志望動機を話している途中、口が滑った。出てきたのは、昨日面接を受けた別の会社の名前。面接官の眉が、ぴくりと動いた気がする。

終わってない。気づいた瞬間に短く訂正して、残りの時間に集中する。それで傷は半分以下になる。気づいたタイミング別に、やることを書く。

この記事の要点

  • 気づいた瞬間に1行で訂正。時間が経つほど訂正の効果は落ちる
  • 訂正は1回だけ。繰り返しの謝罪は間違いの再上映になる
  • 挽回の本体は、残り時間の受け答えでその会社への具体性を出すこと
  • 終了後に気づいた場合は、原則そのまま。お礼メールで小さく拾える

途中で気づいた。その場の3手

手1、即訂正。気づいたのが発言の直後でも、数分後でも、気づいた時点で入れる。

「申し訳ありません、先ほど社名を申し間違えてしまいました。◯◯様、と申し上げるべきでした」

1行で終える。理由の説明(他社と併願していて、昨日面接で…)は不要で、むしろ傷を広げる。訂正の価値は速さと潔さにあり、丁寧さの長さにはない

手2、引きずらない。訂正した後、頭の中で「やってしまった」を再生し続けると、残りの受け答えが全部上滑りする。言い間違いの減点より、動揺で崩れた30分の減点の方が大きい。訂正した瞬間に、この件は終わった事件として棚に上げる。

手3、残り時間で、その会社への具体性を出す。挽回はここでやる。以降の回答に、その会社固有の情報(事業名・サービス名・面接で聞いた話への言及)を意識的に織り込む。「御社の◯◯という事業に」と固有名詞で話すたびに、さっきの言い間違いは「緊張の口滑り」へ再分類されていく。志望動機の中身が本物なら、社名の一瞬の誤りは上書きできる。

深刻度の目安。何を間違えたかで違う

同じ社名ミスでも、重さには幅がある。自分の状況を冷静に置いてみてほしい。

  • 軽い|社名の読み・略し方を誤った(正式名称と通称の取り違え等)。訂正すれば実害ほぼゼロだ
  • 中くらい|他社の名前を出したが、話の中身はその会社向けだった。訂正+残り時間の具体性で十分戻せる
  • 重い|他社名を出した上に、志望動機の中身まで他社向けの話をしていた(その会社に存在しない事業を褒めた等)。この場合、社名でなく企業研究の不足が本丸になる。訂正に加えて、「あらためて申し上げると」とその会社向けの志望理由を言い直す価値がある

重いケースの言い直しは、恥ずかしいが効く。間違った志望動機のまま面接を終える方が、確実に落ちるからだ。

終了後に気づいた。原則そのまま、拾うならお礼メールで

家に帰ってから、録音のように記憶が再生されて気づくこともある。この場合の原則は、追加の謝罪連絡はしないだ。

面接官が気づいていなかった可能性もあるし、気づいていても選考は総合評価で進んでいる。そこへ謝罪メールを送ると、埋もれかけた間違いを掘り起こして正式な記録にする形になる。この判断はメールの宛名を間違えた時の3段階と同じ理屈で、事後の訂正は実害がある時だけが鉄則になる。

どうしても気になるなら、お礼メールの中で小さく拾う手はある。

「本日は貴重なお時間をありがとうございました。緊張のあまりお聞き苦しい点もあったかと思いますが、◯◯様の事業のお話を伺い、志望の気持ちがいっそう強くなりました」

謝罪でなく、正しい社名と志望度をもう一度届ける形だ。間違いに直接触れず、上書きだけする。

再発防止。面接直前の30秒ルール

社名ミスの多くは、複数社の併願で頭の中の切り替えが済んでいない時に起きる。防止は直前の30秒でできる。

  • 面接の直前に、社名を口で3回言う。黙読でなく、声に出す。口の筋肉に今日の社名を覚えさせる
  • 直前に他社の情報を見ない。待ち時間に別の会社の求人やメールを開くと、頭が混線する。今日の会社の情報だけを見て入る
  • メモの1行目に社名を書いておく。面接中に持ち込むメモの冒頭に正式社名。視界の隅の保険になる

緊張で頭が働かなくなる体質の人は、そもそもの緊張対策として頭が真っ白になる時の仕込みも効く。

よくある誤解

「社名を間違えた時点で、志望度ゼロと判定されて終わり」。終わりではない。面接官も、候補者が複数社を受けていることは大前提で知っている。判定材料は言い間違いの有無でなく、その後の話に固有の中身があるかだ。中身が濃ければ、口滑りは口滑りとして処理される。

「間違えたことを笑いに変えて場を和ませるべきだ」。狙わない方がいい。自虐やジョークでの回収は、外すと二重の傷になる。面接での失敗の回収は、ユーモアでなく潔い訂正と中身の濃さでやるのが、確実で品もいい。

よくある質問

面接官の名前を間違えて呼んでしまいました。社名と同じ対応でいいですか?

同じで、気づいた時点の短い訂正が正解だ。「失礼いたしました、◯◯様」と直して進める。個人名の誤りは社名より個人的な失礼として残りやすいので、訂正だけは省略しない。以降は名前の呼びかけを減らし、「御社では〜」の形で話せば、再発リスクも消える。

逆に、面接官が私の名前を間違え続けています。指摘していいですか?

軽く一度だけ訂正していい。「恐れ入ります、◯◯(正しい読み)と申します」と初回で直すのが、お互いのためだ。訂正しないまま進むと、社内共有の書類まで間違った名前で回る可能性がある。相手のミスの訂正は、遠慮でなく実務として一度だけやればいい。

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