年収700万になったら、生活はどれくらい変わるのか。求人票の「想定年収700万」を眺めながら、頭の中で月割りの計算を始めていないか。
先に現実を言う。700万を12で割ってはいけない。あなたの口座に入るのは、その8割弱だ。この記事は、年収700万の税金と手取りを分解して、600万との本当の距離を数字で見せる。
この記事の要点
- 年収700万の手取りは約520〜540万。月に均すと43〜45万円前後だ
- 引かれるのは所得税・住民税・社会保険料。合計でおよそ4分の1が消える
- 600万との手取り差は約70万。額面の差100万より縮む
- それでも700万を狙う意味はある。理由は手取り以外にある
年収700万から引かれるものの内訳
額面700万円から引かれるものは、大きく3つある。
| 項目 | 年間のおおよその額 | 中身 |
|---|---|---|
| 社会保険料 | 約100万前後 | 健康保険・厚生年金・雇用保険。額面の約14〜15% |
| 所得税 | 約30万前後 | 累進課税。課税所得に応じて計算される |
| 住民税 | 約40万前後 | 前年の所得に対して約10% |
合計するとおおむね160〜180万円が引かれ、手取りは520〜540万円前後に着地する。月に均すと43〜45万円。賞与がある会社なら、月給部分の手取りはもっと小さくなる。
この数字は独身・扶養なし・目立った控除なしの目安だ。配偶者控除・扶養控除・iDeCo・住宅ローン控除があると手取りは増える方向に動く。自分の条件での正確な数字は[手取り計算ツール](/tools/salary-calculator)に年収を入れれば1分で出る。この記事の続きは、そのツールの結果を見ながら読んでもらってもいい。
600万との差はなぜ縮むのか。累進課税の仕組み
ここが今日の本題だ。額面600万と700万の差は100万円。だが手取りの差は70万円前後に縮む。
理由は2つある。1つ目は累進課税だ。所得税は課税所得が増えるほど税率の階段が上がる仕組みで、年収600万→700万の増加分の多くは、所得税率20%のゾーンに乗ってくる。住民税10%と社会保険料も増加分にかかるから、増えた100万のうち3割前後は、あなたの口座に届く前に消える。
2つ目は、給与所得控除の頭打ちだ。給与から自動的に引いてもらえる概算経費(給与所得控除)は年収が上がるほど増え方が鈍り、一定額で上限に達する。年収が上がるほど、収入に対する課税対象の割合がじわじわ上がっていく。
つまりこういうことだ。年収の階段は等間隔でも、手取りの階段は上に行くほど1段が低くなる。
それでも700万を狙う意味。手取り以外の3つ
「100万上がっても手取り70万か」と冷めた人に、あえて逆側も言っておく。狙う意味は手取りの外に3つある。
1つ目、市場での次の起点が変わる。転職市場では現年収が次の提示のベースになる。700万の人への提示は700万を基準に組まれる。年収は生活費であると同時に、次の交渉の土台であって、土台の高さは複利で効く。
2つ目、月6万円の差は、固定費の質を1段変える。劇的ではないが、住む場所・学びへの投資・貯蓄率のどれか1つを確実に変えられる幅だ。特に貯蓄と投資に回した場合、この差は10年で数百万円の資産差になる。
3つ目、700万に届く環境は、たいてい仕事の質も違う。700万を払える会社は原資の太い事業を持っている。原資の太さは、教育投資・裁量・働き方の柔軟性にも波及する傾向が正直ある。どの業界・職種なら届くのかは年収700万を狙える業界と職種に職種別で書いた。
会社員ができる節税。現実的なのは4つだけ
年収700万帯になると節税の話が気になり始める。だが会社員の節税手段は限られている。効果の大きい順に、現実的なものだけ並べる。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)。掛金が全額所得控除になる。所得税20%+住民税10%のゾーンにいる700万帯では、掛けた額の約3割が実質的に戻る計算になり、効果が最も確実だ。老後まで引き出せない点だけ理解して使う
- ふるさと納税。実質負担2,000円で返礼品を受け取れる。年収700万・独身なら10万円前後が上限の目安(家族構成で変わる。シミュレーターで確認)
- 生命保険料控除・地震保険料控除。入っている保険があれば年末調整で申告するだけ。控除のために保険に入るのは本末転倒だから、あくまで既契約の回収と考える
- 住宅ローン控除。該当者は大きいが、節税のために家を買うのは順序が逆だ
副業を始めた場合は経費と青色申告の世界が開けるが、それは節税というより事業の話になる。会社員のまま劇的な節税は存在しない。怪しい節税スキームの営業が来る年収帯でもあるから、この4つ以外は疑ってかかっていい。
手取りを増やす本丸は、額面を上げること
節税の限界を見た上で、結論はシンプルになる。手取りを増やす一番太い手段は、額面を上げることだ。
そして額面を上げる手段は、社内昇給と転職の2つしかない。社内昇給が年数万円の会社で700万を待つのか、環境を変えて2〜4年で届かせるのか。600万から700万への壁が昇給の階段では越えにくい仕組みは年収600万と700万の壁に書いた。
動く前の準備として、まず自分の現在の正確な年収を源泉徴収票で押さえること。支払金額の欄があなたの額面で、市場との会話はすべてこの数字で行われる。手取りの感覚で年収を語ると、転職の交渉で確実に損をする。
手取りの数字が家計としてどんな生活になるかは、年収700万の生活レベルに家族構成別で書いた。数字の次は景色を見てほしい。
あわせて検索される疑問に、先に答えておく
年収700万の所得税率は何%か
「税率20%のゾーン」と書いたが、正確には超過累進という仕組みで、課税所得のうち一定額を超えた部分にだけ高い税率がかかる。年収700万でも、課税所得の全部に20%がかかるわけではない。だから「年収が上がると損をする」という逆転は、所得税の仕組み上は起きない。昇給を断る理由に税金を挙げる人がいるが、あれは仕組みの誤解だ。
賞与の手取りはなぜ少なく感じるのか
賞与からも所得税と社会保険料が引かれるからだ。賞与の源泉徴収は前月の給与額から税率が決まる仕組みで、月給が高い人ほど賞与の天引き率も上がる。年末調整で過不足は精算されるため、取られすぎた分は戻ってくることが多い。賞与の手取りが額面の75〜80%前後になるのは正常な計算で、会社が抜いているわけではない。
副業したら税金はどうなるか
副業の所得(収入から経費を引いた額)が年20万円を超えると、確定申告が必要になる。年収700万の給与に副業所得が乗ると、その部分には所得税20%+住民税10%の水準で課税されるから、副業の手取りは額面の7割前後と見積もっておくと外れにくい。副業を会社に知られたくない人は、住民税の納付方法が論点になる。詳しくは副業が会社にバレる経路と防ぎ方に書いた。
よくある質問
年収700万の手取りはいくらですか?
独身・扶養なしでおおむね520〜540万円、月に均すと43〜45万円前後だ。扶養や控除の状況で数十万単位で変わるから、正確には自分の条件で計算してほしい。
年収600万と700万で手取りはどれくらい違いますか?
額面差100万に対して手取り差は70万前後。月6万円弱だ。劇的ではないが、固定費の質か貯蓄率を1段変えられる幅になる。
年収700万で税金を減らす方法はありますか?
現実的なのはiDeCo・ふるさと納税・保険料控除・住宅ローン控除の4つだけだ。特にiDeCoとふるさと納税は、この年収帯なら使わない理由がない。
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