年収700万に届いたのに、思ったより楽にならない。むしろきつい。この感覚、あなたの金銭感覚がおかしいわけじゃない。

即答する。700万がきついのは錯覚ではなく構図だ。理由は3つ。手取りが額面の8割弱しかないこと、所得制限の壁が始まる帯であること、生活水準が収入と一緒に上がっていること。順に分解する。

この記事の要点

  • 手取りは月43〜45万。700万を12で割った数字は幻だ
  • 児童手当や支援制度の所得制限に引っかかり始める帯になる
  • 収入と一緒に生活水準を上げると、体感は600万時代と変わらない
  • 抜け方は、固定費の棚卸し・制度の把握・次の帯への移動の3つ

理由1。手取りは月43〜45万しかない

年収700万の手取りは、独身・基本控除のみでおおむね520〜540万。月に均すと43〜45万円だ。額面との差の約2割は、社会保険料と所得税・住民税で消えている。この分解は年収700万の税金と手取りで詳しく書いた。

しかも600万から700万に上がった時の手取りの増分は、額面の差100万に対して70万前後に縮む。昇給の実感が薄いのは、増えた分ほど税率の高い部分で削られるからだ。600万と700万の壁で書いた通り、この帯は「上がったのに変わらない」が起きやすい帯なんよ。

理由2。所得制限の壁が、この帯から始まる

700万前後は、各種の所得制限に引っかかり始める最初の帯だ。制度は改定が続くから個別の線引きは公式確認が要るが、構図として、児童手当の減額や高校授業料支援、保育料の算定などで、600万の世帯より受け取りが減る場面が出てくる

つまり、税金で引かれた上に、戻ってくる側も細る。稼いだ額の割に守られない、という感覚はここから来る。対策は制度を憎むことではなく、自分の世帯がどの制限の内外にいるかを一度洗うことだ。iDeCoなどの所得控除で判定所得を下げられる場合もあり、知っているかどうかで数万円単位が動く。

理由3。生活水準が、収入と一緒に上がっている

一番見えにくいのがこれだ。600万から700万に上がる過程で、家賃を上げ、車を替え、外食の単価が上がる。収入の増分より生活の増分が速いと、年収がいくら上がっても体感は変わらない。

私も会社員時代に経験がある。年収が上がった直後が一番財布が緩む。上がった実感を消費で確認したくなるからだ。ここで水準を据え置ける人だけが、増分をそのまま貯蓄と自由に変換できる。

抜け方。きつさを数字で潰す3つ

1、固定費を棚卸しする。住居・車・保険・通信。700万のきつさの正体が固定費の膨張であるケースは多い。1回の見直しで年数十万が戻る。

2、手取りと制度を自分の条件で把握する。概算でなく自分の数字を持つ。手取り計算ツールで数秒で出る(無料・登録不要)。

3、次の帯に上がる。構図的なきつさは、可処分の絶対額が増えれば緩む。700万の経歴は市場で希少な側にいる(割合の現実)。いまの自分の市場の値段を測っておくと、きつさへの対処が我慢一択でなくなる。

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なお、きつさの原因が構図でなく仕事量にある場合は、話が別だ。700万と引き換えに残業と責任が積み上がって消耗しているなら、それは家計の問題ではなく働き方の問題で、対処の入口が変わる。同じ年収でも業界と会社で労働の重さはまるで違う。数字を維持したまま負荷だけ下げる転職は、700万の経歴なら十分に狙える。

よくある質問

年収700万で余裕がないのは使いすぎですか?

浪費とは限らない。手取り8割弱・所得制限・水準インフレの3つが重なる構図の帯だ。まず固定費の棚卸しで原因を特定してから判断すればいい。

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