退職してから、資格やスクールを考え始めた。教育訓練給付金という制度があるらしいが、あれは会社員向けで、辞めた自分はもう対象外なのか。

対象内だ。教育訓練給付金は退職後も使える。条件は、離職の翌日から受講開始まで原則1年以内であること。この1年の時計は既に動いているので、数え方から書く。

この記事の要点

  • 退職後も対象。離職翌日から受講開始日まで原則1年以内が条件だ
  • 被保険者期間の要件は在職時の加入期間で判定される
  • 妊娠・出産・病気などは延長申請で最大20年まで延ばせる
  • 失業保険と併用できる。むしろ離職直後が一番使いやすい時期だ

1年の数え方。起点は離職の翌日

期限の式はこうだ。離職日の翌日から、講座の受講開始日までが1年以内。

申請日でも修了日でもなく、受講開始日で数えるのがポイントになる。たとえば3月31日に退職したら、翌年の3月31日までに受講を開始すればいい。申し込みや手続きはその前に済ませる必要があるから、実際に動ける期間はもう少し短い。

特に専門実践教育訓練は、受講開始の原則1ヶ月前までにハローワークでキャリアコンサルティングと受給資格確認の手続きが要る。期限ギリギリに気づいた場合、この1ヶ月が命取りになるので、退職済みで使う気があるなら、講座選びと手続きを並行で進める。

被保険者期間の要件(一般・特定一般は原則3年以上、初めて使う場合は1年以上。専門実践の初回は2年以上)は、在職していた時の雇用保険の加入期間で判定される。退職後の無職期間は要件を削らない。自分の期間が足りているかは、ハローワークの窓口で照会すれば一発で確定する(ハローワークの給付金相談で聞かれることに窓口の流れを書いた)。

延長できるケース。最大20年

1年以内に受講を開始できない事情がある場合、適用対象期間の延長という制度がある。

  • 妊娠・出産・育児
  • 病気・けが
  • 介護など、引き続き30日以上受講開始できない理由

該当する場合、延長申請によって対象期間を最大20年まで延ばせる。出産で一度キャリアを止める人が、数年後にスクールで学び直して復帰する、という使い方が制度として想定されている形だ。

注意が2つ。理由を示す書類(母子手帳・診断書など)が要ること。そして「忘れていた」は延長理由にならないことだ。忘れていて期限が過ぎた場合の話は申請を忘れた時にできることで書いた。

失業保険との関係。併用できる

退職後に使う人が一番気にするのがここだ。結論、教育訓練給付金と失業保険(基本手当)は併用できる。別の給付だからだ。

さらに専門実践教育訓練には、条件を満たす45歳未満の離職者向けに教育訓練支援給付金(受講中の生活支援の給付)という上乗せの仕組みもある。対象になるかは講座と本人条件によるので、窓口で確認する価値がある。

言い換えると、離職直後は給付金制度が一番厚く使える時期だ。失業保険で生活を支えながら、給付金で学び直しの費用を圧縮し、次の職種へ動く。制度の全体像と3種類の違いは教育訓練給付金の完全ガイド、どの類型を選ぶかは専門実践と一般のどっちを使うかが担当だ。

退職後に使う場合の注意3つ

1、支払いは先、給付は後。受講費用は先に全額自分で払い、修了などの節目で戻る後払いの仕組みだ。離職中の家計で先払いできるかは、講座選びの現実的な制約になる。

2、講座は指定講座に限る。同じスクールでも指定講座と対象外講座が混在する。厚労省の検索システムか、スクールへの直接確認で「この講座は教育訓練給付の指定か」を必ず確かめる。

3、途中でやめると戻らない。修了が支給の条件だ。離職中は時間があるように見えて、転職活動が本格化すると受講との両立が急にきつくなる。やめた場合の扱いは途中退校した時の給付金で書いた通り、原則1円も戻らない。

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よくある誤解

「退職したら雇用保険の記録は消える」。消えない。被保険者期間は記録として残り、給付金の要件判定に使われる。離職票や雇用保険被保険者証を捨てないこと。手元になくてもハローワークで照会できる。

「失業保険をもらうと給付金の枠が減る」。減らない。別制度で、片方の受給がもう片方を削ることはない。両方の要件を満たすなら、両方使うのが制度の想定通りの使い方だ。

よくある質問

退職前に申し込んで、退職後に受講開始でも使えますか?

使える。在職中の申し込み・退職後の受講開始は普通にあるパターンだ。むしろ受講開始日が離職翌日から1年以内という期限に対して余裕が生まれる。在職中に会社を通さず使えるかという論点は在職中に会社経由なしで使う方法で書いた。

次の会社に入ってからでも使えますか?

使える。転職先で雇用保険に再加入すれば、被保険者期間は通算される(離職から再就職まで1年以内などの条件あり)。在職者として使う場合は、講座と仕事の両立が論点になるだけで、制度上の扱いは問題ない。

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