年収600万。周りからは十分と言われる。でもここ数年、昇給は年に数万円。700万まであと100万の距離が、なぜか一番遠く感じる。その感覚は錯覚ではない。

断言する。600万から700万の壁は、頑張りの壁ではなく等級制度の壁だ。そして社内昇給でこの壁は、算数の上でほぼ越えられない。この記事では壁の正体と、転職で一段上に乗り直す手順を書く。

この記事の要点

  • 600万→700万の100万は、定期昇給の刻み(年数万円)では十数年かかる算数だ
  • 壁の正体は等級制度だ。600万台と700万台は多くの会社で別の等級・別の役割になっている
  • 越え方は、いまの等級で頑張ることではなく、転職で次の等級に乗り直すことだ
  • 現年収600万は700万帯求人の標準的な応募者層。遠慮が一番の機会損失になる

算数から始める。社内昇給では無理な理由

感情を挟まず、まず計算する。

  • 多くの会社の定期昇給は、年3千円〜1万円台の刻みだ。仮に年5万円ずつ上がっても、100万の差を埋めるのに20年かかる
  • 評価が良くても昇給幅は倍程度にしかならない。10年戦っても届くかどうかだ
  • 一段で100万動くのは昇進(等級の変更)だけ。だが昇進はポストの空き待ちで、あなたの実力と関係なく詰まる。上が詰まった会社では、順番は回ってこない

つまり社内での正攻法は、「十数年待つ」か「ポストの空きを祈る」の二択になる。時期を自分で選べる手段は、転職しかない。ボーナス査定で微調整される期待も持たない方がいい。査定の仕組みはボーナスを下げられたら会社からのメッセージだで書いた通り、原資の枠内の再分配にすぎない。

壁の正体。600万と700万は「別の商品棚」だ

なぜ100万がこんなに遠いのか。答えは給与テーブルの作りにある。

  • 多くの会社で、600万台は上級プレイヤーの等級、700万台は管理職・専門職の等級に割り当てられている。連続した坂道ではなく、段差なんよ
  • 段差の向こうは、役割が変わる。数字を作る人から、数字を作らせる人・専門性で単価を上げる人へ
  • だから「今の仕事をもっと頑張る」は、600万台の等級の中で上手になる努力であって、段差を越える力にはならない

壁を越えるとは、昇給ではなく等級の乗り換えだ。そして転職市場は、この乗り換えを社内昇進より速く、自分のタイミングでやれる場所だ。役割の段差については、その異動は栄転か左遷かで書いた権限と予算の話がそのまま使える。権限が増える移動だけが、段差を越える移動だ。

越え方の手順。4ステップで書く

ステップ1:適正年収を測って、壁との距離を確定する

現年収600万が市場相場より安い場合、転職で適正に戻すだけで壁を越えることがある。まず測れ。

無料・数分で適正年収を診断する(タレントスクエア)

診断は無料で数分。相場が650万と出るか750万と出るかで、この後の戦い方が変わる。

ステップ2:役割の実績を作る。小さくていい

700万帯の選考で見られるのは、次の等級で働ける証拠だ。

  • 後輩の指導、数人のチームのリード、部分プロジェクトの進行管理。肩書きがなくても、役割の実績は作れる
  • 私自身、デザイナーからディレクターに役割が変わって、評価の物差しが変わる経験をした。段差の向こう側の仕事を、今の場所で1つでも先取りしておく。これが一番確実な準備だ
  • 専門性で行く人は、希少性で市場価値を作る方向で尖らせる。マネジメントだけが段差の越え方ではない

ステップ3:スカウトで700万帯の入口に立つ

600万→700万の転職は、公開求人への応募よりスカウト経由が主戦場になる。700万帯の求人は非公開が多く、スカウトとエージェント経由に固まっているからだ。

無料でスカウトを受け取る(登録数分・待つだけ)

現年収600万のレジュメは、ハイクラススカウトの主要ターゲット層だ。役割の実績(ステップ2)を数字で書けば、届く声の年収帯が変わる。

無料で経歴を置いておく(レジュメ流用OK)

スカウト型は網を2枚張るのが定石だ。母集団が違えば届く声も違う。待ち方の技術はハイクラス転職のスカウトサービス比較にまとめてある。

ステップ4:提示の場で100万を取り切る

最後の詰めで壁の高さが変わる。

  • 求人票の年収幅(例:600〜800万)のどの職位の選考かを面接で確認する幅の読み方は必修だ
  • 提示が650万で来たら、承諾前に一度だけ交渉する。他社の選考状況と診断の相場が根拠になる。年収交渉の一言を読んでから臨め
  • 700万に少し届かない提示でも、賞与査定や入社時期の調整で実質を寄せる余地がある。基本給だけが交渉の変数ではない

やってはいけない動き3つ

  1. 遠慮して600万台の求人だけ受ける。現年収600万は700万帯選考の標準的な応募者だ。応募の遠慮は、ただの機会損失になる
  2. 年収だけ見て役割の中身を見ない。700万には責任と裁量の値札が付く。役割が変わる覚悟のない移動は、入ってから苦しくなる
  3. 壁を越えること自体を目的化する。700万は選択肢を買う原資だ。何のための100万かを言葉にしておくと、求人選びの軸がぶれない

なお、給与所得にこだわらないなら、本業600万+副業100万という越え方もある。私は副業側の収入で人生が変わった人間だから、この道も本物だと言える。入口は会社員の副業は何から始めるべきかに書いた。

まとめ

  • 600万→700万の壁は等級制度の壁だ。定期昇給の算数では十数年かかる
  • 壁越えは昇給ではなく等級の乗り換えだ。時期を選べる手段は転職しかない
  • 手順は4つ。測定→役割の実績の先取り→スカウトで入口に立つ→提示の場で取り切る
  • 現年収600万は700万帯の標準的な応募者層。遠慮が最大の機会損失だ
  • 給与にこだわらないなら副業での越え方もある。目的に合わせて道を選べ

600万まで来たあなたは、市場で十分に戦える在庫を持っている。足りないのは能力ではなく、段差の越え方の知識だけだった。あとは動くだけなんよ。

全体の地形は年収700万を狙える業界と職種、30代の立ち位置のデータは30代で年収700万は上位何%かにまとめてある。

よくある質問

年収600万から700万は社内昇給で届きませんか?

多くの会社で現実的ではない。定期昇給は年数万円の刻みで、100万の差を埋めるには十数年かかる算数になる。等級が上がる昇進なら一段で動くが、ポストの空きと社内政治に依存する。自力で時期を選べる手段は転職だけだ。

年収700万の求人に600万の自分が応募していいのですか?

いい。企業は現年収ではなく、次の等級で働ける人かで判定する。現年収600万は700万帯の選考でむしろ標準的な応募者層だ。遠慮して600万台の求人だけ受けるのが、一番もったいない動き方になる。

転職以外で壁を越える方法はありませんか?

副業で総収入を作る道はある。給与の壁は等級制度の壁だが、収入全体の壁ではない。本業600万+副業100万は、転職より早く実現する人もいる。ただし給与所得としての700万を目指すなら、答えは転職側にある。

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