入社書類に健康診断書とある。病院で受けると1万円前後かかるらしい。これは自腹なのか。会社に請求していいのか。

先に言い切る。制度の筋は会社負担だ。そして自腹を避ける道が3つある。確認の言い方まで含めて、損しない順に書く。

転職時の健康診断書とは、雇入時健康診断の結果を示す書類のことで、法定項目での受診費用は1万円前後である。

この記事の要点

  • 雇入時健診は会社に実施義務があり、費用も会社負担が筋だ
  • 実務は混在している。案内に記載がなければ先に精算の可否を聞く
  • 3ヶ月以内の定期健診結果があれば代用できる扱いがある
  • 自費で受ける場合の相場は1万円前後。領収書は必ず取る

制度の筋。誰の義務で誰の費用か

入社時の健康診断(雇入時健診)は、労働安全衛生法で会社に実施が義務づけられた検査だ。会社の義務として行う検査だから、費用も会社が負担すべきというのが行政解釈の筋になっている。

ただし正直に書くと、実務は混在している。

  • 会社指定の医療機関で受け、会社が直接支払う|一番多い形だ
  • 自分で受けて、領収書で精算する|これも通常の運用になる
  • 自己負担を求められる|筋としては会社負担だが、こう運用する会社も現実に存在する

だから、あなたがやるべき最初の動きは受診の予約ではない。費用の扱いを先に確認することだ。

確認の言い方。1通のメールで終わる

案内メールに費用の記載がなければ、こう返す。

「健康診断書の件、承知しました。受診費用は精算いただけますでしょうか。その場合、領収書の宛名など指定がありましたらご教示ください」

聞きにくいと感じるかもしれないが、費用の確認は事務連絡であって、要求ではない。この質問で印象が下がる会社はないし、仮に渋い反応が返るなら、それは経費の扱いが渋い会社だという入社前の情報になる。

確認の結果、自己負担と言われた場合も、次の抜け道を先に検討する。

タダで済む3つの道。順に試す

道1、3ヶ月以内の定期健診結果で代用する。制度上、受診から3ヶ月以内の健康診断結果があれば、その項目について雇入時健診を省略できる扱いがある。前職の定期健診が直近なら、結果票のコピーで済む可能性がある。「○月に受診した結果があります。代用は可能ですか」と聞くだけだ。

道2、自治体の健診・人間ドックの結果を使う。退職後に国民健康保険へ切り替えた人は、自治体の健診を安価に受けられる場合がある。項目が会社の指定と合うかの確認は要るが、時期が合えば使える。

道3、会社の入社後健診に乗せてもらう。入社時期によっては、会社の定期健診の時期と近いことがある。「入社後の定期健診での受診に代えられますか」という相談が通る会社もある。

3つとも外れて自費受診になる場合、雇入時健診の法定項目での相場は1万円前後だ(医療機関により数千円の幅がある)。予約時に「雇入時健診でお願いします」と伝えると、項目の過不足なく最安で受けられる。人間ドックを受ける必要はない。求められているのは法定項目だけだ。

よくある誤解。「健診は保険証で3割負担になる」

ここでつまずく人が多い。雇入時健診は病気の治療ではないため、健康保険の適用外=全額自費になる。保険証を出しても3割にはならない。相場が1万円前後なのは、この10割負担の数字だ。

だからこそ、会社負担の確認と代用の道を先に潰す価値がある。なお、健診の結果に要再検査が出た場合の扱い(内定取り消しには基本ならない)は健康診断で引っかかったら内定取り消しになるのかで書いた。費用と結果は別の心配ごとで、どちらも実際は思っているより軽い。

受診の実務。予約から提出まで

自費・精算どちらでも、動きは同じだ。

  1. 会社に指定項目と書式の有無を確認する(会社書式がある場合、持参しないと書いてもらえない)
  2. 医療機関に「雇入時健診」で予約する(健診専門のクリニックが安くて速い傾向がある)
  3. 結果の受け取り日数を確認する(即日発行〜2週間と幅がある。提出期限から逆算して予約する)
  4. 領収書を必ず保管する(精算の可否が未確定でも、領収書がなければ請求の道が消える)

入社書類の全体は入社書類は何が必要か一覧、契約条件側の確認は雇用契約書の確認ポイントが担当だ。健診書は取り寄せ日数のかかる書類の代表だから、案内が来たら予約だけ先に取る。それが唯一の時間術なんよ。

診断書の有効期限と提出形式。受ける前に確認する2点

費用と並んでつまずくのが、この2点だ。

有効期限。会社が求めるのは通常「3ヶ月以内」の結果だ。早く受けすぎて入社日までに期限が切れる、というもったいない事故があるため、入社日から逆算して3ヶ月以内に収まる時期に受ける。

提出形式。医療機関の標準の結果票でいいのか、会社指定の書式に医師の記入が要るのか。指定書式がある場合、受診時に持参しないと書いてもらえず、再訪の手間と文書料が余計にかかる。予約の電話で「会社指定の書式への記入をお願いしたい」と伝えておけば、1回で終わる。

この2点と費用の確認を受診前に済ませれば、健康診断書まわりの事故はほぼ全部消える。

よくある質問

領収書をもらい忘れました。もう精算できませんか?

医療機関に再発行か支払証明の発行を相談できる。対応は施設ごとに違うが、受診記録は残っているため、諦める前に窓口へ連絡すべきだ。

バリウムや胃カメラも必要ですか?

雇入時健診の法定項目に胃の検査は含まれない。会社が独自に追加項目を指定していない限り不要で、勧められても法定項目だけで受けて問題ない。

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