠さず、語る形式をリスク管理の言葉にする。これがこの記事全体で言いたい1行だ。
パート・時短前提の面接でも同じ答え方でいいか
基本の型は同じだ。ただし時短・パートの面接では、時間の制約は前提として共有済みだから、むしろ制約の中で何ができるかの具体性が勝負になる。前職の実務の数字、時間内で回すための自分の工夫。制約の説明に時間を使わず、貢献の説明に時間を使う。時短の給与面の準備は時短勤務で給料はいくら減るのかで先に済ませておくと、条件の話も具体的にできる。
よくある質問
面接で子供の有無や二人目の予定を聞くのは違法ではないのですか?
厚労省の指針で不適切とされる領域だ。罰則つきの違法とは言い切れない場面が多いが、答える義務はない。業務の話に変換して返していい。
子供の急な発熱で休む可能性は正直に言うべきですか?
嘘はつかない。ただし休む可能性だけでなく、病児保育・分担などの体制とセットで話す。リスク申告ではなくリスク管理の説明にする。
答えたくない質問はどうかわせばいいですか?
「仕事に必要な範囲でお答えします」と前置きし、業務への影響と逆質問に変換する。しつこく踏み込む会社は、入社後の扱いの予告だと読んでいい。
面接準備の相談はLINEで。転職戦略シートを無料配布中
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