12月のボーナスが振り込まれたら、辞める。そう決めているのに、「もらい逃げと思われないか」が頭から離れない。
先に言っておく。冬のボーナスは、あなたが夏から冬までに働いた分の後払いだ。受け取ってから辞めるのは、卑怯でも何でもない。ただの回収だ。
*筆者の立場|この記事は、4回の転職で退職の場を経験してきた立場と、DMに届く相談に基づいて書いている。*
この記事の要点
- 賞与は過去の労働の後払い。満額受け取ってから辞めるのが正当な順番だ
- 退職の切り出しは、振込確認の後。支給前に言うと減額の口実を与える
- 12月末退職と1月末退職は損得が違う。有給残日数で決める
- 引き止めの繁忙期カードは、会社の事情であってあなたの責任ではない
順番がすべて。支給日より前に言うな
冬ボーナス退職の失敗は、ほぼ1つの原因で起きる。切り出すのが早すぎることだ。
多くの会社の賞与規程には、支給日に在籍していることを条件にする定めがある。ここまでは守る人が多い。見落とされるのは査定の方だ。支給日前に退職意思を伝えると、賞与の査定を下げられたり、支給額を裁量で削られたりする余地を会社に渡すことになる。
だから順番はこうなる。
- 11月。就業規則の賞与規程と退職の予告期間(30日前か、1ヶ月前か)を確認する。転職活動を始めるならここから
- 支給日。在籍したまま振込を確認する。金額の確認までがこの日の仕事だ
- 振込確認の翌週。退職意思を直属の上司に伝える。書面かメールの記録を残す
- 退職日まで。引き継ぎと有給消化を並行する
伝えた後のボーナスを返せと言われることを心配する人がいるが、一度支給された賞与の返還を求める規定は、労働基準法の賃金全額払いの原則から基本的に通らない。返還規定の細かい話はボーナスもらってすぐ辞めるのは卑怯かに書いたから、不安な人はそちらも読んでほしい。あちらは夏中心の通年版、この記事は12月特有の実務をまとめた冬版だ。
12月末退職か、1月末退職か。電卓で決めろ
冬ボーナス退職には、夏にはない分岐が1つある。年をまたぐかどうかだ。
12月末退職の利点は区切りの良さだ。年末調整が現職で完了するから、翌年に自分で確定申告する手間が(他に収入がなければ)発生しにくい。1月から新しい職場、という切り替えも気持ちの面で分かりやすい。
1月末退職の利点は回収の多さだ。年末年始の休暇を在籍のまま過ごせて、その後に有給消化をぶつけられる。有給が15日以上残っているなら、12月末で消化し切るのはまず無理だから、1月末に伸ばす価値がある。
判断は感情ではなく電卓でやってほしい。
| 比較項目 | 12月末退職 | 1月末退職 |
|---|---|---|
| 有給消化の余地 | 狭い(実働日が少ない) | 広い(年始明けを充てられる) |
| 年末調整 | 現職で完了する | 現職で完了する(12月在籍のため) |
| 給与 | 12月分まで | 1月分まで入る |
| 気持ちの区切り | 年内で切れる | 年明けに手続きが残る |
有給が10日以上残っているなら1月末、ほぼ残っていないなら12月末。大枠はこれで決めていい。
繁忙期カードの返し方
12月の退職で必ず出てくるのが、「年末の忙しい時期に辞めるのか」という引き止めだ。
はっきり書いておく。繁忙期に人が抜けて回らなくなるのは、余裕のない人員配置をしてきた会社の経営問題だ。あなたの退職の自由は、会社の忙しさで消えたりしない。法律上は、期間の定めのない雇用なら2週間前の申し出で退職できる。
とはいえ、正面から戦う必要もない。返しはこの型でいい。
- 「後任の件もあるので、引き継ぎ資料は退職日までに完全な形で残します」
- 「時期については考えた上での決断です。日程は動かせません」
- 「次が決まっているので、入社日は変更できません」
ポイントは、謝らないこと、理由の議論に乗らないこと、日付を固定することの3つだ。議論に乗った瞬間、相手は条件の交渉だと解釈する。引き止め全般のパターン別対処は退職を言い出せない・引き止めが怖い人へにまとめてある。
どうしても言い出せない場合の最終手段
ここまで読んで、「分かってはいるが、あの上司に言える気がしない」という人もいるはずだ。何ヶ月も言い出せずに年を越し、また夏のボーナスまで我慢する。この繰り返しで2年消耗した相談も受けたことがある。
その場合は、退職代行という選択肢を年内に使ってしまうのも手だ。
*クリックすると公式サイトが開く。LINEで無料相談でき、依頼するかは相談後に決めればいい。*
相談後の流れ|① LINEかメールで無料相談する → ② 料金と流れの説明を受ける → ③ 依頼する場合のみ、指定した日に会社への連絡を代行してもらう
料金は24,000円・弁護士監修で、依頼した日から会社と直接話さずに退職手続きが進む。ボーナスを受け取った後なら、代行を使っても賞与は既にあなたの口座にある。切り出す勇気の問題は、金で解決していい種類の問題だ。自力で伝える場合の言い方は退職を言い出せない人のための伝え方に文面ごと置いてある。
逆算カレンダー。今日から支給日までにやること
最後に、時系列で並べ直しておく。11月に読んでいる人は1から、12月に読んでいる人は3からでいい。
- 11月上旬。就業規則の確認(賞与の在籍要件・退職予告期間・有給残日数)。この3つをメモする
- 11月中。転職活動を水面下で始める。在職中の活動は珍しくもなんともない
- 支給日。振込金額を確認する。明細の査定項目もスクリーンショットで残しておく
- 支給後1週間以内。退職意思を伝える。口頭+メールで記録を残す
- 退職日の2週間前まで。引き継ぎ資料を完成させる。後任がいなくても資料は残す
- 最終出社日。貸与品の返却と、離職票・源泉徴収票の送付先確認を忘れない
6の書類は転職先の年末調整や失業給付で必ず要る。もらい忘れて前の会社に連絡する気まずさは、退職者の定番の後悔だから、先に潰しておいてほしい。
次が決まっていないのに辞めていいか
冬ボーナス退職には、もう1つの典型パターンがある。転職先を決めずに、とにかくボーナスをもらって辞めたいという形だ。
気持ちは分かる。だが、順番の推奨は明確にある。先に次を決めろ。理由は3つだ。
1つ、在職中の方が選考で強い。籍がある人間の「辞めます」と、無職の「働かせてください」では、交渉の位置が違う。2つ、収入の空白は貯金だけでなく判断を削る。無収入の焦りは、会社選びの基準を確実に下げる。3つ、12月〜1月は求人が動き出す時期で、在職のまま活動する条件が良い。ボーナスを待つ期間は、そのまま転職活動の期間として使えるんよ。
それでも心身が限界で、先に辞める判断をする人もいるはずだ。その場合は、失業給付・社会保険の切り替え・貯金の月数を先に数字にしてから動くこと。勢いで辞めていいのは、計算が終わっている人だけだ。
よくある質問
冬のボーナスをもらってすぐ辞めるのは非常識ですか?
非常識ではない。賞与は過去半年の労働の後払いで、受け取ってから辞めるのは正当な権利だ。会社も一定数の退職を織り込んでいる。
退職を伝えるのはボーナス支給の前と後、どちらがいいですか?
後だ。支給前に伝えると査定減額や支給見送りの口実を与える。振込を確認してから切り出す。この順番だけは守ってほしい。
12月末退職と1月末退職はどちらが得ですか?
有給残日数で決める。10日以上残っているなら1月末に伸ばして消化、ほぼ残っていないなら12月末で区切る。年末調整はどちらも現職側で完了する。
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