退職月の給与明細を想像して、ふと不安になる。月の途中で辞めたら給料は日割りなのか。どう計算されるのか。手取りはいくら残るのか。

先に言い切る。日割りになるのが通常で、方式は会社の規程で3種類に分かれる。そして手取りは、額面の減り以上に減って見える。仕組みを順に書く。

給料の日割りとは、月の途中で退職した場合に、在籍日数分だけ月給を按分して支払う計算方法のことである。

この記事の要点

  • 月の途中の退職は、在籍日数分の日割り計算が通常だ
  • 方式は3種類。暦日・所定労働日数・月平均所定労働日数で割る
  • どの方式かは就業規則の賃金規程で決まっている
  • 手取りが減って見える主因は、社会保険料と住民税の天引き側だ

日割りの3方式。同じ退職日でも金額が変わる

月給制の給料を日割りにする計算には、主に3つの方式がある。月給30万円・その月の暦日30日・所定労働日数20日・15日在籍(所定10日勤務)という例で並べる。

方式1、暦日割り。月給÷その月の暦日数×在籍日数。30万÷30日×15日=15万円。土日も在籍日として数える方式だ。

方式2、所定労働日数割り。月給÷その月の所定労働日数×出勤対象日数。30万÷20日×10日=15万円(この例では同額だが、月や退職日によって差が出る)。

方式3、月平均所定労働日数割り。月給÷年間の月平均所定労働日数×出勤対象日数。月ごとの日数のばらつきを均す方式だ。

どの方式を使うかは、会社の就業規則(賃金規程)で決まっている。あなたが選べるものではないが、確認はできる。正確な見積もりが欲しければ、規程を読むか、給与担当に「退職月の給与の日割り方式を教えてください」と聞けば一発だ。手当(住宅・役職など)が日割り対象か、支給条件ごと消えるかも規程次第だから、併せて確認する。

手取りが想像より減る理由。天引き側の仕組み

額面の日割り以上に効くのが、天引きの側だ。2つの仕組みが働く。

1、社会保険料は日割りされない。健康保険・厚生年金の保険料は月単位で、在籍が1日でも月をまたいだ扱いになれば1ヶ月分が引かれる。さらに給与からの控除は前月分を引く運用が多く、退職のタイミングによっては最後の給与から2ヶ月分の保険料が引かれることがある。額面が日割りで小さくなった給与に、満額の保険料が乗る。この非対称が手取りを削る主犯だ。

2、住民税の一括徴収。1〜5月の退職では、住民税の年度残額を最後の給与からまとめて引くのが原則になる。残り月数が多いほど、この上乗せは大きい。仕組みの全体は転職と住民税で書いた通りだ。

つまり退職月の手取りは、日割りの額面−満額の保険料−(時期によって)住民税のまとめ払いという三段の引き算になる。ここを知らずに家賃や引越し費用の計画を組むと、最後の月に足元をすくわれる。

損をしない退職日の考え方。月末かどうかの整理

日割りの話とセットで、退職日の設定にも触れておく。

  • 月末退職|その月の給料は満額で、社会保険もその月まで会社の制度に入る。切りのいい、事故の少ない形
  • 月末の1日前(例、30日)退職|その月の社会保険料の会社負担が消える関係で、会社側から提案されることがある。あなたはその月、国民健康保険・国民年金に自分で入る形になり、保険料の負担構成が変わる
  • 月の途中の退職|日割りの給料+その月の社会保険の自己手当てになる

どれが得かは、有給の残日数と次の入社日で変わる。退職日は給料の日割りより、有給の消化と社会保険の切れ目から逆算して決めるのが正しい順番で、逆算の手順は退職日を有給から逆算する計算にまとめてある。

よくある誤解。「日割りで減らされるのは違法」

日割り自体は、働いていない日数分を払わないだけの正当な計算で、違法ではない。ノーワーク・ノーペイという賃金の基本原則そのものだ。

違法の匂いがするのは別の型になる。在籍した日数分すら払われない、日割りの名目で根拠のない減額をされる、最後の給料がそもそも振り込まれない。この場合は計算の話でなく未払いの話で、給料が振り込まれない時の手順で書いた証拠確保と労基署の経路に切り替える。明細と就業規則を突き合わせて、規程どおりの計算かを確認するのが第一歩だ。

最終給与の見積もり手順。5分で終わる

締めとして、自分の最終給与を見積もる手順を置く。

  1. 給与担当に日割り方式を聞く(就業規則を読むでも可)
  2. 額面を計算する|方式に沿って在籍日数分を出す
  3. 社会保険料を引く|給与明細の保険料額×1〜2ヶ月分(退職日と控除の運用で変わる。担当に確認が確実だ)
  4. 住民税を引く|1〜5月退職なら残額の一括分。6月以降なら選択次第
  5. 残業代・通勤手当の精算を足し引きする|定期代の払い戻しが発生することもある

この5分の見積もりで、退職月の資金計画は現実の数字になる。最後の給料は、辞め方の総決算だ。数字を先に知っている人だけが、静かに次へ進めるんよ。

よくある質問

有給消化中の日も、給料は満額出ますか?

有給休暇は労働日として賃金が発生するため、消化中の日数分も通常の計算で支払われる。有給消化を組み込んだ退職月は、出勤ゼロでも給料が出る月になりうる。

ボーナス直後に辞めると、ボーナスの返還を求められますか?

支給済みの賞与の返還義務は原則ない。支給日に在籍していれば受け取る権利は確定している。就業規則に返還条項があっても、法的に有効かは争いのある領域で、少なくとも黙って応じる話ではない。

最終給与の計算シートをLINEで無料配布中

日割り方式別の計算手順と天引きの早見表を、公式LINEで無料配布している。最後の明細に驚くか、頷くか。差は5分の見積もりだけだ。

LINEで無料の資料を受け取る