この記事は、SES企業への応募を検討していて「やばい会社を引きたくない」人向けだ。読み終わる頃には、求人票と面接で見分ける具体的なチェック項目が手に入っている。
IT業界の求人を探すと、大量に出てくるSESの募集。「未経験歓迎・研修充実・大手案件多数」。悪くなさそうに見えるのに、検索すると「SES やめとけ」「やばい」の声が並ぶ。どっちが本当なんだ。
先に立場を明かす。私はSES企業で働いた経験はない。ただ、Web業界でディレクターとして開発の現場を見てきて、常駐エンジニアと仕事をしてきた立場だ。その経験と調べて分かった構図から言えるのは、SESという形態がやばいのではなく、やばい会社とまともな会社の差が極端に大きい業態だということだ。見分け方を全部書く。
この記事の要点
- SESという形態がやばいのではない。多重下請けの下層で還元と成長機会を吸う個社がやばい
- 求人票は、職種例の幅・大量採用・中身のない研修・広すぎる給与レンジ・案件例なしをチェック
- 面接では、還元の仕組み・案件の内訳・待機時給与・案件選択・評価の5つを聞け
- 口コミで裏を取る。3点照合はSESでこそ効く
まず仕組み。SESとは何で、なぜ差が生まれるのか
SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアを客先に常駐させて技術力を提供する契約形態だ。あなたは自社に雇われながら、実際の仕事は客先のプロジェクトで行う。
この形態自体は、IT業界の普通の仕組みの1つだ。問題は、その上に乗っている多重下請けの構図にある。
- 発注元から元請け、2次請け、3次請けと案件が流れるたびに、単価から仲介の取り分が引かれていく
- 下層にいる会社ほど、エンジニア本人に届く給与は薄くなる
- 下層の案件ほど、テスト・監視・保守など、開発経験が積みにくい業務の比率が上がりやすい
つまり、あなたの所属会社が構図のどの位置にいて、単価のどれだけを還元するかで、同じSESでも待遇と成長機会がまるで違う。やばいSESとは、この構図の下層で、還元率が低く、案件の質を選べない会社のことだ。
求人票の危険な表現。ここに気をつけろ
やばい会社は、求人票に共通のパターンが出る。チェックリストとして使ってほしい。
- 職種例が幅広すぎる:「エンジニア、テスター、ヘルプデスク、事務、コールセンター」まで並ぶ求人は、開発以外の現場に回される可能性を最初から織り込んでいる
- 未経験歓迎の大量採用:教育コストのかかる未経験を大量に採る商売が成立するのは、単価の安い現場に大量に送る前提があるからだ
- 研修充実と書きながら、内容と期間が具体的にない:まともな会社は研修のカリキュラムと期間を書ける。書けないのは、書ける中身がないからだ
- 給与レンジが不自然に広い(例:月給20万〜60万):下限があなたの現実で、上限は広告だ
- 勤務地が「プロジェクト先による」だけで、案件例がない:どんな現場に行くか説明する気がない求人だ
- 「IT業界に興味があればOK」系の、志望動機すら不要な空気:入口が軽い会社は、出口(離職)も軽い
1つ当てはまるだけで即アウトではない。だが3つ以上重なる求人は、次の面接チェックを全部やってから決めるべき対象だ。
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面接で聞くべき5つの質問。答え方に本性が出る
求人票を通過したら、面接で確かめる。聞くべきは5つだ。
- 「単価の還元率、または給与への反映の仕組みを教えてください」:還元率を公開している会社もある業界だ。仕組みを説明できない・濁す会社は、説明できない配分をしている可能性がある
- 「案件の内訳を教えてください。開発案件は何割ですか」:テスト・監視・ヘルプデスクの比率が高いなら、エンジニアとしての経験が積めるかは案件運次第になる
- 「待機期間(案件が決まらない期間)の給与はどうなりますか」:待機中も給与全額が出るのがまともな会社の基準だ。減額や無給の会社は避けろ
- 「案件は選べますか。断れますか」:希望を聞く仕組みの有無で、案件ガチャの度合いが分かる
- 「評価と昇給は、誰がどう判断しますか」:常駐先にいるあなたを、自社の誰が見て評価するのか。帰社日や面談の頻度も含めて、答えられない会社では昇給の根拠が存在しない
全部、失礼な質問ではない。この質問を嫌がる会社こそが、この質問で見分けたかった会社だ。
口コミで裏を取る。SESこそ3点照合だ
求人票と面接の言葉は、口コミと突き合わせて初めて信用できる。
働いた人の口コミで、案件の実態、還元の実感、退職理由が読める。SESは会社ごとの差が極端な業態だからこそ、入る前の裏取りの価値が大きい。見るべきは点数より、退職理由の欄に同じ不満が繰り返されていないかだ。
まともなSESもある。全否定は損だ
公平に書いておく。SESには、まともな会社も実在する。
- 還元率や単価を公開し、給与への反映が透明
- 案件の希望を聞き、開発案件の比率が高い
- 待機中も給与保証があり、研修が実体を伴う
- 経験の浅い人にとって、実務の入口として機能している
特に未経験〜経験の浅い層にとって、SESが実務経験を積む現実的な入口になってきたのも事実だ。大事なのは、SESを避けることではなく、やばい個社を避けて、経験を積んだら次へ動く出口戦略を持つことだ。
出口戦略。SESは通過点として使え
SESに入る場合も、すでにいる場合も、この出口の考え方を持っておいてほしい。
- 経験の棚卸しを常にやる:現場で触れた技術・工程・規模を記録し続ける。案件が変わるSESは、意識しないと経歴がぼやける
- 開発経験が積めない現場が続くなら、社内で異動を交渉し、動かなければ転職:年数だけ経って売り物が育たないのが、SESの一番の損失パターンだ
- 数年で、元請け・自社開発・事業会社への転職を検討する:同じスキルでも、構図の上の階層に移ると値付けが変わる。考え方はITエンジニアが年収を上げる最短は転職だに書いた
転職の窓口は、IT特化を使え。
IT・Web特化の代表格で、SESから自社開発・元請けへの転職相談にも慣れている。今の経歴でどの階層の求人に手が届くか、求人票ベースで確かめられる。
IT専門の転職エージェントだ。複数の窓口で情報を取り、言われた内容を突き合わせるのが、ポジショントークに流されない保険になる。
まとめ
- SESという形態がやばいのではない。多重下請けの下層で還元と成長機会を吸う個社がやばい
- 求人票は、職種例の幅・大量採用・中身のない研修・広すぎる給与レンジ・案件例なしをチェック
- 面接では、還元の仕組み・案件の内訳・待機時給与・案件選択・評価の5つを聞け
- 口コミで裏を取る。3点照合はSESでこそ効く
- まともなSESは実在する。入るなら出口戦略とセットで
「SESはやめとけ」という雑な一般論も、「未経験歓迎」という甘い求人票も、どちらもあなたの判断の代わりにはならない。チェック項目は渡した。個社を、自分の目で見分けろだわ。
▼ 動き出すなら、道具選びから
転職エージェントに騙されるな。30代が本当に使うべきは3つだけ
記事を読んで終わりにせず、自分に合うサービスの当たりを付けるところまで進んでほしい。ここまでが今日の一歩だ。
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よくある質問
SESはやめとけと言われるのはなぜですか?
SESという契約形態そのものではなく、多重下請けの下層で単価と成長機会を吸われる構図の会社が混ざっているからだ。還元率が不透明、案件を選べない、開発と無関係な現場に回される。やばいのは形態ではなく個社だ。
やばいSESを求人票で見分けるポイントはありますか?
ある。職種例が幅広すぎる、未経験歓迎の大量採用、研修内容が具体的に書かれていない、給与レンジが不自然に広い、勤務地が「プロジェクト先による」だけ。複数当てはまる求人は、面接での確認必須と考えていい。
SESで働くのは経歴として不利ですか?
現場と業務内容次第だ。開発実務を積める現場なら経験は普通に評価される。逆にテスト・監視・事務作業だけの現場が続くと、年数の割に売り物が育たない。入る会社と案件の質が、数年後の市場価値を決める。
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