仕事中に実家からの着信が鳴るたび、心臓が跳ねる。眠りは細切れで、有給は介護で消える。誰にも言えないまま、限界だけが近づいてくる。

私のDMには親の介護を抱えた人からの相談が繰り返し届く。まとめるとこうだ。

「親の介護が始まって、仕事との両立が限界です。急な呼び出しで早退することも増えて、職場に迷惑をかけている自覚があります。上司には言いづらいし、いっそ辞めて介護に専念した方がいいのかと考えます。でも辞めたら生活はどうなるのかと思うと、それも怖いです」

届く相談の典型例として答える。最初に、いちばん大事なことを言う。辞めるのは、使える制度を全部使ってからでいい。

  • 介護離職は、介護の質を上げるとは限らない
  • 育児・介護休業法で使える制度が複数ある
  • 相談先は職場だけではない。地域包括支援センターがある
  • それでも成立しないなら、辞めるのではなく働き方を変える

介護離職が招く現実を、先に見ておく

「辞めて介護に専念する」という選択が頭をよぎるのは自然だ。ただ、その先に何が起きるかを先に知っておいてほしい。

収入が途切れると、介護の選択肢が減る。介護サービスの利用にも、施設の検討にも、金は必要になる。仕事を辞めた瞬間、使えるサービスの幅が狭まって、その分をあなたの労働で埋めることになる。専念したことで、かえって自分の負担が増える構図が起きやすい。

そして、介護には終わりの時期が読めない。数ヶ月かもしれないし、10年かもしれない。その間、無収入または低収入の状態が続くと、介護が終わった後のあなたの生活が立ち行かなくなる。再就職は、離職期間が長いほど難しくなる。

だから結論はこうだ。介護離職は、他の全部を試した後の最後の手段として扱え。冷たい話をしているのではない。あなたと親の両方の生活を守るための順番の話なんよ。

辞める前に使える制度を全部並べる

育児・介護休業法などで定められている、働きながら介護をするための仕組みを並べる。知らずに辞めた人がいちばん損をしている領域だ。

  • 介護休業。対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割して取得できる。介護そのものをする期間というより、介護の体制を整えるための期間として使うのが本来の趣旨だ。条件を満たせば介護休業給付金の対象になる
  • 介護休暇。年5日(対象家族が2人以上なら10日)、1日または時間単位で取得できる。通院の付き添いや手続きに使える
  • 短時間勤務等の措置。所定労働時間の短縮など、会社が講じる措置を利用できる
  • 時間外労働・深夜業の制限。介護を理由に、残業や深夜勤務の免除を求められる仕組みがある
  • 転勤への配慮。会社は労働者の介護の状況に配慮することが求められている

制度の細かい条件は勤務先の就業規則と、あなたの雇用形態によって変わる。まず人事や総務に「介護に関する制度を確認したい」と聞くところから始めてほしい。言い出しにくい気持ちは分かるが、これは権利であって、お願いではない。

相談先は職場だけじゃない。地域包括支援センターを使え

もう1つ、多くの人が使っていない資源がある。地域包括支援センターだ。

親が住む市区町村にあり、介護保険の申請、ケアマネジャーの紹介、使えるサービスの案内まで、無料で相談に乗ってくれる公的な窓口だ。介護を1人で抱えている人の多くは、ここに繋がっていない。

やることは1つ。親の住所地の地域包括支援センターに電話して、状況を話すこと。要介護認定を受ければ、訪問介護やデイサービス、ショートステイといった選択肢が現実に使えるようになる。あなたが背負っている作業の何割かは、制度で肩代わりできる可能性がある。

そして、あなた自身の状態も見てほしい。眠れない、食欲がない、涙が出る、常に緊張している。介護者の消耗は、介護の質を下げ、最終的に共倒れを招く。心療内科や産業医、自治体の介護者向けの相談窓口を使うことは、甘えではなく必要な手当てだ。このセクションに紹介する商品はない。あなたに必要なのは求人ではなく、支援に繋がることだ。

制度を使っても成立しないなら、辞める前に働き方を変える

制度を使い、外部サービスも入れた。それでも今の職場の働き方では回らない。そこまで来たなら、次に検討するのは辞めることではなく、働き方を変えることだ。

  • リモート可の仕事に移る。通勤時間がなくなるだけで、介護に使える時間が1日1〜2時間増える。急な対応にも動きやすい
  • 残業の少ない職場に移る。定時で帰れる環境は、介護と両立する上で年収以上の価値を持つことがある
  • 実家の近くで働く。移住を伴うが、通い介護の負担そのものを減らせる

求人を選ぶ基準が、給与から働き方に移るのがこの段階だ。パソナキャリアは面談の丁寧さに定評があり、家庭の事情を前提にした働き方の相談がしやすい。リモート可・残業少なめといった軸で求人を出してもらえる。いまの職場が唯一の選択肢ではないと分かるだけで、追い詰められた感覚はかなり緩む。登録も相談も無料だ。

パソナキャリアに働き方の条件から相談する

私は4回目の転職で、年収を下げてリモートと制度を優先する会社を選んだ。当時は育児が理由だったが、働く場所と時間を自分でコントロールできる状態が、家庭の事情に対してどれだけ強いかは身をもって分かっている。介護は突然始まって、いつ終わるか読めない。だからこそ、走り続けられる働き方に変えることの価値が大きい。

家庭と仕事の両立の限界という点では両立が限界なワーママへ、実家の近くへ移る選択は地方移住してリモートで働くが参考になる。

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よくある質問

介護のために仕事を辞めるべきですか?

辞める前にやることがある。介護休業・介護休暇・時短勤務といった制度と、地域包括支援センターへの相談だ。収入が途切れると介護の選択肢自体が狭まるから、離職は最後の手段として扱うべきだ。

介護休業はどのくらい取れますか?

育児・介護休業法では、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して取得できると定められている。給付金の対象になる場合もあるから、勤務先とハローワークで自分の条件を確認してほしい。

介護を理由に働き方を変えるのは可能ですか?

可能だ。時短勤務や時間外労働の制限を求められる制度がある。それでも成立しないなら、リモート可・残業の少ない職場へ移る選択肢もある。辞めるより先に働き方を変える道を検討すべきだ。

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