隣の席の同僚と同じ仕事をしているのに、転職していった元同僚の年収は自分よりずっと上らしい。勉強会にも出てるし、コードも書ける。なのに、なぜ自分の給料は上がらないんだ。
先に立場を明かす。私はエンジニアではない。ただ、Web業界でデザイナーとして、そしてディレクターとして、エンジニアと一緒に働き、開発の現場と発注側の事情を隣で見てきた。その中ではっきり見えたことがある。エンジニアの年収は、スキルの高さより、どの市場に身を置くかで先に決まっている。
この記事では、隣で見てきた立場と調べて分かった事実をもとに、エンジニアが年収を上げるための棚卸しと市場の選び方を整理する。
この記事の要点
- エンジニアが年収を上げる経路は3つしかない。転職・昇格・単価交渉だ。
- エンジニアの年収は腕より場所で決まる。上げる最短は転職だ
- スキルの棚卸しは、言語・工程・規模・役割の4層を数字と固有名詞で書く
- 社内評価と市場評価は別物だ。市場の相場を知ってから交渉しろ
年収が上がらない理由は、腕ではなく場所にある
真面目なエンジニアほど、年収の停滞を自分の技術力のせいにする。だが、構図はこうだ。
- 同じスキルでも、所属で年収は大きく変わる。受託の下請け階層にいるのか、元請けか、自社開発か、事業会社か(SESの階層構図とやばい会社の見分け方はやばいSES企業の見分け方に書いた)。あなたの仕事が生む利益のうち、どれだけが自社に落ちる位置にいるかで、払える給与の天井が決まる
- 社内の昇給テーブルは、市場の変化より遅い。エンジニアの市場価値が上がっても、社内の評価制度は年数%の昇給しか許さない
- 技術の値段は分野で違う。同じ経験年数でも、需要の強い領域とレガシーな領域では、求人の年収帯そのものが違う
つまり、社内で頑張って認められるルートは、上げ幅の天井が最初から低い。エンジニアの年収は、市場で値付けし直すのが最短ルートだ。この構図は給料が安くてやってられない人へで書いた一般論が、エンジニアには特に強く当てはまる形だ。
スキルの棚卸し。採用側が見ている4層
転職の前に、自分の商品を整理する。エンジニア採用の現場を隣で見てきた範囲で、見られているのは技術スタックの一覧だけではない。4層で棚卸ししてほしい。
1層:技術スタックと経験年数
言語、フレームワーク、インフラ、使用年数。これは前提の層だ。書けるだけ具体的に書く。
2層:担当工程と役割
実装だけか、要件定義などの上流工程から関わったか。レビューする側か、される側か。テックリードやメンバー教育の経験はあるか。同じ技術でも、上流工程とリードの経験があるだけで求人のレンジが変わる。
3層:規模と文脈
どのくらいのユーザー数・トラフィック・チーム規模のシステムか。障害対応、パフォーマンス改善、レガシー改修。数字と状況で語れる経験は、技術一覧より雄弁だ。
4層:技術外の掛け算
ビジネス側との調整、ドキュメント力、他業界の業務知識。ディレクターとして働いた実感で言うが、ビジネス側と話せるエンジニアは、現場で本当に希少で、値段がつく。希少性の掛け算の考え方は市場価値の高め方。年収を決めるのはスキルより希少性だに書いた通りだ。
あわせて読みたい:市場価値の測り方 完全ガイド。無料でできる診断から年収への反映まで
市場の選び方。どこへ移ると年収が動くか
棚卸しができたら、売る市場の選択だ。調べて分かる範囲と隣で見てきた実感で、整理する。
- 下請け階層から上の階層へ:多重下請けの下にいる人は、元請けや自社開発に移るだけで、同じ仕事の値段が変わる可能性がある
- 受託から事業会社へ:事業の利益に近い場所は給与の天井が上がりやすい。ただし技術の幅よりプロダクトへの深さが求められる文化の違いはある
- 需要の強い領域へ寄せる:既存スキルの隣にある、求人の多い領域へスキルを一歩広げる。ゼロからの転向より、隣接領域への半歩が費用対効果に優れる
- 英語・マネジメント・業務知識の掛け算:技術×何かの二刀流は、レンジの違う求人の扉を開ける
自分の経歴がどの市場でいくらになるかは、IT特化の窓口に見せて確かめるのが早い。
*クリックすると公式サイトが開く。登録後にエンジニア専門の担当から連絡が来る。*
登録後の流れ|① Web入力で登録(数分。職務経歴書は未完成でいい) → ② 担当から連絡が入り、面談の日程を決める → ③ 面談はオンラインか電話。求人の紹介と選考の相談ができる
登録するなら、面談の日程まで進める前提で登録してほしい。登録だけして放置すると、何も動かない。担当と話して初めて、書類も求人も前に進む。
IT・Web特化の転職エージェントの代表格で、保有求人の年収帯から自分の相場をレンジで掴める。棚卸しした4層を持ち込んで、どの層が評価され、何が足りないかを聞け。
登録後の流れ|① Web入力で登録(数分。職務経歴書は未完成でいい) → ② 担当から連絡が入り、面談の日程を決める → ③ 面談はオンラインか電話。求人の紹介と選考の相談ができる
エンジニア特化のエージェントで、キャリアの方向性込みで壁打ちできる。複数の窓口で言われることを突き合わせると、1社のポジショントークに引っ張られずに済む。
フリーランスという選択肢。単価は上がるが交換条件がある
エンジニアの年収の話で避けて通れないのが、フリーランスだ。フリーランス4年目の立場から、現実を書いておく。
実務経験を積んだエンジニアの場合、フリーランスの案件単価は会社員の月給を上回ることが多い。ただしそれは、安定・社会保障・有給・教育コストを会社に負担してもらう権利との交換だ。単価の数字だけ見て飛ぶと、契約の谷間や保障の薄さで慌てることになる。
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登録後の流れ|① Web入力で登録(数分。職務経歴書は未完成でいい) → ② 担当から連絡が入り、面談の日程を決める → ③ 面談はオンラインか電話。求人の紹介と選考の相談ができる
ITフリーランス専門のエージェントで、自分のスキルでどのくらいの単価の案件があるかを確認できる。会社員のまま、単価の相場だけ先に見ておくのが賢い使い方だ。会社員の年収とフリーランスの単価、両方の数字が揃って初めて、独立は感情ではなく計算になる。独立後の生活の現実はフリーランス4年目の収支のリアルも読んでほしい。
ここまでのまとめ
・エンジニアが年収を上げる経路は3つしかない。転職・昇格・単価交渉だ。
・エンジニアの年収は腕より場所で決まる。上げる最短は転職だ
・スキルの棚卸しは、言語・工程・規模・役割の4層を数字と固有名詞で書く
内定後の一手。エンジニアこそ年収交渉をしろ
最後に、取りこぼしやすい一手を。エンジニアは売り手市場の職種なのに、条件交渉をしない人が多い。技術の話は雄弁なのに、金の話になると黙ってしまう。
内定時の提示額は交渉の開始価格だ。複数社の選考を並行し、他社の提示と市場の相場を根拠に、一度だけ具体額を聞く。それだけで数十万円動くことがある。やり方は年収交渉をエージェント任せにするなにまとめてある。
コードのレビューには何時間もかけるのに、自分の値段のレビューに10分もかけないのは、もったいなさすぎるんよ。
あわせて読みたい:レバテックキャリアの評判。エンジニア転職の定番の実力と限界
あわせて読みたい:エンジニアで年収700万は何年目で届くのか。スキルより環境の話をする
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窓口の選び分けはエンジニア転職サービスの比較に、正社員・フリーランス・派遣の型ごとに整理した。単価と年収を突き合わせる使い方も書いてある。
家計の側から見直したい時
年収を上げる話と並行して、支出と保険の側を一度プロに見てもらうと、必要な年収の額そのものが変わることがある。無料相談の仕組みと、使うべき人・使わなくていい人はマネーキャリアの評判の記事で書いた。
職種別・年代別の年収(公的データ)
令和7年賃金構造基本統計調査の年齢別の所定内給与は、25〜29歳では職種の差が小さいが、営業・企画・技術者・システムは45〜49歳で1.5〜1.7倍に伸び、介護・販売・運転・調理は1.2倍前後で止まる。年収の目安は45〜49歳で営業745万と介護414万のように2倍近く開く。24職種の年代別の表は職種別・年代別の平均年収のデータ記事で書いた。
学び直しの実態(公的データ)
令和7年度能力開発基本調査で、自己啓発をした人は35.5%(正社員43.3%・非正規15.9%)、30代42.8%・50代31.0%と年齢で下がり、企業規模30〜49人27.5%と1,000人以上52.3%で差がある。できない理由は仕事が忙しい58.5%・費用26.2%で、会社が出す教育費は1人年2.0万円。数字の全体は学び直しをしている人は35.5%のデータ記事で書いた。
あわせて読むならSESの案件面談の服装と聞かれること。当日の流れと、逆にこちらが見るべき点だ。
よくある質問
ITエンジニアの年収は転職でどのくらい上がりますか?
スキルと移り先の組み合わせ次第だが、エンジニアは経験とスキルが年収に反映されやすい職種で、同じスキルでも所属で年収が大きく変わる。社内の昇給を待つより、市場で値付けし直す転職の方が上げ幅は出やすい。
エンジニアの市場価値はどうやって測ればいいですか?
IT特化のエージェントに経歴を見せて求人の年収帯を確認するのが早い。技術スタック、担当工程、規模、役割を整理した上で複数の窓口に当てると、自分の相場がレンジで見えてくる。社内評価は市場の物差しにならない。
フリーランスエンジニアになれば年収は上がりますか?
単価は上がりやすいが、安定・保障・営業コストとの交換になる。実務経験を数年積んだ人なら、エージェント経由で案件単価を確認してから判断できる。会社員のまま単価を見て、数字で比較してから決めるのが順番だ。
▼ 動き出すなら、道具選びから
転職エージェントに騙されるな。30代が本当に使うべきは3つだけ
記事を読んで終わりにせず、自分に合うサービスの当たりを付けるところまで進んでほしい。ここまでが今日の一歩だ。
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