冬のボーナスをもらってから辞めたい。だが、いつ退職を言えばいいのか。もらう前に言ったら減らされるのか。もらった直後だと露骨すぎるのか。
先に言い切る。切り出しは支給日の1週間後前後。支給前に言うのは損の可能性があり、直後すぎる必要もない。理屈と段取りを書く。
この記事の要点
- 支給前の切り出しは、査定や減額規定を通じて額を下げる口実になりうる
- 就業規則の支給日在籍要件を先に確認する。支給日をまたぐのが土台だ
- 実務の答えは、振込確認後1週間前後での切り出しになる
- もらい逃げではない。賞与は働いた期間への後払いだ
前提の確認。支給日在籍要件を読む
段取りの前に、1つだけ就業規則を見る。多くの会社の賞与規定には、支給日在籍要件(支給日に在籍している者に支給する)がある。この規定がある会社では、支給日前に退職してしまうと、対象期間を働いていても賞与自体が出ない扱いが有効とされている。
つまり、ボーナスをもらってから辞める作戦の土台は、支給日を在籍してまたぐことだ。退職日はもちろん、有給消化の設定もこの日付を基準に組む。賞与から引かれる税金・保険料の実際はボーナスの手取り計算で書いた通りで、手取り額の見込みもここで一度確認しておくといい。
なぜ支給前に言わない方がいいのか
法律上、退職の意思を伝えたことを理由に賞与をゼロにする扱いは争えるが、現実には次の仕組みが働く。
- 賞与は査定の裁量が大きい報酬で、評価の理由づけの中に「退職予定」が紛れ込んでも、外から立証しにくい
- 就業規則に退職予定者の減額規定を置く会社が実在する。有効性は争いうるが、争うコストはあなたが払うことになる
- 支給前の切り出しは、額の決定プロセスに口実を渡す行為になる
減らされたら戦えるか、ではなく、戦わずに済む順番で動くのが実務の知恵だ。支給・振込が終われば賞与は確定し、この論点は消える。
切り出しの時期。1週間後が収まりのいい理由
振込を確認したら、いつ言うか。支給日の1週間後前後が答えになる理由は3つある。
1、賞与が確定している。もう減らしようがない。
2、露骨さが薄まる。振込当日の切り出しは、事実として問題なくても、感情の波風を無駄に立てる。1週間の間は、その波風への保険だ。
3、引き継ぎ期間が常識的に組める。支給1週間後に切り出し、1〜1.5ヶ月後を退職日に置けば、引き継ぎと有給消化の両方が現実的に収まる。切り出す曜日や時間帯の細かい作法は退職を切り出すのは月曜か金曜かで書いた。
なお、転職先が決まっている人は、入社日との整合が最優先だ。入社日が近いなら1週間の間にこだわらず、支給翌日に切り出して構わない。1週間はマナーでなく目安で、動かせない予定の方が強い。
よくある誤解。「もらい逃げは非常識」
この作戦への一番のブレーキは、罪悪感だ。正面から整理する。
賞与は、支給対象期間の働きへの後払いだ。冬のボーナスなら、多くの会社で夏〜秋の期間の成果への支払いになる。あなたはその期間を働き切っている。対価を受け取ってから辞めるのは、逃げではなく精算だ。
会社側も、支給後の退職者が出ることは織り込んで経営している。実際、退職の切り出しが賞与後に集中するのは毎年の風物詩で、人事も慣れている。印象を決めるのは受け取ったかどうかでなく、その後の辞め方(引き継ぎの質と期間)の方だ。ここを丁寧にやれば、もらって辞めた人でなく、きちんと辞めた人として記憶される。
次のボーナスとの距離。欲張りの損益分岐
もう1つの現実的な論点が、「次のボーナスまで待つか」だ。判断の物差しを置く。
- 次の支給まで2〜3ヶ月|転職先が決まっていないなら、待つ選択は普通にある。ただし転職市場の時期(求人の波)との兼ね合いも見る
- 次の支給まで半年|半年の在職を賞与のためだけに延ばすのは、消耗の深い職場では割に合わないことが多い。半年分の時間はボーナスより高いことがある
- 転職先の内定が既にある|入社日を勝手に延ばして次の賞与を待つのは、新しい会社への信頼を削る。ここは迷う場面ではない
最終給与の計算(日割り・保険料・住民税のまとめ引き)は退職月の給料は日割りになるのかで書いた通りで、賞与と最終給与を合わせた手取りの全体を見て、退職月の資金計画を組めば、この作戦は完成だ。
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ボーナスは、我慢の報酬ではなく労働の対価だ。受け取り、礼を尽くして引き継ぎ、次へ行く。この順番に、後ろめたさの入る余地はないんよ。
よくある質問
退職の意思を支給前に上司にだけ内々に伝えていました。減額されたら争えますか?
対象期間の勤務実績があるのに退職予定だけを理由に大幅減額された場合、争う余地はある。ただし査定の裁量の壁は厚く、立証の負担も重い。これから動く人は、この状況自体を作らない順番(支給後の切り出し)を選ぶべきだ。
支給日前に会社から退職日を早めるよう求められたら?
支給日在籍要件を外すための退職日の前倒し要求には、応じる義務がない。退職日はあなたの申し出が起点で、会社が一方的に早めることはできない。不当な圧力が続くなら、記録を取って労働局へ相談する話になる。
支給日前に退職の噂が広まってしまいました。どうすればいいですか?
正式に伝えていないなら、噂の段階では動かず、予定どおり支給後に正式な切り出しをすればいい。上司から直接確認された場合は、曖昧にごまかすより「考えていることは事実ですが、正式なご相談はあらためてさせてください」と、嘘をつかない範囲で時期を区切る返しが現実的だ。
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