勉強会に出て、資格も取って、コードも書けるようになった。なのに年収は500万台で止まっている。隣の会社に行った元同僚は、同じくらいの腕で700万もらっているらしい。この差は何なのか。
答えを言う。エンジニアの年収700万は、スキルの試験ではなく環境の試験だ。何年目で届くかは、あなたの腕より、あなたがどの商流のどの事業モデルの中にいるかで決まる。この記事はスキルの話を最小限にして、環境の話をする。
この記事の要点
- エンジニアの700万は、環境次第で3〜5年目でも届き、環境が悪ければ10年でも届かない
- 天井を決めるのは商流の位置(多重下請けか元請けか)と事業モデル(受託か自社か)だ
- スキルの目安は実務3〜5年+上流経験+得意領域1つ。それを高く売れる場所に置くことが本体だ
- 単価と還元率を数字で把握すれば、今の会社の天井は計算できる
なぜ同じ腕で年収が違うのか。金の流れを見れば分かる
エンジニアの給料の原資は、あなたの労働が生む売上だ。そして業界の金の流れには、はっきりした地形がある。
- 多重下請けのSES:発注元→元請け→2次請け→3次請け…と流れるたびに中抜きが入る。あなたの単価が月100万でも、下層の所属会社に届く頃には大きく目減りし、そこから給料が払われる。腕を磨いても、中抜きの分だけ天井が下がる
- SIer・受託の上位:元請けに近いほど単価がそのまま入る。給与テーブルは年功に縛られがちだが、水準自体は下層SESより高い
- 自社開発:作ったものが資産として収益を生み続ける事業モデルだ。利益率が高く、エンジニアに払う原資が太い。700万クラスの求人が最も並ぶのはここになる
私はエンジニアではないが、Web業界でディレクターとして商流の両側を見てきた。同じ人が、契約の位置が変わるだけで単価が変わる場面を、実際に何度も見た。腕の差ではなかった。位置の差だった。
「何年目で届くか」への正面回答
年次で答えるなら、こうなる。
- 自社開発・元請けの環境にいる場合:実務3〜5年で700万に乗る人が現実に出る。上流や技術選定を任され始める時期と重なる
- 下層SESにいる場合:同じ3〜5年の経験を積んでも、提示は500万前後で止まりやすい。10年目でも構図は変わらない
- つまり正しい問いは「何年目か」ではなく、「この環境で年次を重ねる意味があるか」だ
自分の会社の天井は計算できる。自分の販売単価(分からなければ営業に聞くか案件の相場から推定)×12ヶ月×還元率。この数字が800万を切る仕組みの中で、額面700万は物理的に出ない。感情ではなく、算数の話なんよ。
レベル感の目安。700万の求人が見ている3点
環境の話が本体だが、スキルの目安も正直に書く。700万クラスの求人が見ているのは大体この3点だ。
- 実務3〜5年の継続経験。言語やフレームワークの流行り廃りより、動くものを作り続けてきた履歴
- 上流工程や技術選定の経験。要件を聞いて仕様の形を決めた経験、技術選定に関わった経験。規模は小さくていい
- 得意領域が1つ言えること。バックエンド、インフラ、フロント、どれかで「この領域なら任せろ」が言えるか
逆に言えば、この3点が揃っているのに600万未満なら、あなたはほぼ確実に安売りの位置にいる。足りないのはスキルではなく移動だ。
移動の手順。環境を変える3ステップ
ステップ1:今の位置を数字で把握する
商流の位置(自分は何次請けか)、案件単価、会社の還元率。この3つを把握する。SESの人は、次の案件面談の場などで単価を確認できる会社か、隠す会社かも重要な情報だ。やばい会社の見分けはやばいSES企業の見分け方にまとめてある。
ステップ2:技術の分かる窓口で相場を聞く
エンジニアの転職は、技術の言葉が通じる特化型で進めるのが早い。
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複数の窓口で提示レンジを突き合わせると、自分の相場の輪郭が出る。1社の言い値で決めるな。
ステップ3:働き方ごと変えたいならフリーランスの単価も見ておく
経験3年を超えたエンジニアなら、正社員以外の選択肢も相場観として持っておいて損はない。
フリーランスの案件単価を見ると、自分の労働の市場価格が正社員の給与と別の物差しで見える。今すぐ独立しなくても、単価を知っていること自体が社内交渉と転職の材料になる。独立の判断基準はフリーランス4年目の収支のリアルを読んでからでいい。
700万の先の話と、動かない選択
- 700万の先(800万〜)は、技術×マネジメントか、技術×希少領域の掛け算で作る世界になる。市場価値は希少性で決まるの力学がそのまま使える
- 今の会社に残る判断も否定しない。ただし残るなら、単価と還元率の数字を見て「この環境は天井が高い」と確認した上で残れ。数字を見ずに残るのは、判断ではなくただの停滞だ
年収を上げる転職の全体手順はITエンジニアが年収を上げる最短は転職だ、業界全体の地形は年収700万を狙える業界と職種にまとめてある。
まとめ
- エンジニアの700万は環境の試験だ。3〜5年目で届く環境と、10年いても届かない環境がある
- 天井は商流の位置と事業モデルで決まる。多重下請けの下層では腕を磨いても中抜きが天井になる
- スキルの目安は実務3〜5年+上流経験+得意領域1つ。揃って600万未満なら安売りの位置にいる
- 単価×12×還元率で今の会社の天井は計算できる。算数で判定しろ
- 移動は特化型の窓口で相場を突き合わせ、フリーランス単価も物差しとして持っておく
腕を磨く努力は正しい。ただ、その努力の値段を決めるのはあなたではなく、あなたが立っている場所だ。場所の点検を、今日の算数から始めればいいんよ。
よくある質問
エンジニアで年収700万は何年目で届きますか?
環境次第で3〜5年目でも届くし、環境が悪ければ10年でも届かない。多重下請けの下層にいる限り、腕を磨いても単価の中抜きで天井が来る。年次を数えるより、自分の商流の位置を確認する方が答えに近づく。
年収700万に必要なスキルレベルはどのくらいですか?
目安は、実務3〜5年+上流工程や技術選定の経験+1領域の得意分野だ。ただし同じレベルでも、SES下層と自社開発・元請けでは提示が数百万変わる。スキルの絶対量より、そのスキルをどこで売るかの方が支配的だ。
SESにいたら年収700万は無理ですか?
下層の多重下請けでは難しいが、SES全体が無理なのではない。単価の高い一次請け案件を持つ会社や、還元率の高い会社なら届く例はある。自分の単価と還元率を把握して、数字で無理筋かどうかを判定しろ。
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