毎日真面目に働いているのに、年収が上がらない。資格を取っても、勉強しても、給料に反映されない。何を頑張れば市場価値が上がるのか、正直分からなくなってきた。
原因をはっきり言う。年収を決めるのは、スキルの高さそのものじゃない。あなたの「希少性」だ。ここを勘違いしたまま努力すると、頑張っているのに年収が上がらないループから抜けられない。
私は転職を4回して、未経験のフリーターからデザイナー、ディレクターと肩書を変えながら条件を上げてきた。その過程で確信した市場価値の正体と、20代30代がやるべき具体的な手順を書く。
年収が「頑張り」で決まらない理由
残酷な事実から始める。年収は、あなたの努力量や人格では決まらない。大枠はこの3つで決まる。
- 業界の給与水準(儲かっている業界は、同じ仕事でも高く払える)
- 職種の給与水準(利益に近い職種ほど高い)
- あなたの代わりの見つかりにくさ=希少性
1と2は所属の問題で、3が個人の問題だ。そして転職市場で「市場価値が高い人」と呼ばれるのは、シンプルに代わりを探すのが大変な人のことなんよ。
真面目さや勤続年数は、代わりが見つかる限り、値段になりにくい。逆に、性格に難があっても代わりがいない人には、会社は高い金を払う。理不尽に感じるかもしれないが、値段とは需要と供給の話だ。ここを受け入れると、やるべきことが一気に明確になる。
希少性はスキルの「掛け算」で作る
「希少になれと言われても、自分は天才じゃない」。そう思っただろう。安心してほしい。希少性は、一つの突出したスキルではなく、普通のスキルの掛け算で作れる。
考え方はこうだ。
- 営業ができる人:大勢いる
- データ分析ができる人:それなりにいる
- 営業もデータ分析もできる人:急に少なくなる
- そこに業界知識が掛かる:ほぼいない
一つのスキルで上位1割に入るのは難しい。だが、上位3割のスキルを2つ3つ掛け合わせると、組み合わせとしては一気に希少になる。100人に30人×100人に30人は、計算上100人に9人。3つ掛ければ3人以下だ。
私のキャリアも掛け算だった。デザインができるだけの人は大勢いる。だが、デザイン×ディレクション×副業で育てたSNS運用と発信力、と掛けていくと、代わりが急に減る。単体では突出していないスキルの束が、フリーランス4年目まで食える市場価値になっている。
著書『顔を出さずにSNSで稼ぐ人が、やっていること』(Kindle)
この掛け算の1つ、SNS運用と発信力の作り方は、1冊にまとめてある。顔出しなしのSNS運用で月5万円の副業収入を作る手順を、Xフォロワー11万人と匿名アカウント複数を育てた実践から書いた。
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掛け算の型。何を掛けるか
やみくもに掛けても意味がない。相性のいい掛け算には型がある。
- 本業スキル×隣の工程:営業×マーケ、制作×ディレクション、経理×システム導入。仕事の上流下流に広げる掛け算は、実務の中で身につけられて費用対効果が最強だ
- 本業スキル×マネジメント:プレイヤー×チーム管理。30代の年収の分かれ目はほぼここだ
- 本業スキル×伸びている道具:どの職種でも、AIやデータ活用を業務で使いこなせる人はまだ少ない。既存スキルの単価を上げる掛け算だ
- 本業スキル×発信:同じスキルでも、言語化して発信できる人は採用市場で見つけてもらいやすい。見つけてもらえない希少性は、値段がつかない
注意点は1つ。掛け算の1つ目は、今の本業スキルでいい。ゼロから全部作り直す必要はない。今あるものに、何を1つ足すかの話だ。
あわせて読みたい:市場価値の測り方 完全ガイド。無料でできる診断から年収への反映まで
まず測定から始めろ。話はそれからだ
測定の具体的なやり方と診断の使い分けは市場価値の測り方 完全ガイドに全部まとめた。この記事とセットで読んでほしい。
やるべき手順の1番目は、勉強でも資格でもない。現在地の測定だ。
自分の市場価値を数字で知らないまま努力するのは、体重計に乗らずにダイエットするのと同じだ。効果測定ができないから、続かないし、方向修正もできない。
測定1:想定年収を出す
診断は無料、所要は10〜20分。登録後は企業からのオファー通知が届くようになるが、電話営業が主体のサービスではなく、通知は設定でいつでも絞れる(通知の止め方も用意してある)。
経歴と職歴を入れると想定年収が出る。今の年収と比べてみろ。想定が今より高ければ、あなたは今の会社に安く買われている。転職だけで年収が上がる余地があるということだ。
測定2:適正年収の根拠を知る
診断は無料で、数分で終わる。結果はその場で見られて、そのまま閉じてもいい。登録後に案内が届くことはあるが、不要なら配信を止めて、診断結果だけ持ち帰れば済む。
別の物差しでも測っておく。診断ごとの差も含めて見ると、自分の値段のレンジが分かる。1つの数字を盲信するより、複数の測定で幅を掴む方が実用的だ。
測定3:プロにキャリアの棚卸しをしてもらう
数字の次は、質の測定だ。自分のどの経験が市場で評価され、何が足りないのか。これは自分では見えない。
アサインは若手ハイクラス向けのエージェントで、長期のキャリアの組み立てから逆算した提案に強い。今すぐ転職する気がなくても、「市場価値を上げるには次に何を積むべきか」の壁打ち相手として使える。
20代と30代でやることは違う
同じ「市場価値を上げる」でも、年代で最適解が変わる。
20代:土台のスキルを1本立てろ
20代はまだ掛け算を焦らなくていい。まず「◯◯ならできます」と言い切れる1本目を作る。1本目が細いまま掛け算に走ると、全部が中途半端になる。ポテンシャル採用が使える20代のうちに、伸びる業界・スキルの積める環境に身を置くことが最大の投資だ。環境選びの考え方は軸ずらし転職で年収は上がるを読んでほしい。
30代:2本目を掛けて、値札を書き換えろ
30代は1本目のスキルに何を掛けるかの勝負だ。マネジメント、隣の工程、新しい道具。そして掛け算が成立したら、社内評価ではなく市場評価で値段を更新しろ。社内の昇給は年数万円の世界だが、希少性が上がった状態での転職は、年収の桁の違う更新がありうる。40代を悲観する必要もない。20年働いた人間の経験の棚卸しについては40代スキルなしは嘘だに書いた通りだ。
資格取得が年収に繋がらない理由
「市場価値を上げる=資格を取る」と考える人が多いので、ここも触れておく。
資格が年収に直結するのは、独占業務がある資格(士業、医療系など)と、応募の足切り条件になっている資格だけだ。それ以外の資格は、持っていても供給過多なら値段がつかない。簿記2級もTOEICも、持っている人が大勢いる時点で、それ単体では希少性を作らない。
資格を取るなら、掛け算の部品として取れ。営業×簿記なら、数字で提案できる営業として意味が出る。資格そのものではなく、実務との掛け算で初めて値段になる。順番を間違えて資格コレクターになるのが、頑張っているのに上がらない人の典型パターンなんよ。
市場価値を下げる行動も知っておけ
上げる話の裏で、静かに市場価値を下げる行動がある。
- 社内でしか通用しないスキルだけが増える仕事を続ける(独自システムの操作、社内政治の作法)
- 同じ1年を10回繰り返す(10年目でも経験値は1年分)
- 磨いたスキルをどこにも見えるようにしていない(職務経歴書にもSNSにも実績が残っていない)
心当たりがあるなら、今の環境にいること自体がリスクになり始めている。環境ごと変えるかどうかも含めて、測定結果を見て判断しろ。
まとめ
- 年収はスキルの高さではなく、希少性=代わりの見つかりにくさで決まる
- 希少性は突出した1本ではなく、上位3割スキルの掛け算で作れる
- 掛け算の1本目は今の本業スキルでいい。何を足すかを決めろ
- 努力の前に測定。想定年収・適正年収・プロの棚卸しで現在地を数字にしろ
- 20代は1本目を太く、30代は2本目を掛けて市場で値段を更新しろ
市場価値は、才能の話ではなく戦略の話だ。頑張る方向を間違えなければ、年収はちゃんと動く。まず今日、自分の値段を測るところから始めろだわ。
掛け算で希少性が作れてきた人は、ハイクラス向けのスカウトの網も張っておけ。リクルートダイレクトスカウトに登録すると、ヘッドハンター経由で年収帯の高い求人の声かけが届く。自分の希少性が市場でいくらになったかの、生きた測定器になる。
職種別の具体論も用意している。エンジニアの年収の上げ方はITエンジニアが年収を上げる転職に、この記事の考え方を実務へ落とした形でまとめてある。
よくある質問
市場価値を高めるには何をすればいいですか?
スキルの掛け算で希少性を作れ。突出した1本より、上位3割のスキルを2〜3個組み合わせる方が再現性が高い。本業スキルに、隣の工程・マネジメント・伸びている道具・発信のどれかを掛ける。1本目は今のスキルでいい。
市場価値と年収はどう関係していますか?
年収は能力の高さではなく、代わりの見つかりにくさで決まる。真面目さや勤続年数は、代わりがいる限り値段にならない。だから頑張る方向は、上手くなることより、見つかりにくい組み合わせを作ることだ。
自分の市場価値はどうやって測れますか?
無料の診断で想定年収と適正年収を出し、複数の結果で幅を掴む。社内評価と市場価値は別の物差しだから、社内の評価が低くても悲観する材料にはならない。測定は年1回更新して、推移を見ろ。
▼ 動き出すなら、道具選びから
転職エージェントに騙されるな。30代が本当に使うべきは3つだけ
記事を読んで終わりにせず、自分に合うサービスの当たりを付けるところまで進んでほしい。ここまでが今日の一歩だ。
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