退職の挨拶メール、本文は書き上げた。最後に件名の欄で手が止まる。「お世話になりました」か、「退職のご報告」か、それとも感謝を込めた一文か。
件名で悩む時間は、ここで終わりにしよう。社内は「退職のご挨拶(氏名)」。社外は「退職のご挨拶と後任のご紹介(会社名・氏名)」。この2つで確定だ。理由と場面別の一覧を置く。
この記事の要点
- 件名の仕事は1つ。開く前に用件と差出人が分かること
- 社内は「退職のご挨拶(氏名)」。装飾も感謝も件名には不要だ
- 社外は後任紹介まで件名に入れる。業務連絡として扱われるためだ
- 凝った件名・長い件名・件名なしが3大失敗になる
件名の原則。開く前に分かる、それだけでいい
メールの件名は、あなたの気持ちの置き場ではなく、受信箱の一覧で用件を伝えるラベルだ。退職メールの場合、伝えるべきは「退職の挨拶である」ことと「誰からか」の2点だけになる。
- 社内向け|退職のご挨拶(山田太郎)
- 部署やチームだけに送る場合|退職のご挨拶(営業部・山田太郎)
- 社外向け|退職のご挨拶と後任のご紹介(株式会社◯◯・山田太郎)
社外だけ長いのは、社外の相手にとってあなたの退職は感傷でなく業務情報(担当が変わる)だからだ。後任の紹介まで件名で予告しておくと、読み手は引き継ぎ連絡として適切に処理できる。
氏名を必ず入れるのは、受け取り側の都合になる。表示名の設定次第で差出人が分かりにくい環境は多いし、退職シーズンには「退職のご挨拶」が同日に複数届くこともある。送った後のメールは相手の管理物だ。後から検索されることまで考えた件名が、最後の仕事の丁寧さになる。
やりがちな失敗3つ
失敗1、凝った件名。「◯年間ありがとうございました!」「旅立ちのご挨拶」のような件名は、用件が一目で分からず、ビジネスメールの一覧の中で浮く。感謝と情緒は本文の仕事で、件名の仕事ではない。
失敗2、長すぎる件名。受信一覧では件名の前半しか表示されない。伝えたいことを詰めるほど、肝心の「退職」の文字が尻切れで消える。20字前後までが実用の上限だ。
失敗3、件名なし・使い回し件名。空欄の件名は論外として、意外に多いのが、既存のスレッドに返信する形で挨拶を送ってしまうケースだ。「Re: ◯◯の納期について」という件名の退職挨拶は、読まれないか、後から見つけられない。挨拶は必ず新規メールで、専用の件名をつける。
件名の先の話。送る相手と時刻はもっと大事だ
正直に言うと、件名の正解は上の2行で終わりで、退職メールの出来を分けるのは件名の先にある。
- 送る時刻|社内は最終出社日の15〜17時、社外は午前中。理由ごと退職メールは何時に送るかで書いた
- 社外向けの本文|後任の氏名・引き継ぎ日・感謝の3点セット。組み立ては社外への挨拶メールの書き方が担当だ
- そもそもの伝える順番|メールの前に、上司→公表→同僚の順が守れているか。同僚にいつ伝えるかで書いた
件名の完璧さを目指すより、この3点を整える方が、あなたの退職の印象は良くなる。
返信する側の件名マナーも書いておく
逆の立場、同僚の退職メールに返信する場合の件名は、「Re:」のままでいい。件名を書き換える必要はなく、本文で短く感謝と激励を返せば足りる。数行でいい。
「ご丁寧にありがとうございます。◯◯の案件では大変お世話になりました。新天地でのご活躍をお祈りしています」
退職メールへの返信は義務ではないが、世話になった相手には返す方が、あなた自身の社内の見え方としても自然だ。
よくある誤解
「件名に【重要】をつけると読んでもらえる」。逆効果だ。退職の挨拶は緊急でも重要業務でもないので、【重要】タグは判断力への疑問符になる。タグなしの静かな件名が、一番大人に見える。
「退職理由を件名や本文で説明すべきだ」。挨拶メールに退職理由は不要だ。「一身上の都合により」すら書かなくていい。書くのは、退職日・感謝・(社外なら)後任の3つで、理由の説明は詮索の入口を開くだけになる。
よくある質問
退職を伝える最初のメール(上司へのアポ取り)の件名はどうしますか?
こちらは挨拶でなく相談のアポなので、「ご相談のお時間をいただきたく(氏名)」のように、退職の文字を入れないのが定石だ。件名で退職と書くと、口頭で伝える前にメールで伝わってしまう。切り出しの段取りは退職を伝える時間帯で書いた通り、対面が先になる。
退職代行を使った場合も、挨拶メールは送るべきですか?
代行を使う状況は、挨拶の義理より心身の保全が優先の場面がほとんどだ。送らなくていい。世話になった特定の相手にだけ、退職後に個人の連絡先から短く挨拶する形も選べる。義理は生存の後でいい。
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