リスキリングの補助金で講座を受けたい。だが、「転職すると給付が増える」と書いてある。転職しないなら、補助は出ないのか。途中で転職しなくなったら、返すのか。会社に知られるのか。
先に言う。リスキリングの補助金は、転職しなくても受講の給付は受けられる。転職しないと出ないのは、転職して1年続いた後の追加分だ。返還はない。制度ごとに条件が違うので、申し込む前に転職の条件を読め。制度3つと転職の関係、転職しない場合、転職の条件の中身、転職しないと決めた時、会社に知られるか、転職を前提にしない人の制度、申し込む前の3点、制度の変更を書く。
先に一文で。リスキリングの補助金のうちキャリアアップ支援事業は修了で受講費の50%が出て転職して1年継続した後に追加20%が出る仕組みで転職しなくても50%は受けられ返還はなく、教育訓練給付金は転職と無関係に修了で20〜80%が出て、転職の条件は修了後1年以内に雇用保険に加入する雇用へ移り1年継続することで独立と社内異動は対象外、転職を前提にしないなら教育訓練給付金を選び、申し込む前に転職の条件・上限額・対象講座の3点を講座の案内で確かめるのが正解だ。
この記事の要点
- 転職しなくても受講分の補助は出る
- 出ないのは転職後1年の追加分だけ
- 返還は原則ない
- 転職を前提にしないなら教育訓練給付金
主な制度3つと転職の関係
| 制度 | 誰が申請 | 補助の中身 | 転職との関係 |
|---|---|---|---|
| リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(経済産業省) | 本人(講座の事業者経由) | 受講費の50%(上限あり)を修了時に。転職して1年継続で追加20%、合計70% | 転職しないと追加分が出ない。受講分は出る |
| 教育訓練給付金(厚生労働省・雇用保険) | 本人(ハローワーク) | 一般20%・特定一般40%・専門実践50〜80%(上限あり) | 転職と無関係。修了で給付 |
| 人材開発支援助成金(厚生労働省) | 会社 | 会社が社員に受けさせる訓練の費用の一部 | 会社の制度。本人の転職は前提でない |
会社員が使える制度の全体はリスキリング補助金は会社員でも使えるかに書いた。転職との関係で選ぶなら、上の表で見る。
転職しない場合に起きること
| 制度 | 転職しない場合 |
|---|---|
| キャリアアップ支援事業 | 修了時の50%は受けられる。転職後の追加20%は出ない。返還はない |
| 教育訓練給付金 | 何も変わらない。修了で給付 |
| 人材開発支援助成金 | 会社の制度なので、本人の転職は関係しない。むしろ転職すると、会社の返還の条件に触れることがある(会社の問題) |
「転職しないと返さないといけない」は、事実でない。追加分が出ないだけだ。
転職の条件の中身
キャリアアップ支援事業の追加分(20%)が出る条件は、こうだ。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| キャリア相談 | 講座の事業者が行うキャリア相談を受ける |
| 転職の時期 | 修了後1年以内に転職 |
| 転職の中身 | 雇用保険に加入する雇用(正社員・契約社員・パートの一部)。独立・業務委託・フリーランスは対象外のことが多い |
| 継続 | 転職先で1年継続して雇用される |
| 対象外 | 社内の異動や昇進、同じ会社での雇用形態の変更 |
条件は年度と事業者で細かく変わる。講座の案内の「転職の条件」の欄と、事業者の説明で確かめる。転職の中身に「年収が上がること」を条件にしている場合もある。
転職しないと決めた時の使い方
| 選択 | 中身 |
|---|---|
| キャリアアップ支援事業で50%だけ受ける | 追加分はないと決めて受講。50%でも大きい |
| 教育訓練給付金に切り替える | 同じ講座が両方の対象なら、教育訓練給付金の方が条件が少ない。併用はできないので、どちらかを選ぶ |
| 会社の制度を使う | 会社が人材開発支援助成金や研修の費用補助を持っていれば、それで受ける。転職を考えていないなら、会社に知られても問題ない |
| 自費で受ける | 補助の条件に縛られたくない時 |
転職するか決めていない人は、キャリアアップ支援事業で受けて、1年以内に転職の判断をする、という使い方ができる。転職しなければ50%、すれば70%。40代の学び直しの線は40代のリスキリングは遅いのかに書いた。
会社に補助金の受講を知られるか
| 制度 | 会社に伝わるか |
|---|---|
| キャリアアップ支援事業 | 伝わらない。本人と講座の事業者と経済産業省の間の手続き |
| 教育訓練給付金 | 伝わらない。本人とハローワークの手続き。在職中の受講でも会社の書類は要らない(一部の講座で在職の証明が要る場合がある) |
| 人材開発支援助成金 | 会社が申請するので、会社が知っている |
転職を考えていて会社に知られたくない人は、上の2つを使う。
転職を前提にしない人が選ぶ制度
教育訓練給付金だ。雇用保険に一定期間加入していれば(一般は1年以上、初回)、在職中に受講して、転職しなくても給付される。
| 種類 | 給付 | 講座の例 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 受講費の20%(上限10万円) | 簿記、TOEIC、MOS、基本情報 |
| 特定一般教育訓練 | 40%(上限20万円) | 介護職員初任者研修、大型免許、ITの一部 |
| 専門実践教育訓練 | 50%+修了と就職で追加20%、条件で最大80% | 看護、介護福祉士、ITの専門講座、MBA |
専門実践は、修了後に就職(転職を含む)すると追加が出るが、在職中の受講で資格を取った場合も条件を満たすことがある。対象の講座は厚生労働省の検索システムで調べる。転職後すぐ使えるかの線は教育訓練給付金は転職後すぐ使えるのかに書いた。
申し込む前に確かめる3点
| 確かめる | 中身 |
|---|---|
| 転職の条件 | 追加分の条件(時期・雇用の形・継続)。転職しない場合に何が出るか |
| 上限額 | 受講費の◯%でも、上限を超える分は自費 |
| 対象講座か | その講座が、どの制度の対象か。両方の対象なら、どちらを使うか |
講座の事業者の営業は、「70%補助」と言う。転職しなければ50%だ。数字の前提を確かめる。
制度の終了や変更に注意する
キャリアアップ支援事業は、年度ごとに予算と条件が決まる制度で、受付の停止や条件の変更がある。教育訓練給付金も、給付率の改定がある(2024年10月に専門実践の上限が上がった)。申し込む時点の条件を、制度の公式のページで確かめる。講座の事業者の案内は、古いことがある。学び直しの中身の選び方は社会人のAI学び直しに書いた。
よくある質問
補助金で受けた講座の後、転職せずに独立した
キャリアアップ支援事業の追加分は、雇用保険に加入する雇用への転職が条件なので、独立は対象外のことが多い。受講分の50%は受けられる。
受講の途中で退職して無職になった
制度によって、受講の時点で在職中であることが条件の物がある。キャリアアップ支援事業は在職中の受講が条件(申込時点で在職)。教育訓練給付金は離職後1年以内なら使える。途中で退職しても、修了すれば給付されることが多いが、事業者に確かめる。
追加分をもらった後に、転職先を1年以内に辞めた
追加分は、転職先で1年継続した後に出る。1年以内に辞めれば、追加分は出ない。出た後に辞めても返還はない。
転職の資料をLINEで無料配布中
リスキリングの補助金3制度の比べ方(申請者・補助率・転職の条件・会社に伝わるか)と、申し込む前に確かめる3点の表を公式LINEで無料配布している。転職するかどうかで、使う制度を選ぶ。


